■トラックの「謎の部屋」に潜入! そこは意外なほど快適だった。
大きなトラックにはキャビン(キャブ)の上に「謎の部屋」が存在します。
今回、その内部に潜入してきましたが、どのような空間が広がっていたのでしょうか。
【画像】「えっ…!」 これが「謎の小部屋」です。画像を見る!(66枚)
今回、パシフィコ横浜で2年に1度開催される「ジャパントラックショー」にて、トラックの秘密の部分に潜入してきました。その意外な快適性に驚きの連続です。
ジャパントラックショーでは、日本のトラックメーカーはもとより、海外トラックメーカー、ボディ製作メーカーによる架装車の展示。
安全運転に寄与する車内外をモニタリングするカメラやセンサー、ライトなどの用品、出勤や運行システムなど、トラック業界を取り巻くさまざまな業界が一堂に会します。
一般の人も入場可能で、普段見ることのできないトラックの運転席に座ることや、特殊用途の車両を見学できるなど人気の高いイベントです。
そんなトラックショーのなかで、キャブが地面に置かれ、車内を簡単に見学できるようになり、さらにオリジナルで開発された2階建キャブをじっくり見学できるというブースを見つけました。
その2階建てキャブを展示していたのは、パブコというボディ架装メーカーです。
トラックは基本的に、シャシー、エンジン、キャブをトラックメーカーが製造し、ボディ部分は実際にトラックを使う事業者ごとに合わせて、ボディメーカーが製作します。
最近はトラックメーカーが一貫製作としてボディも載せて、完成車として販売することもありますが、そのボディはやはりボディメーカーが作成したものになります。
そのボディメーカーとして有名なパブコが今回、新たな「マルチルーフ」を開発し、実際の使い勝手などを見てもらうためにキャブを展示していました。
トラックのキャブはトラックメーカーごとに異なりますが、フルキャブ+標準ルーフ、フルキャブ+ハイルーフ、ショートキャブ+標準ルーフ、ショートキャブ+ハイルーフといった具合に分類されることがほとんどです。
このフルキャブというのは、運転席の後方にベッドルームを設けているタイプです。ベッドルームを省いたものがショートキャブです。
ルーフに関しては低いタイプの標準ルーフと、室内に快適性をもたらすハイルーフになります。
メーカーによっては標準ルーフ、ミドルルーフ、ハイルーフ、マキシルーフというように種類を設けている場合がありますが、フルキャブ、ショートキャブによって選択可と不可の組み合わせが存在しています。
長距離トラックは途中で仮眠をとることも多いため、運転席後方にベッドルームを設け、ドライバーが仮眠を取れるようになっています。
しかしトラックの一番の目的は多くの荷物を積んで運んでいくことです。
そのためなるべく荷室の前後長を多くするために、ショートキャブというものが開発されました。
するとドライバーの仮眠するスペースが無くなってしまうため、キャブを高くし上方にベッドルームを作るようになりました。
これが今回見学できた2階建キャブの正体です。
パブコではこのマルチルーフを「CABUTO(カブト)」として製作しています。
なんでマルチルーフというかは、ドラッグフォイラーとして、キャブの空気抵抗を減らすエアロパーツとしての機能と、スーパーハイルーフとして、ベッドルームとして快適な空間を生み出すマルチな機能を持っていることで、マルチルーフという名称になっています。
このマルチルーフは三菱ふそう「スーパーグレート」のショートキャブ専用として開発されています。
ショートキャブのルーフを切開し、オリジナルのFRP製マルチルーフを載せてます。
するとキャブ内の室内高は床面から2mを超え、ドライバーの頭上にかなり広い空間がうまれ、車内で立って着替えなどができる快適なスペースになります。
■さて…気になる「謎の小部屋」 その内部にいざ潜入! どうなっている?
仮眠する際は2階部分のフロアをおろして部屋として分割すると、ベッド長1920mm×ベッド幅985mm×ベッド高755mmという、通常のシングルベッド同等のベッドスペースが生まれます。
ルーフ内には何か起きた際の脱出口が用意されているのと、左右に明りとりと換気用の小窓が用意されています。網戸もあるので虫なども入ってこないでしょう。
通常のエンジンをかけて使用するトラックのエアコンを、ベッドルームに引き込むエアコンダクトを用意しベッドルームも快適に過ごせるようになっています。
小物入れやUSB電源、調光できるLEDライトなどは装備され、第2の部屋としてゆっくりくつろげるようになっています。
2階にあがるためのステップにもなる小物入れを用意するなど、使い勝手も考えられています。
スーパーグレートのショートキャブ専用となるのは、パブコが三菱ふそうの子会社にあたるためです。
このカブトはパブコ製ボディとセット販売することで、ボディとキャブの同時製作による生産管理、別の架装メーカーへの移動コストや時間削減をすることにも寄与しています。
今回トラックメーカーとしては三菱ふそう、日野、いすゞ、UDトラックス、ボルボが車両を展示していました。
日野のプロフィアは車内へに搭乗ができない展示でしたので除外するとして、三菱ふそうは新型スーパーグレートを展示。
スーパーハイルーフ仕様車はベッドの上に立った状態でも頭上スペースに余裕がありました。
いすゞGIGAもハイルーフ仕様でベッドの上から快適に立てるほど。UDトラックスのQUONはハイルーフ仕様ですが、ベッドの上に立つと身長172cmの筆者の頭が天井に触れて少し首を傾けないといけない仕様でした。
ボルボはハイルーフキャブのグローブトロッターを展示。車内の床面から天井まで2mを超えるハイルーフ仕様で、ベッドも長さ2000mm×最大幅815mmと国内トラックのベッドより少し大きいサイズになっています。
長距離移動を基本とする大型トラックの、車内の快適性が見えた展示でした。
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