地球上で最もセクシーなクルマ
ランボルギーニ・ムルシエラゴは、確かな成果を残したスーパーカーだ。1990年代を象徴するランボルギーニとして、11年も生産が続けられたディアブロの後継を不足なく努めた。フォルクスワーゲン・グループ傘下へ転身したブランドの、初モデルでもある。
【画像】ランボルギーニ・ムルシエラゴ V12のディアブロとアヴェンタドール、シアンも 全77枚
当時は情熱的なイタリア車にドイツ水準の品質管理が適用できるのか、疑問視した人もいただろう。だが、実際は可能だったようだ。
ムルシエラゴの発表は2001年。ドイツ人の冷静さが加わっていても、ランボルギーニらしい華やかさは失っていない。V型12気筒エンジンをミドシップする四輪駆動で、ランボルギーニのフラッグシップ・モデルとして2010年まで君臨し続けた。
それまでにサンターガタから誕生したスーパーカーで、最高の1台といえる内容を備えていた。2005年にAUTOCARでも試乗しているが、「地球上で最もセクシーなクルマ」だと、そのルックスを称賛している。
全高1.2mという低くワイドでドラマチックな見た目のボディへ、縦に跳ね上がるシザーズドアが与えられている。アクティブ・リアウイングとエアインテークを採用し、空力特性を高めつつ、冷却性能も維持した。
エンジンはディアブロのものに改良を加えた、自然吸気の6.2L V型12気筒。最高出力580ps、最大トルク66.1kg-mを発揮し、サウンドでもドライバーを陶酔させてくれる。0-100km/h加速は3.6秒、最高速度は329km/hが主張されていた。
2006年のフェイスリフトで6.5L 640psへ
当初のトランスミッションは6速マニュアルのみで、四輪駆動システムは通常では70%のパワーをリアタイヤへ伝達。パワーデリバリーと秀でたトラクション、引き締まった姿勢制御と現代的な技術などが高い評価を集めている。
インテリアはアウディ品質。従来のランボルギーニを大きく超える質感を備えていた。ドライビングポジションはより自然で、ダッシュボードの作りも良い。エアコンやレザーシートも標準装備されている。
ルーフをたためるロードスターは、2004年に登場。フロント部分に、手動で取り外せるソフトトップを格納できる。強化されたシャシーと専用のエンジンカバー、リアピラーが採用されていた。車重は29kg増加し、0-100km/hは3.8秒へ若干落ちている。
2006年にフェイスリフト。V型12気筒は6.5Lへ排気量を増やし、640psを獲得。0-100km/h加速は3.4秒へ短縮し、最高速度は339km/hへの上昇を果たした。
スタイリングの変更も比較的大きく、より造形が大胆なフロントまわりと、左右で非対称なサイドインテークが特徴といえる。それより一足早い2004年には、6速ロボタイズド・マニュアル、eギアも導入されている。
インテリアでは、新しいサウンドシステムが採用されたほか、シートが変更され頭上空間が拡大。最高出力を誇示するように、ムルシエラゴの後ろにLP 640というサードネームも追加された。
350台限定の最強版がLP 670-4
モデル末期の2009年、ランボルギーニは最終限定仕様のLP 670-4 スーパーヴェローチェを投入。ハードコアな内容に、当時26万5937ポンドという驚きの金額で350台が販売された。
6.5LとV12エンジンの排気量は変わらないが、最高出力は670psまで増強。0-100km/h加速3.2秒に最高速度341km/hという、現代でも引けを取らないパフォーマンスを実現している。
カーボンファイバーを積極的に採用することで、車重は100kgもダイエット。サーキット走行を意欲的に楽しみたいドライバーのため、大きなリアウイングが追加されるエアロ・パッケージも用意されていた。
そのボディキットにより、アンダーステアは減少。姿勢制御も向上し、息を呑むほどの速さを体験しやすくしている。
10年間に製造されたムルシエラゴは、合計4099台。貴重なモデルとはいえるが、意外にも中古車市場にも少なくない数が流通している。
新車当時の英国価格は17万5000ポンドからだったが、10年ほどの時間を経て、近年では13万ポンド(約2015万円)ほど用意すれば、ガレージへ迎え入れることが可能。もちろん、走行距離が短く状態の良いクルマには、新車時以上の数字が付いている。
オーナーになるなら、多額のメンテナンス費用は想定しておきたい。新車の頃でも中古車になっても、ムルシエラゴに安く乗れないことは間違いないだろう。
オーナーの意見を聞いてみる
ウィル・ラングリッジ氏
「ムルシエラゴ LP 640のマニュアルを所有しています。フェラーリやアウディR8と比較して、圧倒的に威圧的なルックスが最大の特徴といえますが、それでいて美しく感じるとも思います」
「V型12気筒エンジンは、間違いなし。今でもベスト・サウンドを聞かせてくれるエンジンの1つでしょう。コンバーチブルは好きではないのですが、サウンドをより直接耳で聞けるので、ロードスターを選びました。しかも途方もなく速いです」
「ソフトトップの脱着が難しく、天候が安定しない英国では厄介ですね。知り合いのムルシエラゴは、eギアに不具合が出たそうです。彼がわたしへマニュアルを進めた理由でもあります」
知っておくべきこと
ムルシエラゴの整備費用は、正規ディーラー以外でも安くない。高級車を専門に扱う英国のHR.オーウェン社の場合、1145ポンド(約18万円)から、定期点検のサービスを提供している。
エアフィルターと点火プラグ、トランスミッション・フルードの交換などが含まれる整備で、4300ポンド(約67万円)が必要になるという。ガレージによって価格設定は異なるものの、購入前に調べておいた方が安心ではある。
購入時に気をつけたいポイント
トランスミッション
ロボタイズド・マニュアルのeギアは、連続してアクセルペダルの操作時にクラッチ接続が重なると、クラッチの摩耗や加熱を招く。バックでも同様。
オーナーによれば、eギアのクラッチはMTより遥かに早く減るという。クラッチ交換はエンジンを降ろす必要があり、英国では5000ポンド(約78万円)ほど必要になる。
eギアでは、機械式アクチュエーターの不具合も起きやすい。変速できなくなるため、症状はわかりやすい。英国の場合は、交換に1万5000ポンド(約232万円)程度の予算が必要になる。2009年以降はソフトウエアが改良され、信頼性が向上している。
ボディ
飛び石キズや擦り傷などに気をつけたい。ムルシエラゴの全高は低く、全幅は2mを超える。シザーズドアの底面が腐食していないか、開閉時は確認したい。
ブレーキ
サーキット走行など、ハイスピードで走らせるほど摩耗は早い。ディスクやパッドは、減り具合だけでなく腐食具合も確かめたい。安く交換はできない。
後期モデルのカーボンセラミック・ブレーキは減りにくい。ブレーキフルードの交換は、毎年が推奨だ。
エンジン
バルブタイミングに不具合が出ることがあり、ミスファイアや始動できなくなることがある。エンジンの定期メンテナンスは、1万2000km毎か毎年という指定。エンジンオイルは、1600km毎に1L消費することもあるという。
ソフトトップ
ロードスターのソフトトップはフレームを組み立てる必要があり、簡単ではない。クーペを選ぶか悩むなら、知っておきたい。
英国ではいくら払うべき?
13万ポンド(約2015万円)~14万9999ポンド(約2324万円)
走行距離が伸びた初期のムルシエラゴ・クーペを英国では探せる。
15万ポンド(約2325万円)~16万9999ポンド(約2634万円)
走行距離4万8000km以下のムルシエラゴ。eギアの6.5Lエンジン版やロードスターも含まれてくる。
17万ポンド(約2635万円)~18万4999ポンド(約2866万円)
オプションがふんだんに搭載された、走行距離3万2000km以下のムルシエラゴが英国では出てくる。
18万5000ポンド(約2867万円)~19万9999ポンド(約3099万円)
走行距離は1万6000km以下。直近もディーラーで整備を受けた、状態の良い例が中心。
20万ポンド(約3100万円)以上
英国では、走行距離8000km程度の極上のムルシエラゴが購入できる。ハードコアなLP 670-4 スーパーヴェローチェが出てくることも。
英国で掘り出し物を発見
ランボルギーニ・ムルシエラゴ 6.2 4WD 登録:2007年 走行距離:3万1900km 価格:16万ポンド(約2480万円)
執筆時に出ていた最も安価なムルシエラゴの1台。個人売買だが整備記録が整った、5オーナー車だ。記録を確認すると、2017年以降は1200kmも走っていないという。
写真から判断する限り、ボディやインテリアの状態はかなり良い様子。お値打ちな例かもしれない。
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みんなのコメント
あれは、ええよ。