アウディは、フラッグシップスポーツモデル Audi R8 のV10エンジン搭載モデル、デビュー10周年を記念した限定モデルAudi R8 Decenniumの受注を開始、今年12月以降順次納車を開始する。
Decennium(デセニウム)はラテン語に由来する言葉で「10年」を意味するものでAudi R8のV10エンジン搭載モデルの10年にわたる成功を意味する。
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初代Audi R8がデビューしたのは、2006年のこと。当初は4.2リッターエンジンを搭載していたが、2009年に5.2リッターエンジンを搭載した5.2 FSI quattroを追加。ここからR8のV10エンジンのヒストリーが始まった。
Audi R8は2016年に2世代目へとモデルチェンジ。そして今年、より大きく進化した。自然吸気 V10 5.2 ℓエンジンは、Audi の市販モデルとして過去最高の最高出力620psを発揮。7速Sトロニックトランスミッションを組み合わせる。
電子制御油圧多板クラッチ式quattroフルタイム4輪駆動システムは、運転状況に応じて駆動トルクを自動で分配し、極限の状況では前輪または後輪のいずれかへ100%のトルクを伝達することも可能。
また、低負荷時にはエンジンの片バンクを休止させるシリンダー オン デマンド(COD)を採用。アクセルペダルをオフにしたときにはエンジンを駆動系から切り離すコースティングモードとあわせて優れた環境性能も両立する。
Audi R8 Decenniumは、Coupé モデルのR8 V10 performance 5.2 FSI quattro S tronicをベースに、ダイナミックステアリングをはじめ、数々の特別装備を施している。
エクステリアは、デイトナグレーマットエフェクトのボディカラーにハイグロスブラックスタイルパッケージ(グロスブラックのフロントスポイラー、サイドシル、ディフューザー等)を組み合わせる。
またフロントフード上のフォーリングスのバッジもブラックとなる。アルミホイールはマットブロンズの20インチで、インテークマニホールドも同様にマットブロンズカラーに彩られている。
インテリアでは、Decenniumのロゴがセンターコンソールやドアなどに配されている。
特にグロスカーボンファイバー仕上げが施されたセンターコンソールのDecenniumのロゴは、アウディの特許による部分マット仕上げを特徴として、素材の表面に特殊な粉末を使用して、数千分の1ミリ単位で粗面化処理が施されている。
そして電動調整機能付きファインナッパレザーダイヤモンドスティッチングスポーツシートや、デコラティブパネルグロスカーボン、アルカンターラヘッドライニングなどを装備している。
さらに550Wのアンプと13個のスピーカーによるBang & Olufsenサウンドシステムを備えている。
新型Audi R8は、AUDI AGのベーリンガーホフ(Böllinger Höfe)工場で生産。Audi Sport GmbHの責任のもと、高度なスキルをもった従業員によってそのプロセスの多くは手作業で行なわれている。R8 Decenniumは、世界限定222台のみ生産され、日本国内の割当は10台の予定。左ハンドル仕様のみの設定となっている。
■車両本体価格
モデル エンジン トランスミッション 駆動方式 ステアリング 車両本体価格
(消費税10%込)
Audi R8 Decennium 5.2ℓ V型10気筒
DOHC 620PS/580Nm 7速
Sトロニック quattro 左 30,910,000円
10年に及ぶ成功の歴史:Audi R8のV10エンジン
自然吸気V10エンジンは、2009年初頭に登場したAudi R8に搭載され、2種類のバージョンが設定。直噴システムを備えたこのエンジンの排気量は5.2 ℓ、最高出力は525hp。
第1世代(2008/2009年):Audi R8 5.2 FSI quattro
2010年に発売されたAudi R8 GT editionにおいて、この10気筒エンジンは560hpを発生し、Audi R8 V10 plus(2012年以降)では550hpを発生していた。
2015年に登場した第2世代のR8において、このFSIエンジンは徹底的な見直しを受けた。ここでは、インテークマニホールドに燃料噴射システムを追加することにより排出ガス特性を改善し、シリンダー オン デマンド(COD)システムが部分負荷状態で片バンクの5気筒を休止させることで燃費も向上した。
5.2 FSIエンジンのポテンシャルも引き上げられ、さらにダイレクトに反応し、レスポンスも鋭くなった。販売開始時には、540hpおよび610hpのバージョンを選択することができた。最新のアップグレードでは、さらに出力が570hpおよび620hpに強化されている。
第2世代(2015年):Audi R8 V10 plus
モータースポーツのテクノロジーを反映したこのV10ユニットの大きな特徴は、最大8,700rpmまで回る高回転型エンジンであること、そして搭載位置を低くすることができるドライサンプ潤滑システムを採用していること。
V10エンジンのバンク角は90度。クランクシャフトは左右のバンクで共通のクランクピンを使用し、点火タイミングは54度と90度の不等間隔となっている。
1-6-5-10-2-7-3-8-4-9の点火順序により、独特なパルス感と、このエンジンならではのサウンドが生み出されている。
最高回転数の8,700rpmでは、ピストン速度は平均26.9m/sにも達する。これは、最新のF1マシンのエンジンを凌ぐ数値。この速度では、ピストンは反転ポイントで約2トンの荷重に相当する加速度を受ける。
Audi R8の心臓部:自然吸気V10エンジン
このハイパフォーマンスエンジンは、サーキットでも大きな成功を収め、2009年にはAudi R8 LMSがGT3クラスにデビューした。
2012年にはR8 LMS ultraが、2015年には第2世代のR8 LMSが登場。第2世代のR8 LMSは、2018年の秋にアップグレードが施されている。
2018年初頭には、Audi SportのカスタマースポーツプログラムにR8 LMS GT4が投入された。
両方のGTカテゴリーにおいて、市販バージョンに搭載されている5.2 FSIエンジンとの違いはごくわずか。
その違いとは、デュアルインジェクションシステムの廃止、インテーク経路にエアリストリクターの設置、制御ユニットのマッピング変更、そしてベアリングシェルの改良。
5.2 FSIエンジンのサービス間隔は1万km、初回のオーバーホールまでの間隔は2万kmに設定され、モータースポーツの世界において新たな基準を打ち立てた。多くのチームはより短いサービス間隔を強いられているため、この長い整備間隔はチームに利点をもたらしている。
GT3のサクセスストーリー
アウディは、2009年にAudi R8 LMS により、カスタマーレーシングの世界に参入。GT3レーシングカーの第1世代と第2世代で合計250台以上が製造され、以来世界中のカスタマーレーシングチームにデリバリーされている。
その実績はアウディの戦略が過酷なモータースポーツの分野で成功していることを示している。
2019年の初めまでに、Audi R8 LMSにより、63回の総合優勝と83回のクラス優勝を獲得した。GT3レーシングカーは、世界で最も過酷な長距離レースで耐久性を証明。
アウディは、24時間のレースで13回の総合優勝を達成、12時間レースで8勝、25時間レースで3勝をあげている。
また、Audi R8 LMSはAudi Sport R8 LMSカップでも使用されているレーシングカーでもあり、2012年以降、アジアの多くの新規顧客を獲得している。
関連情報:https://www.audi.co.jp/jp/web/ja.html
構成/DIME編集部
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