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SUBARU車を鍛える聖地、ニュルブルクリンク24時間レースへの挑戦と功績

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SUBARU車を鍛える聖地、ニュルブルクリンク24時間レースへの挑戦と功績

SUBARU・STIニュル挑戦の布石から

 今年で12回目となるニュルブルクリンク24時間レース挑戦のSTI。その足跡は、2008年の初挑戦から遡ること3年前の2005年、スバル車をメインにするチューニングパーツメーカー「プローバ」が2代目インプレッサWRX STI(GDB)での参戦まで遡る。

ドイツ・ニュルブルクリンク24時間レースでスバルが2年連続でクラス優勝!

 当時のスバル/STIは大腕を振らず、先行部隊としてプローバに多くを託したそうだ。マシンは見た目こそ”涙目”だが、中身は”鷹目(F型)”のデバイスを搭載した先行開発車両で、現地には辰己英治/森宏志さん(当時は共に富士重工業の社員)も参加。ドライバーは清水和夫/ステファン・サラザン/佐藤久美/吉田寿博であり、初挑戦でクラス2位、総合順位は歴代最高位となる12位を獲得した。

 そして翌年の2006年は、WRCのグループNで活動を行なうイギリスのレーシングチーム「オートスポルティフ」が参戦。途中トラブルが起きたが24時間を走り切っている。

2008年、本格的な公式参戦へ

 2007年は不参戦だったが、2008年に「スバル/STI」によるワークス初参戦となった。マシンは3代目インプレッサWRX STI(GRB型)に変更され、決勝レースは途中でガス欠症状となってストップするも、SP6クラス5位でゴールした。

 2009年からはSTI独自のプログラム「STI NBRチャレンジ」となり、参戦クラスはSP3Tに変更。マシンは前年車両のアップデート版だが、軽量化と低重心化、更にSTI独自理論の補剛パーツも装着。マシンメンテナンスやレース運営に関わるメカニックもSTIのメンバーで構成され、「ニュル24時間=開発の場」という認識もここからスタートしていった。

 結果、2009年はクラス5位、2010年はクラス4位と成績はアップしたが、表彰台の壁は高かった。

空力特性を活かし念願のクラス優勝

 2011年、クラス優勝を目指しマシンは年次改良で追加された重量バランスに優れ空力デバイスを有効に使えるインプレッサWRX STI・4ドアセダン(GVB)に変更された。

 決勝はスタートから1時間後にクラストップとなり、そのまま一度も首位を譲ることなく24時間をノントラブルでゴール。ついに念願のクラス優勝を獲得した。

 さらに勢いは続く。翌年の2012年には2011年のようにノントラブルとはいかなかったものの2連覇を達成。辰己英治監督は「タフなレースだったが、2011年のクラス優勝がまぐれでなかったことを証明できてよかった」と語っている。

 続いての2013年は、2011/2012年モデルよりも大きくバージョンアップ。3連覇も期待されたが、決勝はライバルの飛躍的な進化と悪天候により、クラス2位と三連覇とはならなかった。

ニュル初のリタイアを経験

 3代目インプレッサWRX STI(GVB型)からWRX STI(VAB型)に変更された2014年。デビューウインも期待されたものの、ニュルはそう簡単には微笑まず……。他車との接触やそれが原因のメカニカルトラブル、そしてペナルティなどでクラス4位という悔しい結果となる。

 2015年は前年の反省を元に、大きくバージョンアップされたマシンは予選クラス1位、決勝はスタートから一度も首位の座を明け渡すことなくクラス優勝を獲得。総合では18位となり、上位マシンは全てSP9 GT3マシンであることを考えると驚異的と言っていい結果だった。

 2016年もクラス優勝で2連覇を獲得したが、2015年以上に記憶に残るレースに。序盤の激しい雷雨でコースアウトが続出したが、そのスティントを担当していたカルロ・ヴァンダム選手は危機一髪でクラッシュを回避。

 ファンの間では「カルロの神回避」と呼ばれ、インプレッサの持つAWDの優位性を強くアピールしたことは語り継がれてゆくことになる。

 三連覇が掛かった2017年は、スタートから14時間半で同クラスの車両が側面に激しくヒット。懸命の応急修理でコースに復帰させたものの、クラッシュの影響からエンジンルームから突然出火、ニュル24時間挑戦で初のリタイヤを経験した年となった。

 そして昨年の2018年。王座奪回が目標となったが、決勝は予選で起きたパワステトラブルの再発、音量規制対策による緊急ピットイン、更にエンジントラブルでコース上にストップ。懸命のトラブルシュートでチェッカー20分前にコース復帰し、クラス優勝を獲得したものの反省が多いレース展開となった。

 「クラス優勝だけでなく総合順位にもこだわる」と言う目標を掲げた2019年、予選はあと僅かで9分切りと言う9分1秒872でポールポジションを獲得する。

 決勝は2015年以来のノートラブル、ノーミスで一度も首位の座を明け渡すことなく完全勝利。総合は2015年に僅かに及ばず19位だが、総周回数145周は歴代最多となった。

 辰己総監督は「今年の決勝は一度も雨が降らず。AWDはウエットではなくドライでも速いことが証明できた」と語った。

 2020年はどうなるのか? STIがニュル24時間に参戦する理由は「量産車の技術のレースで証明するため」である。ちなみにベースとなるWRX STIが間もなく世代交代のタイミング……早くも来年が楽しみだ。

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