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クールに作れ!ポール・ニューマンの「300ZX」をタミヤ製プラモ改造で再現・前編【モデルカーズ】

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クールに作れ!ポール・ニューマンの「300ZX」をタミヤ製プラモ改造で再現・前編【モデルカーズ】

アメリカ向けは3LモデルのみだったZ31

俳優、ポール・ニューマン――その名は、1980年代の空気を吸って過ごしてきた我が国のクルマ好きには、日産スカイラインとセットで記憶に刻まれていることだろう。R30型系スカイラインにおいて、ニューマンはCMキャラクターを務めたばかりでなく、その名を冠した特別エディションまでが発売されたからだ。しかし、実際のニューマンは、実はZカー(日本ではフェアレディZ)と縁の深い人物であった。

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その関係はZが二代目の頃に始まるのだが、ここでは三代目・Z31型系に話を絞ることにしよう。Z31――日本ではフェアレディZ――は、「欧州の高性能スポーツカーを凌駕する」というコンセプトの元、1983年9月にデビュー。何よりもスタイリングに「生まれ変わった」という印象が強く、ロングノーズのファストバック・スタイルという点では先代同様だったが、そのボディシェイプは直線的に研ぎ澄まされたものへと変化していた。

ヘッドライトも丸型から角型になって、大きく印象を改めたが、単にそればかりでなく、半格納式の”パラレルライジング・ヘッドランプ”――半ば露出したヘッドライトだが点灯時には上方へ若干せり上がる――を採用し、Cd値は0.31と空力的にも優秀なものであった。ボディは先代同様に2シーターと、4人乗りの2by2が設定されている。

エンジンは直列6気筒のL型から、先にセドリック/グロリアでデビューしていたV型6気筒OHCのVG型へと変更。トップグレードの300ZXには3LターボのVG30ET(最高出力230ps)が、これ以外の2Lモデル(ZG、ZS、Z)には同じくターボのVG20ET(170ps)が、それぞれ搭載された。これらバリエーション全てに2シーターと2by2の2種類のボディが組み合わされる。サスペンションは先代同様に前ストラット/後ろセミトレだが、どちらも新設計されたもの。全車に、減衰力を3段階に調整できる3ウェイ・アジャスタブル・ショックアブソーバーが装備されている。

デビュー後、1984年2月にはTバールーフ車を追加、1985年10月にはツインカム・セラミックターボを新設定。これは、すでにスカイラインで採用ずみの直6DOHCターボ、RB20DET(180ps)を搭載したものである。

さらに1986年のマイナーチェンジでは後期型へと進化。これはNDI(日産デザインインターナショナル)のデザインにより外観を大幅に変更した「エアロ・グラマラス・フォルム」が何よりの特徴となる。このとき2LのV6は廃止となり、また3LのV6にはDOHCエンジンのVG30DE(190ps)を加えている(300ZR)。そしてこの3年後、フルモデルチェンジで四代目・Z32へと生まれ変わっている。

以上の説明は日本でのフェアレディZについてのものなので、以下、北米仕様についても述べておこう。アメリカでのブランド名はダットサンからニッサンへの変更の渦中にあり、Z31は最初から車名がニッサン300ZXとなっていた。この車名通り搭載されるエンジンは3Lのみだが、ターボのVG30ETだけでなく、NAのVG30E搭載モデル(日本仕様には設定なし)も存在した。

1986年秋のマイナーチェンジでは日本仕様と同じくボディ外観を変更しており、ということはつまり1987年型からは後期型ということになるが、VG30DEの導入は行われなかった。ボディバリエーションは日本同様2シーターと4シーターがあったが、後者の呼称は2by2ではなく2+2である。

ボブ・シャープとポール・ニューマンの強力タッグ
Zのレース活動は、二代目・S130以降は日本国内では行われず、アメリカがほぼメインとなっていた。Z登場以前のSPL/SRL(フェアレディ)や510(ブルーバード)の頃からダットサンでレース活動を活発に行ってきたボブ・シャープが、その主軸を担ったのである。1976に手首を負傷したシャープはドライバーとしての活躍を終えて、自身のチーム運営に専念するようになっていた。

一方、俳優であるポール・ニューマンは、シャープがオーナーであるボブ・シャープ・レーシングに、1971年頃から参加。単に一俳優という地位に満足できなくなったニューマンは、俳優仲間と共に製作会社を興し、映画製作に乗り出したのだが、自身が製作・主演した映画『レーサー』(1969年)でレースドライバーを演じたことをきっかけとして、モータースポーツにのめり込むことになったのだという。

ニューマンがシャープの元で本格的にレーサーとなったのは、同映画での技術指導をシャープが行ない、関係を深めたためであったのだが、510や200SX(二代目シルビア)などを操りいくつものレースに参戦して腕を磨き、後にはニューマン・シャープ・レーシングを形成。280Z(S130)からはSCCAのトランザム・レースに挑み、300ZX(Z31)となってもこの構図は継続していた訳であった。特に1986年9月のライムロック・パークでは優勝を飾っており、「なかなか勝てない」と言われていたニューマンにとって、貴重な勝利のひとつとなったのである。

ここでご覧いただいているのは、この1986年から1987年前半にかけてニューマンが駆った300ZXを再現したプラモデル完成品だ。ライムロックで勝利したのもおそらくこの車両であろう。詳細については明確ではないが、車体前後にはチューブラーフレームが組まれ、エンジンはV6 3.3Lターボを搭載していたようだ。もちろんこの車両そのものがキット化されているわけではなく、タミヤ製のノーマルのフェアレディZをベースに制作されたものである。その改造の詳細については、写真のキャプション、そして追って公開する後編の記事をお読みいただきたい。

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