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【パルサー、ティーノ、バサラ…】日産が捨てた名車と迷車たち

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【パルサー、ティーノ、バサラ…】日産が捨てた名車と迷車たち

「名車」の条件とは何でしょうか。

 年月が経ってもファンが多い、レースで活躍するなどストーリーがある、自らが一大ブームを作り出した等々が思いつきますが、逆に「迷車」と呼ばれてしまう条件とは? 時代を先取りし過ぎた、もしくは遅すぎた、コンセプトが未熟だったなど、「もしかすると時代が変われば売れていたかも」といったクルマも含んでいるように思います。

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 日産には、惜しまれつつも消えていった「名車」が数ほどありますが、「どうして出したの?」と思われても仕方がない「迷車」もたくさんあります。今回は、この30年ほどに車名が消滅した、「日産の名車と迷車」を振り返ってみようと思います。
文:吉川賢一

【名車編1】 パルサー(1970年~2000年)

日産パルサー。写真は1990年に登場した4代目(N14型)にラインアップされていたGTI-R

 日産のコンパクトスポーティハッチバックの代名詞といえば「パルサー」ではないでしょうか。2000年に国内販売を停止した後も、豪州とニュージーランド市場で「パルサー」名は残っていましたが2006年でいったん販売終了。その後2012年、豪州日産はティーダに「パルサー」と名付けて復活させました。続けて2014年には欧州Cセグメントで戦うコンパクトスポーティハッチバックとして、新型のC13型「パルサー」が登場しています。

 トヨタのスポーティハッチバック、カローラスポーツが華々しく登場した今、パルサーの日本市場復活はあるのか、気になるところです。

【名車編2】

シルビア(1965年~2002年)

日産シルビア。写真はデートカーとして当時(1988年頃)若者のあいだで大変な人気を博した5代目(S13型)

 日産のコンパクトなFRスポーティカーの代名詞といえば「シルビア」ではないでしょうか。2002年に当時の排ガス規制をクリアせずに販売終了したS15型を最後に、「シルビア」ブランドはこの世から姿を消しました。しかし、今でもドリフト競技を中心に第一線級の活躍をしており、未だ人気は衰えていません。

 シルビア復活は何度も立ち上がる話題ですが、現代の安全性能に対応するボディ構造や、開発コスト問題など、復活のために超えなくてはならないハードルは非常に高いです。しかし、多くのファンが復活を待ち望む一台です。

【名車編3】 プレジデント(1965年~2010年)

日産プレジデント。写真は初代モデル

 現在の日産のフラッグシップカーは「シーマ」ですが、法人・要人向けの最上級フラッグシップカーとして永らく愛され続けていたのが「プレジデント」です。品格が漂うボディスタイル、贅を尽くしたインテリア、V型8気筒 4.5Lの大きなエンジンによるゆったりとした乗り味など、憧れた方も多かったでしょう。

 燃費は悪く、取り回しも悪く、税金や維持費もびっくりするほどにかかったクルマですが、皆の憧れのクルマでした。

【名車編4】 ステージア(1996年~2007年)

日産ステージア。写真は初期型

 スカイラインのFRプラットフォームを用いて作られたステーションワゴンが「ステージア」です。大きなエンジンを積み優雅にハイウェイを流す、こうしたシーンが似合うクルマでした。SUV大流行の現代でも、世界的にはステーションワゴンは根強い人気を得ており、ジャーマン3(ベンツ、BMW、アウディ)はセダンと同時にステーションワゴンも出しています。もしステージアが生き残っていて、INFINITI 「G」のステーションワゴンが登場していたら、人気が出たかもしれませんね。

【迷車編1】 ティーノ(1998年~2006年)

日産ティーノ

 車幅を1,760mmまで広げ、前席2+1、後席3人の6人まで乗れるクルマとして登場、のちに100台限定でしたが「ティーノハイブリッド」を発売するなど、チャレンジをしたクルマがティーノでした。丸っこくてファニーなボディスタイルでありながら、コーナーでの走りの性能は高く、ユーザーには好評でしたが、同クラスのクルマと比較して車重が重く、登りの山道や高速道路の登坂車線での追い越しでは、アクセルベタ踏みしないと厳しかったようです。

 フロント3列シート車は魅力的には映るのですが、狭い日本国内ではその車幅が影響してか、不人気になりやすく、1代で幕を閉じた悲運のMPVとなってしまいました。

【迷車編2】 ルネッサ(1997年~2001年)

日産ルネッサ

 迷車で探すと必ず出てくるのがこの「ルネッサ」。マルチアメニティービークル(MAV)と日産は呼んでいましたが、当時流行りのステーションワゴンにカテゴライズされるクルマでした。大きく前後にスライドできる後席は広大なスペースを実現し、また一部グレードで前席が回転対座式となっており、まるでリビングの様に使うことができました。しかしEV車前提のフロアのため床面が高く、足元が窮屈だという声が多いなど不評でいまいち人気が出ず、1代でその幕を閉じました。昨今のアウトドアブームであれば、回転対座シートはもう一度見直されるかもしれません。

【迷車編3】 バサラ(1999年~2003年)

日産バサラ

 こちらも迷車としては有名な「バサラ」。「プレサージュの上級仕様」という立ち位置でしたが、実際にはプレサージュのバンパーやライトをちょっとだけ変更し、アメリカンな派手目のグリルとした程度の仕上げでした。

 サイドから見るとほぼプレサージュのまま。

 当時の顧客達も、「プレサージュの皮を代えただけのクルマ」という事にはすぐに気が付き、愛想をつかされて人気は出ず、こちらも1代で終了となりました。「小手先だけの安直なチェンジは通用しない」ことを証明した失敗事例となりました。

【迷車編4】 ラフェスタ(2004年~2018年)

日産ラフェスタ

 全幅1,695mmのぎりぎり1,700mmを超えない車幅、左右の見切りがし易い角ばったボディ、そして乗り降りしやすい小振りなシート、後席へ子供を乗せやすい低いルーフ、明るいパノラミックルーフなど、ママの声を聞いて全部入れ込んだ究極の便利クルマが「ラフェスタ」です。しかし、当時主流だったホンダストリームやウィッシュに比べ、外観がイマイチすぎて人気はでず、また、パパの未練を表したかの様な「パドルシフト」が用意されるなど、チグハグなコンセプトが不評だったようです。

 なお2代目ラフェスタはマツダ・プレマシーのOEMであり、スタイリッシュなボディを得ましたが、ロールーフミニバン市場の衰退によって、2018年3月にカタログから消えました。

■まとめ

 日産に限らず、どのクルマメーカーも、その時代のリクエストに合わせて一生懸命に作っているため、「迷車」と言われると歯がゆい思いをする開発担当者は多いでしょう。

 でもこうした「名車・迷車」リストにすら挙げられず、消えていったクルマもたくさんあります。よくも悪くも、心に残るクルマになると、永らく語り続けられるようになりますね。

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