スーパーGT第2戦富士の予選でGT300クラスの2番グリッドを確保した31号車apr LC500h GTは、最終的に8位フィニッシュに終わった。彼らは序盤のポジションダウンも響き、優勝争いに絡むことはできなかった。
100周で争われる決勝レースのスタートドライバーを務めたのは嵯峨宏紀。しかし嵯峨は2周目に4号車グッドスマイル 初音ミク AMGに交わされて3番手に下がると、その後も防戦一方の展開に。4番手、5番手とポジションを落としていく中、トップとは10周で約15秒離されてしまった。
■LC500h GT、決して“鈴鹿スペシャル”ではない? 富士で予選フロントロウ確保の小高一斗「空気抵抗は少ないと思う」
そこで31号車は10周を終えたところで早くもピットイン。他のチームのような、給油義務を消化するための“スプラッシュ&ゴー”ではなく、給油、タイヤ交換に加えてドライバー交代も行なうフルサービスでコースに戻っていった。
その後は第3ドライバーの根本悠生と小高一斗がそれぞれ40周前後のスティントをこなし、中団で粘りのレースを見せた結果8位でレースを終えた31号車。序盤のペースに苦しんだ理由について嵯峨に聞くと、スタートタイヤが相当ソフト寄りなものだったようで「2周で終わった」のだという。
これは予選Q2で履いていたタイヤ。決勝スタートタイヤは予選Q1、Q2に向けてマーキングされたタイヤのいずれかを使用することになっており、そのどちらが指定されるかは抽選によって決まる。そして今回Q2で使用したタイヤがスタートタイヤになり、想定以上に高い路面温度も相まって31号車は苦しんだというわけだ。
もちろん、彼らが決勝レースを度外視してQ2にソフトタイヤを投入したわけではない。この背景には今季からのレギュレーション変更も少なからず影響している。
今季からは、よりサブステナブルなタイヤ開発を促進するため、レースウィークにおけるタイヤの持ち込みセット数が削減されている。ドライタイヤに関しては、300kmレースでは6セットから5セットに、今回の450kmレースにおいては7セットから6セットに減らされている(前年未勝利メーカーは除く)。
この変更は、タイヤ戦略の面で各チームを悩ませている。レースに向けては多くのチームが2種類のタイヤコンパウンドを持ち込んでおり、それらの特性は千差万別だが、いわゆる「ソフト側」「ハード側」の2種類が持ち込まれる。ただ今季から持ち込めるセット数が減ったことによりそのやり繰りは複雑化しており、例えば“本命”でないコンパウンドを予選や決勝で使う必要性も出てくる。
今回の31号車の場合、持ち込んだソフト側のコンパウンドは結果的に決勝レースの路面コンディションではすぐに性能が落ちてしまう、嵯峨の言葉を借りれば“やわやわ”のタイヤだったのだが、タイヤ戦略の中で予選でそれを1セット使わざるを得なかった。そしてそれが抽選により、スタートタイヤに選ばれてしまった、ということのようだ。
「硬いタイヤで3スティント繋ぐことができれば、4~6番手くらいにはいたかなと思います。(パフォーマンスは)悪くはなかったと思います」と振り返る嵯峨。LC500h GTは富士でもポテンシャルを見せたが、次戦はLC500h GTが最も得意とするサーキットなのではないかと言われている鈴鹿。そこに向けての意気込みを彼は次のように語った。
「この後のタイヤテストで良いものが見つかればと思いますが、簡単ではないと思います。鈴鹿に向いている、というのは(鈴鹿でLC500hを)走らせていない僕らの空想・妄想であって、実際に走らせて見ないと分からない部分もあります。良くないと思われていた岡山が意外に良かったりしましたからね」
「ただ、少なくともプリウスの時よりは上の位置で戦えるようになっているので、それに関しては良いことなのかなと思っています」
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