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カワサキ「KLX230」ライトウェイトの威力でとことんオフを楽しめる本格トレール!#試乗インプレ(2019/11)

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カワサキ「KLX230」ライトウェイトの威力でとことんオフを楽しめる本格トレール!#試乗インプレ(2019/11)

コンパクトで軽量な車体を活かし、オフロードライディングを楽しめる「使い切れる」魅力にあふれた本格ライトウェイト・トレールとして登場するのがKLX230。このクラスでは久々のブランニューモデルに期待を込めて試乗した。

かなりのレベルまで楽しめる本格的なスポーツ性が魅力
KLX230の個性を際立たせているのは、いわゆる「フルサイズ」と呼ばれる250ccモデルにちょっとだけ足りない、232ccという排気量。

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エンジンはOHCの2バルブでパワーも19馬力。

これだけ見ると、東南アジア向けの汎用エンジンを搭載したモデルだろう…と思ってしまうが、それは違う。

エンジンは新設計された専用品。

フレームも専用設計。KLX230は、必要にして十分なパワーと、それに見合った車体を徹底的にフィッティングさせたという世界戦略モデルで、スポーツテイストを持ったキャラクターを魅力にしているのだ。

小柄なモデルの多いこのクラスだが、車格は大きめでかつてのKLX250やCRF250Lに近い高さがある。ただ、幅などはずっとスリムだ。

サスペンションは苛酷な路面での走破性を意識して長めのトラベル量を持っているし、悪路で暴れる車体を安定させやすくする重心の高さ、その際にホールドしやすいシートの高さも備えている。

ただ、従来のフルサイズでは足着きが厳しいというライダーには、それらより少し楽、という程度。

シート高は高めの設定になっており、このクラスの人気機種である、セロー250のように甘やかしてはくれない。

小柄で取り回しやすさを魅力にしている軽量オンオフモデルに比べると大柄なKLXだが、決して見かけ倒しではなく、バネも快適指向というより耐衝撃力をしっかりと確保された設定だ。

林道を元気よく走って大きなゴロ石にぶち当ったり、くぼみに突っ込んでも簡単には底付きしない。

衝撃に耐えて、つんのめることなく戻るし、ウネリや段差を使ってジャンプしたり、フロントをリフトさせたりするのもたやすい。

ただその分、乗り心地はセローなどより少し硬めに感じる。

また、外国製のレーサー的オフローダーや、フルサイズモデルのような、衝撃吸収力や強度に優れたフォークを使っているわけではない。

大きめの衝撃を受けたときは、その分ハンドルに衝撃が伝わる。

ただ、KLXは初級~中級のライダーでも楽しめる、というのがコンセプト。

ステアケースが続くような悪路や大きなゴロ石があるガレ場だって、身軽さと車体の頑丈さで踏破できる走破性はとても頼りになる。

オフでの19馬力はかなり元気だから、いいペースでダートツーリングだってできるのだ。

このバイクの兄弟モデルにはオフロードコース専用モデルのKLX230Rがある。

車体の基本は公道向けモデルと同じで、エンジンはバランサーを外してピックアップを良くし、エンデューロタイヤを履いている。

Rの魅力は軽さと使いやすいエンジン。

サスの衝撃吸収力はほどほどで、250レーサーほどの酷路走破性はないが、ミニコースくらいなら余裕で駆け回れる。おそらく、タイヤを換えるだけで、公道仕様もこれに近い走りができるはずだ。

今回はオフロードのショートコースと公道での試乗だったが、KLX230はどんなバイクなのかをまとめてみよう。

エンジンの低中域には粘り主体の強いトルクがある。

フラットなトルク特性で力も程よく扱いやすい。

とはいえ、ここイチバンの力が必要なときには回した方がいい。

乗り心地はスポーティーで少し硬め。スタイルもいわゆるスポーツオフローダーだ。

だが、ツーリングに十分なゆとりを発揮するだけのパワーや快適性は持っていて、このサイズと軽さを活かし、林道だけでなく、ちょっと過酷な獣道や廃道など、タフさを求められるオフロードや、ある程度サスの衝撃吸収力や安定性を求められるような走りまでこなせる。これは光る魅力だ。

このクラスの国産デュアルパーパスが絶滅寸前の今、オンモデルには求められない走りの可能性を持った、コストパフォーマンスのいいバイクでもある。

オフ専用の“双子”も同時登場!
市販レーサーのKXとは違い、オフロードでのファンライドを気軽に楽しめるコース専用モデルの「R」も同時登場した。

こちらはバランサーを外した仕様のエンジンやアルミスイングアーム、タイヤ銘柄など、細かな仕様の違いはあるが、基本的には公道仕様と共通。

ステージは違っても、軽快なパフォーマンスと楽しさは共通だ。

KAWASAKI KLX 230開発者VOICE
日本ではとても貴重な、全面新設計のデュアルパーパスのニューモデル。KLX230の登場は、アジア市場での「オフロード熱」の高まりの影響が大きかったようだ。

「気軽に楽しめるということでKLX150が大ヒットしているのですが、その次にステップアップするバイクが欲しい、というリクエストが強かったのです。かと言って、フルサイズでは高価だし、車格も大きすぎる。サイズも価格も手頃なバイク、ということで230の開発がスタートしたのです」

初級者から中級者が楽しめるようなオフロードバイク、というテーマで吟味が重ねられた結果、たどり着いたエンジンの形式は、空冷の232ccシングルというものだった。

「アジアでの修理やメンテナンス、ということを考え、パーツ点数が少なく、構造がシンプルな空冷としました。232ccというのは、バランサーなしのシングルでも振動が苦痛にならない排気量を模索した結果です」

バランサーなし、というのはオフロード専用車のR向けのエンジンのこと。

今回のKLX230は公道向けとオフ専用車の「双子」だが、このラインアップが、性能面でも、コスト面でもいい効果を生み出したようだ。

「開発はまずRの方から行い、そこから公道版を造るという手法をとりました。先にRを造って求められるオフロード性能、操縦安定性、エンジンフィールなどをしっかり煮詰めたのち、ストリートモデルを手がけることで理想に近づく造り込みをして行きました」

KXの流れを汲んだロングシュラウドデザインなど、カワサキらしさも継承しながら、初級、中級ライダーでも構えることなくオフロードを楽しめるKLX230は、ライダーを育ててくれる「懐の深い相棒」なのだ。

「初級、中級ライダーだけでなく、上級ライダーでも楽しめる、長くつきあえるモデルです。ライダーがもっと走りたい、と思える1台に仕上げました。ぜひ楽しんでください」

RIDING POSITION
身長:176cm 体重:68kg

スタンディングしたときにも前寄り乗車で車体をホールドしやすいよう、シュラウドの形状などが徹底されている。

KLX150よりかつてのKLX250に近いポジションで、シートは高めだがヒザにゆとりがあり、疲れにくい。

カワサキ KLX230 の主なスペック
全長×全幅×全高 2105×835×1165mm
ホイールベース 1380mm
シート高 885mm
最低地上高 265mm
車両重量 134kg
エンジン形式 空冷4ストOHC2バルブ単気筒
総排気量 232cc
ボア×ストローク 67×66mm
圧縮比 9.4
最高出力 19PS/7600rpm
最大トルク 1.9kg-m/6100rpm
燃料供給方式 FI
燃料タンク容量 7.4L
キャスター角 27.5度
トレール量 116mm
変速機形式 6速リターン
ブレーキ形式 前・後 φ265mmディスク
後 φ220mmディスク
タイヤサイズ 前・後 2.75-21・4.10-18

ステラの「私も乗ってみました」
まずエンジンの懐の深さに感心しました。

低中回転域でトルクがしっかり出ているので、なかなかアクセルを開けていけないオフロード初心者の私でも十分楽しく走れましたし、乗りやすく感じました。

高回転域まで回してみても振動が少なく、滑らかに吹けるので、このクラスのバイクが苦手な、高速道路を使ったツーリングでも楽しめそうです。

シート高はセローのような低さではないので、身長163cm、体重43kgの私だと足つきはつま先立ち。

サスも少し硬めで、私だと乗車時の沈み込みも少なく、乗り始めはUターンなどの際に戸惑いましたが、慣れてきたらバランスも取りやすく、扱いやすく感じました。

楽しむ場所を選ばないいい子です! 

豊富なアクセサリーも多数登場!
ETC車載器の置き場所に困るユーザーのために専用設計。ケースは施錠可能。

足元を精悍に引き締める、ブラック仕上げのアルミリム。前後セット。

ツーリングユースならぜひとも確保しておきたい、利便性を高める定番アイテム。

写真右のスキッドプレートは1617円

ガードパーツは価格もリーズナブルなので、是非備えておきたいアイテムだ。

[ アルバム : 写真を全部見る! はオリジナルサイトでご覧ください ]

PHOTO:柴田直行 TEXT:宮崎 敬一郎、木川田ステラ、本誌編集部

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