ヒョンデの高性能ブランド 「N」から初のBEV(バッテリー電気自動車)である「アイオニック5 N」が発表された。ヒョンデは今後も「電動化された、いくつものNモデル」の登場を計画している。
Nブランドの電動化の一歩目
WRCマシン並みの走りを披露。ヒョンデがアイオニック5の高性能版「アイオニック5N」の登場を予告
ヒョンデ・モビリティ・ジャパンの記者会見などでもその存在が関係者から語られていたアイオニック5 Nのデビューの舞台は、イギリス伝統のイベント「グッドウッド・フェスティバル・オブ・スピード」だった。
今年5月にもイタリアのコンコルソ・デレガンツァ・ヴィラデステ2023において「N Vision 74 Concept」を披露するなど、ヒョンデのグローバルでのプロモーションの巧さと力の入りようを感じる。
日本に再参入し、アイオニック5とネッソの販売台数はまだ4桁には届いていないと思われるが、ヒョンデはグローバルではトヨタ、フォルクスワーゲンに次いで第3位の販売台数を記録している。日本市場での数字だけを見ていてはヒョンデの世界的な動きを見失うだろう。
今秋、日本への導入が予定される「コナ」(N モデルは設定されているが日本に入るかは未定)は、アイオニック5よりもリーズナブルな価格設定になるであろうから販売状況もより勢いが増すはずだ。アイオニック5 Nとコナの日本での正式発表を待ちたい。
なお、アイオニック5 Nは下記の通り相当な追加装備と機能があり、ボディにも手が加えられている。現状のアイオニック5のトップグレードであるLounge AWDが599万円であることを踏まえると750万円を下回ることはないのではと予想する。
ドリフトとコーナリング性能の向上のために
ヒョンデがアイオニック5を「ドリフトできる電気自動車」に仕上げるにあたって重要視したのは、過激な走りに負けないボディを作り上げることだったようだ。リリースで最初に書かれていることからも彼らの思い入れが伝わってくる。ヒョンデは2014年からWRCに参戦し、2019年にマニファクチャラーズチャンピオンに輝いた。そのレースで得た経験が、アイオニック5 Nのボディ開発に生かされているのかもしれない。
アイオニック5 Nでは、ベースモデルのアイオニック5(305ps)の倍以上となるモーターパワー(478kW/650ps)と、車体にストレスがかかるドリフト走行にも耐えられるように、42箇所におよぶ追加溶接と2.1mの追加接着剤によるホワイトボディ構造の強化、モーターとバッテリー取り付け部の強化、フロントとリアのサブフレームの側面剛性アップを実施。21インチ鍛造アルミホイールによりバネ下重量の軽減も図った。
BEVならではの機能として、減速時にモーターを発電機として使い、その時の抵抗で減速Gを生成する回生ブレーキがあるが、アイオニック5にも回生ブレーキを使った、いわゆるワンペダルドライブが可能なi-Pedalが装備されている。
このi-Pedalの回生ブレーキシステムを応用したのが「N Pedal」だ。同システムはエネルギー回生効率よりもコーナリング性能を優先したもので、減速Gを利用した荷重移動によりシャープなコーナーへの進入を可能とする。さらに回生ブレーキは、メインのブレーキとして機能し、必要に応じて機械式ブレーキがブレーキ力を補う仕組みとなっている。これによりサーキット走行時には、機械式ブレーキの耐久性向上に寄与するようだ。
N専用の回生ブレーキは、ヒョンデが「業界トップレベル」と謳う最大0.6Gの減速力を発揮し、ABS作動下でも最大0.2Gの減速力を維持する。さらにサーキット走行に左足ブレーキを使用する場合など、ブレーキペダルとアクセルペダルの同時操作も可能だ。
機械式ブレーキのアップグレードも忘れていない。アイオニック5 Nは、ヒョンデ最強を誇るブレーキシステム「N チューンド・ブレーキ」を採用する。直径400mmの大径フロントディスクに4ピストン・モノブロックキャリパー、リアには360mm径のディスクブレーキを搭載している。
ドリフト走行をサポートする「N ドリフトオプティマイザー」は、テールスライド時にドリフトアングルを維持するのに役立つ機能。後輪駆動のMT車のクラッチ・キック・アクションを模倣した、トルク・キック・ドリフト機能により、即座にドリフト体勢に持ち込むことが可能という。
N トルク・ディストリビューションは、フロントとリアのトルク配分を11段階に調整可能で、さらにリアアクスルのe-LSD(電子制御リミテッド・スリップ・ディファレンシャル)が、コーナリング性能とコントロール性を最適化する。
サーキット走行時の安定性を向上
動力源となるモーターも大幅なアップグレードを果たしている。最高21,000rpmまで回り、フロント166kW/226ps、リヤは282kW/383ps、システムトータルでは448kW/609psを発揮する。さらにN グリン・ブースト作動時(最大10秒間)には478kW/650psの最高出力を搾り出す。
そんな大パワーを発進時に路面に余すことなく伝えるのが、N ローンチ・コントロールだ。3段階のトラクション・レベルが選択可能で、ベースモデルのアイオニック5(AWD)でも0-100km/h加速は5.2秒と十分な速さだったところを、Nモデルは3.4秒と1.8秒もの短縮に成功している。
熱対策への対応も抜かりない。アイオニック5 Nは、レーストラックの過酷な条件下でオーバーヒートによるパワー損失への対策として、バッテリーの温度管理を強化したほか、冷却面積の拡大、モーターオイルクーラーとバッテリー冷却器の改良、バッテリーとモーターのそれぞれで独立したラジエターを搭載するなど、高温環境下における性能低下を最低限に抑えた。
走行前に、バッテリーを最も電力効率の高い温度に設定したい時には、N バッテリー・プリコンディショニングを利用するといい。フルパワーで短時間の走行が可能な「ドラッグ」モード、より多くの周回をこなすために可能な限りバッテリー温度を低くする「トラック」モードのいずれかを選択可能だ。
さらにN レース機能においては、ドライバーは「エンデュランス」と「スプリント」のどちらを優先するかを選択できる。「エンデュランス」はレーストラックでの走行距離を最大化する。これはピークパワーを制限し、温度上昇を緩やかにすることで可能となった。一方、「スプリント」はパワーを優先し、短時間でフルエネルギーを供給するモードだ。
トラックSOC(充電状態)は、ラップごとのバッテリー消費量を計算するので、周回数が多い場合のペース管理に役立つだろう。
熱狂的なファンに向け
ヒョンデ の調査によると、BEVではドライバーに対するフィードバックが不足する傾向にあることがわかったという。そこでヒョンデ Nのエンジニアは、ドライバーがよりフィードバックを感じられるようにするため、「N e-shiftとN Active Sound +」機能を開発し、アイオニック5 Nに搭載した。
N e-shiftは、ICE車の8速デュアルクラッチトランスミッション(DCT)車の走行フィールを再現したもので、モーターのトルク出力を制御し、変速やシフト間の「揺れ感」を再現することで、ICEに近い運転体験を提供する。
N Active Sound +は、10個のスピーカーシステム(車内8個、車外2個)により、3つの異なるサウンドテーマを提供する。「Ignition」はNの2.0Tエンジン(i30などに搭載される2Lターボエンジン)のサウンドを再現し、「Evolution」はRN22e(アイオニック6ベースの高性能EVコンセプト)にインスパイアされた特徴的な高性能サウンドを提供。「Supersonic」は、ジェット戦闘機にヒントを得たユニークなコンセプトだ。
パフォーマンス向上のためのエクステリアデザイン
アイオニック5 Nは、性能向上と特別な外観を得るためエクステリアデザインも大幅にアップデートされた。
N モデルは、標準のアイオニック5よりも全高が20mm低くなり(編集部注:Lounge AWDとの差は60mm)、ワイドタイヤを装着するため全幅は50mm広く、専用のディフューザーにより全長は80mm長くなった。21インチ鍛造アルミホイールには275/35R21サイズのピレリP-ZEROタイヤが組み合わせられる。
フロントのエアカーテンとエアフラップは冷却効果を高める装備だ。バンパーの下部のリップ・スポイラーはN専用「Luminous Orange」で、「レーストラック仕様」の外観を与える。
リアには、N専用のウィング(ハイマウントストップランプ付き)が装備され、リアディフューザーとエアアウトレットとともに、空気の流れをコントロールして最適な空力性能をサポートする。バンパーは、チェッカーフラッグのリフレクターグラフィックが施されたN専用のブラックバンパーだ。
サーキット走行に適したインテリアデザイン
ハイパワーなクルマでアグレッシブに走るには、ドライバーの運転環境もそれに対応できるレベルに引き上げる必要がある。そこで「Nシート」では、ボルスター(背もたれの左右部分)を強化することで、コーナリングの強い横Gでも、体をしっかりと支え、常に安定したドライビング姿勢を保つことが追求されている。さらに約20mmローポジション化されたバケットシートも用意される。
アイオニック5 Nのセンターコンソールは、ニーパッドとすね当て、スライド式アームレストを装備、コンソール下部を延長し剛性を高めてサーキット走行に最適化されている。また、USB-C、ワイヤレス充電器、カップホルダーも装備し日常使いにも対応している。
アイオニック5 Nのペダルは、オーバーステア、ドリフト、パワースライドを伴うサーキット走行シーンでのフットコンタクトに最適化され、ペダルの「踏みそこねリスク」も低減する。フットレストも、安定した運転姿勢を維持できるように最適化されている。
新デザインのN ステアリングホイールには、「N」のロゴがあしらわれ、その脇にはドライバーの好みに合わせてドライブモードを設定するN ボタンが配置される。3時の位置にはN グリン・ブーストボタンがある。
ドア・スカッフ・パネル、メタル・ペダル、フットレストに施された新しいチェッカーフラッグのテーマは、アイオニック5のアイコンであるパラメトリック・ピクセルにインスパイアされたもので、Nブランドのモータースポーツ・スピリットを表現している。
アイオニック5 N 全長:4,715mm[+80mm] 全幅:1,940mm[+50mm] 全高:1,585mm[-60mm] ホイールベース:3,000mm フロントモーター:166kW(226ps)[+96kW、+131ps] リヤモーター:282kW(383ps)[+127kW、+173ps] 最高出力:478kW(650ps)[+253kW、+345ps] バッテリー総電力量:84kWh[+11.4kWh] モーター数:前1基、後1基 駆動方式:AWD フロントブレーキ:4ピストン 400mm リアブレーキ:1ピストン 360mm 回生ブレーキ減速度:最大0.6G タイヤサイズ:前後275/35R21 ピレリP-Zero 最高速度:260km/h 0-100km/h加速:3.4秒[-1.8秒] []内の数値はアイオニック5 Lounge AWDとの差
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