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国産屈指のスポーツ四駆!! GRヤリスの『GR-FOUR』はランエボ&WRXと基本が違う!!? 特長と弱点解消の秘密兵器とは

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国産屈指のスポーツ四駆!! GRヤリスの『GR-FOUR』はランエボ&WRXと基本が違う!!? 特長と弱点解消の秘密兵器とは

 GRヤリスは「エンジンだけで走る最後の武闘派4WDホットハッチ」ということから世界的な人気になりつつある。

 日本同様販売されている欧州を見ると、ニュルブルクリンクやワインディングロード、雪道といった路面条件でGRヤリスを全開で走らせているユーチューブが多数アップされており、いずれも驚くほど多い再生回数となってます。

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 なかでも「アメージング!」とか「ファンタスティック!」と表現されているのが新開発となる4WDシステム『GR-FOUR』だったりする。

 コーナーでアクセル踏んでいくとよく仕上げられた後輪駆動車のように「テールから曲がって行く」感じ。しかも前後の駆動力配分をスイッチ1つで変えられるようになっています。果たしてどんなシステムなのか? 以下、わかりやすく紹介したい。

文/国沢光宏、写真/編集部、TOYOTA

【画像ギャラリー】本文未掲載写真あり! あのレクサスLFAも生産した元町工場の「GR FACTORY」とGRヤリス

GR-FOURはかつてのランエボ&WRX STIの四駆と基本が違う?

 普通、スポーツ4WDの基本は、センターデフ+LSD(リミテッド・スリップ・デフ=)の組み合わせとなる。駆動トルクをガッチリ受け止めるセンターデフで前後の駆動力配分を決めておき、滑ったら制御するというシステムだ。

 三菱自動車の『アクティブセンターデフ』(かつてのランエボに搭載)やスバルの『DCCD』(WRX STIに搭載)も、センターデフと電子制御カップリングを組み合わせたもの。

GRヤリスの新開発4WD「GR-FOUR」は、かつてのランエボ、WRX STIに搭載されたスポーツ4WDとは異なり、センターデフを用いないシステム

 けれど、GR-4の場合、歯車を組み合わせたセンターデフを使っていない。そればかりか前輪はエンジンと直結しており、常に駆動されている。基本的にFFだ。

 面白いのは、エンジンから後輪への駆動軸も出ていること。その駆動軸に、いわゆる「電子制御4WD」と同じ油圧カップリング(クラッチと同じ構造)を付け、後輪を駆動していること。

 油圧カップリングを介し後輪への駆動力をコントロールしているのだった。したがってクラッチを繋いだ状態で前後50対50の駆動力配分になります。この状態で走ると、当然ながらアンダーステア傾向になってしまう。

 それじゃ楽しくない、ということで考えたのは「前後のギアレシオを変えてやれ」。後輪の回転数を上げるようにした。

前後の駆動力配分はスポーツモードで30対70!

SPORTモードでは、前輪30:後輪70の駆動力配分。この他にTRACKモード(前50:後50)、NORMALモード(前60:後40)があり、様々な走行モードで運転が楽しめる

 ということで標準モデルとなるGRヤリスのGR-FOURは、油圧カップリングを繋いだ状態にすると前後の駆動力配分が前30の後70くらいになると考えていい。

 これを『スポーツモード』としている。ただ、それだとコーナーでアクセル踏んだらオーバーステア。後輪から流れていってしまう。前輪の駆動力を充分に使えなくなることを意味します。

 そこで『トラックモード』を設定。油圧カッペリングの締結力を少し緩めることで、前輪側に駆動トルクが多く伝わるようにしている。トヨタのリリースによれば、トラックモードの前後駆動力配分は50対50になるという。

 さらに締結力を緩めてやれば最終的にFFとなるのだけれど、そういった制御は意味ないためやっていない。また、スポーツモードだと曲がりすぎるし、タイム出すためのトラックモードはアンダー傾向になることもある。

走行モードで一番バランスが良いのは、NORMALモード(前60:後40)である。油圧カップリングの油音の上昇はあるもの、問題ない範囲だという

 そこで通常の走行時は最もバランスのよい『ノーマルモード』とし、これまたトヨタによると前60の後40という駆動力配分にしているという。ヨーロッパのユーチューバーを見てると、スポーツモードで「ひゃっほ~!」してますね。

 ここまで読めばわかる通り、油圧カップリングの制御は、スポーツモードが「ロック」状態。トラックモードで少し緩め、ノーマルではさらに緩めている。

 ここまで読んで「緩めているトラックモードだと滑りが出るため油圧カップリングの油温が上昇するのでは?」と思うだろう。トヨタに聞くと「上昇しますが問題のない範囲です」。

スポーツ四駆『GR-FOUR』の弱点とそれを解決するオプションは?

GR-FOURの弱点にあげられるのが、グラベル(非舗装路面)での全開走行である。グラベルを全開走行する際は、等速トランスファーをオプションでつけるといい

 ということで、簡単かつ歯車式のセンターデフより20kgくらい軽量な素晴らしいシステムのGR-FOURながら、弱点もある。それはグラベルです。

 グラベルを速く走ろうとすれば前後の駆動力配分は50対50が基本。私もインプレッサWRXのグループNでラリーに出ていた際、SSを走る前、必ず「前後ロック」の50対50にします。

 前述の通りGR-FOURで前後の駆動力配分を50対50にしようとしたら、油圧カップリングを常時滑らせてないとならない。舗装路であれば大きな回転差出ないため油圧上昇もミニマムながら、グラベルだと常時大きく滑らせることになってしまう。

 しかもラリードライバーはアホなので全開全開常に全開だ。滑りっぱなしになっちゃうワケです。さすがのGR-FOURも油圧上昇し、セーブモードに入ってしまう。そこで考えたのが、前後の回転数を均等にしたグラベル用の等速トランスファー。

 標準仕様は後輪の回転数を若干大きめにしているトランスファーながら、グラベル用のみ前後均等。これだと油圧カップリングを完全に繋いだ状態で前後駆動力配分を50対50にできる。

 結果、ラリードライバーがいくら全開しても油圧カップリングは繋がったままなので油圧上がらないという寸法。ということだからして、アホみたいに全開でグラベルを走らないのなら標準。

 雪道やグラベルをずっと前後駆動力配分50対50のまま全開で走りたい人は、オプションの等速トランスファーを選べばよろしい。

【画像ギャラリー】本文未掲載写真あり! 製造工場 GR FACTORYからみるGRヤリス

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みんなのコメント

3件
  • 同じこと何回も書いて、文章読み直さないのかな?
    途中で読むのやめた、読む価値なし
  • カッペリングで爆笑して読むの諦めた。
    さすが国沢
※コメントは個人の見解であり、記事提供社と関係はありません。

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