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『ヨシムラ』マフラーの製造について秘密を聞いた!~小野木里奈の○○○○○日和~

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『ヨシムラ』マフラーの製造について秘密を聞いた!~小野木里奈の○○○○○日和~

■『ヨシムラ』に突撃取材を敢行!

 皆さん、こんにちは!バイク好き女優の小野木里奈です。2023年3月24日(金)~26日(日)まで3日間東京モーターサイクルショーが開催されました。今年はちょっと掘り下げて気になるパーツ系のブースに突撃取材してみました!

【画像】ヨシムラ製マフラーの画像を見る(15枚)



 今日のテーマは、ズバリ!『バイクマフラー』です。

 皆さんはバイクのマフラーといえば、何を思い浮かべますか?私は断然、メーカーの『ヨシムラ』を真っ先に思い浮かべます。私と同じ考えを持っている方も多いのではないでしょうか。

『ヨシムラ』というと、バイク初心者やバイクに乗ったことがない方でも認知している方がたくさんいるメーカーだといえるでしょう。そんな『ヨシムラ』のブースでの見どころや製品へのこだわりをマフラー事業部の吉田 学さん(以下:吉田さん)に突撃取材しました!

それではいってみましょう!

小野木:まず、今年のブースの見どころとは何でしょうか。吉田さん:やはり展示しているレーサーマシンですね。今年世界選手権(EWC)に出場する『GSX-R1000Rレーサー』と、1986年の鈴鹿8耐へ出場した『GSX-R750レーサー』が並んでいます



小野木:たしかにタンデムシート周りの形が現代のバイクには中々ないデザインですね。吉田さん:過去には辻本聡選手も乗っていたバイクなんですよ。

小野木:たくさんの歴史が詰まったバイクをこうして間近で観ることができるなんて素敵です。吉田さん:実は、この『GSX-R750レーサー』のマフラーを作ろうと思ったら結構大変なんですよ。

小野木:そうなんですね!歴史的に作り方がどんな風に変わってきているのでしょうか。吉田さん:そうですね… 例えば、古い方法で言うと「手曲」ですね。パイプをバーナーで炙って人力で曲げるのですが、曲げる時に折れないようパイプの中に砂を詰めます。そしてその熱を加えたパイプを人の手でグーっと曲げる方法なんですよ。

小野木:そんな方法だったとは… 今でもその技術で作られることはあるのですか?吉田さん:今でも「手曲」で作ることもあります。「手曲」で作られたマフラーは緩いカーブの形が特徴で、デザイン面でも人気なのですが、空間が必要になるのでネイキッドバイクなどに使われることが多い技術です。

小野木:バイクによってもマフラーの曲がり方までこだわって作ることができるのは素敵ですね。



吉田さん:一方、現代で主流になっているのは「機械曲」です。例えば、このブースでショーケースの中に飾られているマフラーです。

小野木:あ!マフラー単体だと曲がり方が全然違いますね!吉田さん:その通り!緩やかな「手曲」に比べて「機械曲」の方が曲がった部分がキュッとしているのが特徴です。『GSX-Rシリーズ』や『隼』などのフルカウルマシンや、エンジンとラジエーターの間の空間が狭い車両に使われることが多いです。



小野木:本当だ!言われてみれば曲がり方が全然違うんですね。吉田さん:そうなんです。「手曲」は人間が曲げるのでばらつきが出てくるんです。また、一本一本全く同じものを作ることはできないんですよ。「機械曲」は機械の力で曲げ加工してゆくので、同じ曲げパイプを大量に短時間で作れます。生産性が高いことがメリットなんです。この2つのマフラーが同時に見られるのも見どころだと思います。

■他のマフラーとの違いとは?

 マフラーを作る技術だけでも掘り下げると、こんなに面白いお話を聞けるとは思いませんでした。その数あるマフラーメーカーの中で、レースなどでも大活躍する『ヨシムラ』のマフラー。果たして、他のマフラーとはどんな違いがあるのでしょうか。



小野木:マフラーの素材へのこだわりは何でしょうか。吉田さん:特にチタンは軽くて強度があります。ショーケースに入っているマフラーも同様なのですが、このマフラーの集合部分は世界耐久レース(EWC)に参戦するレーサー専用なので作りが他と違うんです。

小野木:集合部?吉田さん:この集合部という部分が一番熱の影響を受けやすいんです。熱と振動で壊れないように、この部分だけ『64チタン』という素材を使用しています。おかげで強度と耐久性が上がりました。ただ、硬すぎてパイプに加工することすらできないんです。



小野木:壊れない一方で、パイプに成形することも難しくなるんですね。吉田さん:本来であればパイプを曲げる段階からですが、そもそもこの硬さのパイプを工作機械で作ることができないんです。なので、この素材の板を短冊状にして丸めたリング状のものを溶接して、このパイプの形を作っているんです。

小野木:えー!そうなんですか! でもよーく目を凝らしたらうっすら線が見えました!!吉田さん:カーブする場所は曲げられないので、より細かいリングを作って溶接しているんです。小野木:一本のパイプを曲げるのでなく、細かいリングが並んでいたなんて衝撃的でした!

 続いて、素材の次にマフラーの代名詞とも言える「音」について聞いてみました。



小野木:昨年の鈴鹿8耐で、渡辺一樹選手からご自身が感じる『ヨシムラ』マフラーの音の特徴についてもお話を伺いました。吉田さんにとって、『ヨシムラ』のマフラー音の特徴は何だと思いますか。吉田さん:そうですね~ 実際、音の質については開発する上で一番苦労する点なんですよ。



小野木:まさか音が一番難しいとは…吉田さん:はい。特徴は言葉で表現すると、「上品な音」です。細かい話ですが、単気筒か4気筒か等、エンジンの種類によって車両が元々持っている音質の素性がそれぞれ違います。ヨシムラマフラーに変えたとしても、その素性は残りますので、全て同じ音にはできないですが、基本的には「迫力はあるけど耳障りにはならないようなキメの細かい音」を意識して開発しています。

小野木:すごい…!「上品」というと、具体的に高めの音だったりするのでしょうか。吉田さん:そうですね… んーと、単気筒で考えるとわかりやすいかもしれません。例えば、バリバリ言うような破裂音は聞いていて嫌だなぁと思いませんか?やっぱり耳障りな音はなるべく無くしたい、という思いはあります。ちなみに、単気筒が一番音の作り方に苦労するんですよ(笑)



小野木:意外です!エキパイの本数が多い方が難しいと思っていました。吉田さん:1本だと誤魔化しがきかないので、やったことに対して全てダイレクトに反応が返ってきますね。

小野木:なるほど~納得です!でもそれだけ音にこだわりがあると、最終的な決定方法が気になります(笑) 音の感じ方って人それぞれですし。吉田さん:はい(笑) 最終的に開発者が社内でプレゼンします。開発としては、商品化に向けての最後の節目になるのでここが関門ですね。



小野木:音を作ることは苦労する点とお話ししていましたが、それ以外にもマフラーを作る上で難しいことは何でしょうか。吉田さん:排ガス規制への対策ですね。今はどんどん厳しくなっていて、純正車両が排ガスの燃焼を良くすることでなるべく排ガスを綺麗にしようとする傾向があります。そうなると排気温度が高くなり、以前に比べてマフラーへの負担が大きくなってきているのが現状です。

小野木:まさか排ガス規制が間接的にマフラーの負担を大きくする影響を与えていたとはびっくりです。吉田さん:そのため現在、ますます耐久性が重要となっているのですが、耐久性に関しては音量測定や出力測定とちがい1回の試験ですぐに評価がでるものではありません。

小野木:そのためにもたくさんの時間と労力が必要となってくるんですね。



小野木:最後に、吉田さんがマフラーに対する思いとは何でしょうか。吉田さん:マフラーってバイクの中で一番主張が強い、重要なパーツだと思うんです。機能性や音、そして見た目等、色んな一面を持っています。そのような意味でも中々他の部品にはないバイクパーツだと思うんですよ。やっぱりマフラーを付けるだけで見た目もパッと印象が変わるので、乗っている方にとっても恩恵を受けやすいと言いますか、楽しさを一番感じやすいパーツだと思っています。「見て・聞いて・感じて」とあるように、たった1本で何度も美味しさを感じるパーツなんです。それを作ることに日々やりがいを感じて私たちはマフラーを開発しています。

小野木:安全性はもちろん大事ですし、それだけでなくライダーの皆さんに楽しさも提供し続けたいという思いが伝わりました。本日はどうもありがとうございました。

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