F1ジャーナリストがお届けするF1の裏話。第1戦オーストラリアGP編です。
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ローソンがレーシングブルズ移籍後初のイベント登場。「このパッケージでベストの走りをしたい」:F1お台場
F1ドライバーが街に出て「普通のこと」をするのは、私たちの想像以上に難しかったりする。すぐにファンの目に留まってしまうからだ。そして、大勢のファンが同じ街に集まってくるレースの週末になると、ドライバーたちのそうした試みは、なお一層困難になる。
オーストラリアGPがまた以前のようにシーズン開幕戦になったことは、2025年のカレンダーの歓迎すべき変更点のひとつだった。実際、数多くのチームメンバーやドライバーがお気に入りのイベントのひとつにあげているこのレースは、にぎやかな雰囲気という点ではバーレーンとは比べものにならない。なにしろ、あちらでは広大な砂漠の真っ只中で、限られた数の観客が開幕戦を見守っているだけだったのだから。
それとは対照的に、アルバート・パークでのレースの週末には合計50万人近いファンがサーキットに詰めかけ、スポーツの街として知られるこの大都市の中心部には素晴らしい雰囲気が醸し出された。
ただ、ドライバーたちにとっては不都合なこともある。週の前半であっても、しばしば街中で呼び止められてしまうのだ。ピエール・ガスリーは週末に向けての準備として、長時間のジョギングをしたいと思っていた。そして、そういったトレーニングがファンによって中断されるリスクがあることも、十分に承知していた。
ガスリーは二者択一のジレンマに直面した。ホテルのジムに備えられたトレッドミルで走ることもできたが、それは同じ場所で長時間を過ごす退屈なトレーニングになる。しかも、ジムに2時間近くいるとなれば、誰かに気づかれて邪魔が入る可能性も高まるだろう。
結局、彼はむしろ外で走った方がよさそうだという結論に達した。途中でファンに遭遇しても、走るペースを上げれば逃げきれると考えたのだ。
市街の中心部から出発したガスリーは、かなりのハイペースでビーチへと向かった。そこなら街中よりぐっと人の数も減るが、暑い日のビーチにはまだそれなりに人出がある。彼は海岸線に沿ってどんどん走り続けた。そこまで行くと、さすがに人影もまばらになってくるからだ。やがて彼はずいぶん遠くまで走り、そろそろ引き返す判断をすべきところまで来た。それ以上先へ進めば、体力を使い果たして、公共交通機関かタクシーを使ってホテルへ戻る必要に迫られていただろう。
ひたすら同じ方向に進み続けた結果、ガスリーは海岸線沿いにハーフマラソンを超える距離を走ってきていたのだ! その後、彼は大きくペースを落としながら、どうにかホテルまでジョギングで戻り、セルフィーをねだるファンに呼び止められる事態も避けられた。
レースの週末が始まると、ドライバーたちはさらなる創意工夫を強いられる。土曜や日曜になれば、街中のファンの人数が一気に跳ね上がるからだ。それゆえにドライバーの大部分は、多数のレストランやバーを備えたメルボルン中心部のホテルコンプレックスに留まることを選ぶ。
街へ出なくても行き先にいくつかの選択肢があるのは、ドライバーにとってありがたいことだ。ただ、そうした場所には一般の利用客も少なからずいる。そして、席に着いて食事を始めれば、ファンに話しかけられたりすることは滅多にないものの、さらに別の店へ移動しようと思うと、いささか面倒なことになりうる。
そこがサポートチームの腕の見せ所だ。彼らはホテルの支配人と交渉し、従業員用のエレベーターや裏の通路を使わせてもらうのだ。そうして大勢の一般客と同じエレベーターに乗ったり、歩いているうちに周囲にファンが集まってしまうリスクを回避しながら、どこでも行きたいところへ行けるようにするのである。
ひとたびレースの週末が終われば、ドライバーたちもそれほど手の込んだことはしない。だが、カルロス・サインツは月曜の昼前に、少々油断しすぎるというミスを犯した。ブランチをとろうとメルボルンで人気のカフェへ向かう途中で、彼を見つけたファンのグループに追跡されていることに気づいたのだ。
しかも、サインツにとって致命的だったのは、そのカフェが席の予約を受け付けず、入口にいた店員が彼を知らなかったことだ。カルロスは一般の客に混じって列に並ぶことになったが、礼儀正しく店員の指示に従い、そのことについてはひと言も文句を言わなかった。ただ、避けがたい結果として、順番を待っている間、何度となく写真撮影とサインの求めに応じなければならなかった。
サインツほどのドライバーが、腹を空かせていながらずっと笑顔でファンに対応したことには、誰もが大いに感銘を受けた。おそらくは、オーストラリアの観客が彼のドライビングスキルから受けた感銘以上に……。
[オートスポーツweb 2025年04月03日]
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