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ロングドライブで再発見! ボルボの7シーター「XC90」のGT性能は、ハンパなかった。

掲載 更新 6
ロングドライブで再発見! ボルボの7シーター「XC90」のGT性能は、ハンパなかった。

■日本でボルボ人気が高い理由
長距離移動は、クルマのグランドツーリング性能を確認する意味でかなり大事なこと。だが、コロナ禍になってからもう1年以上、海外はもちろん行っていないし、国内でも遠方へ取材しに行く機会が極端に減っているのが現状だ。

そんなことを考えていたら、ボルボ・カー・ジャパン広報部から編集部に「VOLVO XC90 LONG TEST DRIVE」と銘打たれた試乗イベントのお誘いが届いた。このイベントは、6月21~25日の5日間、「東京→仙台→新潟→金沢→長野→東京」を、XC90で走破するというもの。我々driverチームは、6月23~24日に「金沢→長野」の区間に参加した。

【画像ギャラリー】GT性能に驚いたボルボのXC90と、金沢・高山のきれいな景色(全30点)

1日目は東京駅から北陸新幹線で金沢駅へ。2日目に試乗車のXC90 B6 AWD Rデザインを受け取ると、早速市内へ繰り出した。加賀藩前田家の城下町として栄えた金沢は、第2次世界大戦の戦禍を免れたこともあって、21世紀の現在も北陸でもっとも歴史を感じさせる風情ある街並みが残る。有名なひがし茶屋街や長町武家屋敷跡なども散策したいところだったが、今回のメインはXC90のテストドライブ。兼六園沿いの雰囲気のいいロケーションで撮影すると、金沢を後にした。

それにしてもXC90は、日本の古い街並みによく似合う。試乗車は専用のエクステリアパーツや22インチの大径アルミホイールなどを装着したRデザインだったが、XC90本来の折り目正しい端正な造形は、和の雰囲気の背景との親和性の高さを感じさせてくれる。ボルボが長く日本で高い人気を誇るのは、日本人の美的感覚にスカンジナビアン・デザインが上手くフィットするからなのかもしれない。


■悪路走行も頼もしいオフロードモード
ストップ&ゴーが多い市街地では、XC90はとても軽快な走りを見せる。試乗したXC90 B6 AWD Rデザインは、最高出力300馬力/最大トルク420Nmの、気筒休止機構を備えた、電動スーパーチャージャー付き2L直4直噴ガソリンターボエンジンを搭載。さらに、13馬力/40Nmを発揮するモーターを組み合わせる、48Vマイルドハイブリッドだ。発進時にはモーターが即座にトルクを発生させるので、動き出しがとても軽く、車両重量が2トンを軽く超える事実をまるで感じさせない。加速中も8速ATの変速時に発生するトルクの谷間をモーターがアシストするので、とてもスムーズで伸びやかな加速が味わえるのである。

せっかくだから日本海を見に行こうと、金沢市中心部から10km程の距離にある内灘町の内灘海岸へ。ここは幅1km、南北9.6kmもある、日本で3番目に大きな砂丘である「内灘砂丘」の一部で、波打ち際までクルマで近づくことができる。

都会的なイメージが強いXC90だが、オフロード性能も侮れない。XC90は「SPA(スケーラブル・プロダクト・アーキテクチャー)」と呼ばれる前輪駆動を基本としたプラットフォームを採用し、サスペンションはフロントがダブルウイッシュボーン、リヤはマルチリンクと4輪独立式。電子制御の多板式クラッチをセンターデフに備えた、ボルグワーナー製の電子制御4WDシステムを搭載し、通常はほぼFF状態で走行するが路面状況に応じて前後輪の駆動トルクを最適に制御してくれる。

さらに今回の試乗車は、オプションの電子制御リヤ・エアサスペンション/ドライビングモード選択式FOUR-Cアクティブパフォーマンスシャシーが備わっていた。オフロードモードを選択すると、車高が上がり駆動トルクも4輪に配分されて、砂地でもまったく不安を感じさせない優れた走破性能を披露する。さすがに前後リジッドサスの本格オフローダーほどの悪路走破性は期待できないが、キャンプやスキーの移動の足としては十分以上である。


■本領発揮は高速道路のクルージングで
金沢から南下して、次は岐阜県の白川郷を経由し高山市へ。北陸自動車道と東海北陸自動車道で約2時間。走行距離は約130kmである。XC90で走る高速道路は非常に快適だ。パワートレーンが十二分にパワフルなので、加速力に余裕があり、かつスムーズ。巡航時には緻密に2気筒を休止制御するが、2~4気筒の切り替わりもメーターパネル内の表示を見なければ判らない。乗り心地も、ホイールベースが2985mmもあるので、275/35R22サイズのピレリPゼロを履いているのが嘘のようにフラット。エンジンノイズやバイブレーションはしっかり抑えられていて、静粛性も高い。また直進性が良好なので運転がとても楽だ。車線維持支援機能であるパイロット・アシストと全車速追従機能付きACC(アダプティブ・クルーズ・コントロール)をアクティブにすれば、どこまでも走って行けそうな気分になる。

高山では、取材に同行した山本佳吾カメラマンが、ラリー取材で何度も訪れたことがあるという食事処へ。ホルモン焼きの名店「鉄板焼 国八食堂」で昼食を取った我々は、国道158号で上高地を越えて長野県松本市へ向かった。距離は80km程だが、道程の大半は勾配がきつく曲がりくねったワインディングロードである。

ここでもXC90は完成度の高い走りを披露した。パワフルでスムーズなパワートレーンがストレスのない加速を示してくれる。それを実現しているのが、電子制御リヤ・エアサスペンションと、減衰力を連続的に最適制御するドライビングモード選択式FOUR-Cアクティブパフォーマンスシャシーだ。余計なピッチングやローリングを抑えて、俊敏で正確なハンドリングと、優れた快適性を両立。特にスポーツモードでは、22インチタイヤをまったく持て余すようなこともなく、大柄な車体を意識することもなく、とても気持ちのいいドライブが楽しめた。


■疲労を感じにくい秀逸なシート
そしてこれはボルボの伝統のひとつだが、シートの出来が非常にいいことも、楽しく快適な走りに大きく寄与している。ゆったりしたサイズながら絶妙なホールド感があり、優しく包み込むように身体を支えてくれるシートは、これを理由にクルマを買う人がいても不思議はない。

松本ICからは長野ICまで長野自動車道に乗り、16時過ぎに最終目的地の長野駅に到着。この日の走行距離は300km強と、ロングドライブと言うほど長くはないが、体感的にはもっと短かく感じた。つまり、XC90がとても快適だったので、疲労を感じなかったのである。ロングドライブに打って付けの1台と言っていいだろう。ちなみに今回の燃費はワインディングロードが多かったにもかかわらず、WLTCモードの10.5km/Lとほぼ同じだった。

6月24日にボルボは、2022年にXC90の後継モデルとなるBEVがお披露目されると発表した。現行モデルは2015年デビューなので、すでにモデルサイクルの後半に入っていることは間違いないが、XC90は最新のライバルと比較してもまったく見劣りしないどころか、このクルマでしか味わえない魅力に溢れていると、今回の取材で改めて確認することができた。車両価格は消費税込みで1000万円前後と決して安くはないが、オーナーになれば高い満足感が味わえるはずである。

<文=竹花寿実 写真=山本佳吾>

■B6 AWD Rデザイン エアサスペンション装着車(4WD・8速AT) 

主要諸元
【寸法mm・重量kg】
全長:4950mm
全幅:1960mm
全高:1760mm 
ホイールベース:2985mm 
トレッド:前1675mm/後1680mm 
最低地上高:180mm 
車両重量:2150kg 

【パワーユニット・性能】
エンジン型式:B420T 
エンジン種類:直4DOHCターボ+電動スーパーチャージャー 
ボア×ストローク:82.0mm×93.2mm 
圧縮比:9.0 
総排気量:1968cc 
エンジン最高出力:220kW(300ps)/5400rpm 
エンジン最大トルク:420Nm(42.8kgm)/2100~4800rpm 
使用燃料・タンク容量:プレミアム・71ℓ 
モーター型式:3330 
モーター種類:交流同期電動機 
モーター最高出力:10kW/3000rpm 
モーター最大トルク:40Nm/2250rpm 
駆動用バッテリー:リチウムイオン 
WLTCモード燃費:10.4km/ℓ 
最小回転半径:6.0m 
乗車定員:7人 

【諸装置】
サスペンション:前ダブルウイッシュボーン/後マルチリンク 
ブレーキ:前後Vディスク 
タイヤ:前後275/35R22

【価格】
車両本体価格:1004万円
 

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みんなのコメント

6件
  • 毎回ボルボねたみのコメントが出るな
    稼げてないんだな、日本人
  • 高速使って旅するなら最高の相棒だろうな
    頑張って働いてオーナーになりたい
※コメントは個人の見解であり、記事提供社と関係はありません。

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