EQAからEQSと各セグメント毎に続々と登場するメルセデスのEQ(BEV)シリーズ。そして早くも「IAAモビリティ2021」でデビューしたAMGモデル、EQS AMGの国際試乗会が開催された。EV×AMGとは一体どんな世界なのか!? 早速、アメリカ西海岸からの第一報をお届けしよう。
スペック通りの強烈な動力性能
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現在のメルセデスは「メルセデス・ベンツ」「メルセデスAMG」「メルセデス・マイバッハ」「メルセデスEQ」の4ブランドを展開している。メルセデスがあって、それのスポーティなバージョンがAMG、超高級がマイバッハ、そして電気自動車がEQで、とても分かりやすいブランド戦略である。ところがこの「メルセデスAMG EQS53 4MATIC+」はAMGとEQを掛け合わせたモデルで、「そういうのもアリなのか!」と思った。こうなると「メルセデス・マイバッハEQS65AMG」とかがいずれ出てくるかもしれないなんて考えたら、自分なんかはちょっと困ってしまった。
EQS(とEQE)はBEV専用のプラットフォームを使い、モーターをリアだけに搭載した後輪駆動の「450+」と前輪もモーターで駆動する4輪駆動の「580 4MATIC」の二本立てで、ここに「53 4MATIC+」が新たに加わった。AMGがEQSに手を施したのは、エクステリア/インテリア/サスペンション/モーターとその制御の4点だという。
フロントフェイスは縦のラインを強調したいわゆるAMGグリルで、状況に応じてフラップを開け閉めしながら冷却と空力を両立させる機構も備わっている。リアにはトランク上にリップスポイラーとバンパー下にディフュザーをそれぞれ設けた。シートはAMG専用のしつらえで、トリムにはカーボンも選べるようになっており、内外装の仕立ては内燃機のAMGモデルに準じている。
前後に置かれたモーターはAMG専用だそうで、ノーマルのEQSよりパワフルとなった。EQS580が523ps/855Nmを発生するのに対してEQS53は658ps/950Nmを誇り、オプションのダイナミックパッケージを選ぶと761ps/1020Nmにまで増強される。いっぽうでバッテリー容量はEQSと同じ107.8kWhだから、航続距離はEQSの770kmから最大で585kmと少なくなっている。エアサスペンションの形式や構成に変更はないが、電子制御式ダンパーはAMG GTの4ドアのものを使い、あらたに制御プログラムを書き換えている。ばねレートと減衰力、そして前後駆動力配分は常時可変のタイプである。
EQSはゆったりとしているのにしっかり感もある上々の乗り味だった。それに対してEQS53は全般的に引き締まったちょっと硬めの乗り味である。EQSがちょうどいい茹で具合の麺だとしたら、EQS53は少し早めに湯釜から引き上げたような感じである。誤解のないように付け加えておくと、乗り心地自体は決して悪くなく、ロングドライブでも疲れない快適なものだった。
動力性能はスペックからも想像できるように強烈である。強烈すぎて一般道ではうかつにペダルを踏み込めないほどだったけれど、コンフォートモードであればトルクの立ち上がりが緩やかなので、ナーバスにならず扱える。EQSと同じく後輪操舵が標準装備なので、これが旋回時には効果的に働き、全長5m強、ホイールベース3m強のボディを小さく感じさせてくれる。2655kgの車重はパワーで、大きなボディは後輪操舵でそれぞれ相殺してくれる結果、ワインディングロードでもおっくうにならず、むしろ気が付けば結構なペースで楽しんでいた。
面白いのは、加速時にモードに応じて〝加速音〞をスピーカーから流している点。スポーツモードでは「クウィーン」という音とともに怒濤の加速をする。「サウンドもAMGの特徴のひとつですから」とはエンジニアの弁。
BEVをチューニングするというAMG史上初の試みは、良好な船出となったようだ。
【Specification】メルセデスAMG EQS 53 4MATIC+
■全長×全幅×全高=5216×1926×1512mm
■ホイールベース=3210mm
■トレッド= 前1667mm/後1682mm
■車両重量=2655kg
■バッテリー種類=リチウムイオン
■バッテリー容量=107.8kWh
■モーター最高出力=658ps(484kw)
■モーター最大トルク=950Nm(96.9kg-m)
■航続距離=(WLTC)511-585km
■サスペンション形式=前4リンク/エア、後マルチリンク/エア
■ブレーキ=前Vディスク、後ディスク
■タイヤ(ホイール)=前-、後-
公式ページ https://www.mercedes-benz.co.jp/
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