再再販の3代目ランクル“70”に試乗
トヨタの本格オフローダーである「ランドクルーザー」シリーズ。中でも“70(ナナマル)”といえばシリーズ中最もハードな場面で活躍するクルマだ。初代BJ型から引き継いだ堅牢性、走破性、整備性から、「どこへでも行き、生きて帰ってこられるクルマ」として1984年11月に誕生した“70”シリーズは、そのヘビーデューティさを遺憾無く発揮。日本国内だけでなく、たとえば中東・オマーンの海岸にある漁村で地引網を引いたり、道なき道のアフリカ奥地に医療品を輸送したりそこから患者を移送したり、オーストラリアの地下炭鉱で働く鉱夫の搬送に使用されたりと、世界中でそれぞれの役目を確実にこなしてきたのは有名な逸話。初代の生産は2004年まで続けられた。
2世代目は2007年、4.5L V8ディーゼルエンジン搭載し、フロント周りのデザインを変更してデビューしたものの、残念ながら海外専用モデルのみで日本での販売はなし。日本では2014年、発売30周年の限定記念モデルとして1年間だけ復活。排ガス規制をクリアするため、搭載していたのは4.0LのV6ガソリンエンジンだった。
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懐かしさと新鮮さを感じるエクステリア
そして発売から40年経った今年、カタログモデルとして復活したのが3代目となる“70”だ。四角いボディに丸目2灯のヘッドライトという組み合わせは、1984年(昭和59年)の初代を彷彿させる変わらないカタチであり、昭和世代の筆者には懐かしく、若い世代にはクラシカルかつ新鮮に映るはず。そして価格は500万円切りの480万円(AXのモノグレード)というから、大人気モデルとなるのは約束されたようなものだ。
試乗した車両は、ヘリテージカラーのサンドベージュをまとっていて、もうこれだけで嬉しくなる。丸型のヘッドライトがLEDになったり、アルミホイールが切削加工されたりしているのは現代のクルマらしいところだが、クラシックな字体の「LANDCRUSER」「TOYOTA」「4WD」のロゴをはじめ、ボンネット前端のガッツミラーや、手で引き伸ばすタイプのロッドアンテナ、ゴツい牽引フック、背面のスペアタイヤなどは健在。オーソドックスなエクステリアは長く安心して付き合えること間違いなしだ。
ボディは全長4,890mm、全幅1,870mm、全高1,920mm、ホイールベースは2,730mm。開けるのを躊躇するほど重い鉄板ボンネットの中央部分が膨らんでいるのが今までとちょっと異なるところで、それをなんとか持ち上げて顔を出すのが「1GD-FTV」型2.8L直列4気筒DOHCディーゼルターボエンジン。最高出力204PS/最大トルク500Nmを発生する。左フェンダーに補給口がある尿素SCRシステムを採用した最新の環境対応型エンジンで、やっぱりこうしたクルマにはディーゼルが相応しいのだ。これを冷却するために巨大なラジエーターを搭載したことがボンネットが膨んだ理由で、対人衝突に対応した形状にもなっている。
無骨なアナログ×最新装備がイイ!
「ガチャン」という鉄板らしい音がするドアを開け、Aピラーのハンドルに手をかけて「どっこいしょ」(昭和です……)と運転席に乗り込むのは、背の高いオフローダーのお約束。スターターボタンではなく、キーを差し込んで回すというエンジンスタートも昭和感満載の儀式のうちのひとつだ。
メーターは、車速、エンジン回転数、電圧、水温、燃料、クーラントなどを赤い針で示すアナログ計器の横に4.2インチTFTカラーディスプレイを配して燃費等の各種情報を表示するハイブリッド式。コラムからはえたライトスイッチはAUTOモード付きの最新のものだが、その下のクルーズコントロールレバーは前車を追従することができない単純な車速設定型だ。
硬い樹脂で成形された無骨な垂直形状のダッシュボードには、シンプルなデジタル時計と7インチのトヨタ純正ナビ(オプション)が並ぶ。その下には手袋をしていても操作がしやすいスライドレバーと回転ダイヤルで温度と風量を調節するマニュアル式エアコンパネルが、今も変わらずに装着されている。一方で、その横には最新のタイプC型USBポートが2基備わっていて、時の流れを感じさせる対比が面白い。
センターコンソールには機械式でゴリゴリした感覚を伝える6速ATのシフトレバーと、2WDと4WDのモードを選ぶトランスファーレバーが並ぶ。まさに男の仕事場(死語ですね……)。垂直で広いガラスエリアに囲まれた低いウエストラインのおかげで運転席からの視界は良く、さらに後席が1段高くなっているので、どこに座っても居心地がいいのが素晴らしい(乗り心地は後述)。逆にそのせいで運転席からの後方視界が遮られるのだが、ギアをリバースに入れるとルームミラーに後方の画像が映し出されるバックカメラを装備して対処している。
両開きドアを開けて出現するリアラゲッジは真四角で広い。タンブルフォールディングのリアシートを畳めばさらに広大に。床面が高いのだけがネックだけれど、とにかくなんでも積み込めるという能力は、初代から変わらない美点だ。
2年先まで待つ価値は十分にある
強固なラダーフレームと、車軸が繋がるリジッドアクスルの組み合わせによる走りは、段差や凹凸部分を通過した時に大きめにボディが揺すられるのが特徴であり、独特のクセでもある。昭和のドライバーなら思わず「コレコレ」とつぶやくだろうし、若い世代には新しい乗り物に乗り込んだという感じが伝わる事だろう。
そしてこちらも変わらずのリサーキュレーティングボール式ステアリングは、ロックtoロック4回転以上という超スロー。直角コーナーなどでは、水車の如くグルグルグルと回し、戻しも同じように回す必要がある。それが下り坂なんかだとボディがぐらりと捩れるような感覚も伝わってきてちょっと焦ったりする。しかし、これらを総じて“楽しい”と思えるようになればこっちのものだ。
大きく変わったのは直進性。高速道路を走ると、これまでのように当て舵を加える事なく、とにかくまっすぐに走ってくれる。これは嬉しい。そして乗り心地も改善。リアのリーフスプリングを、10年前の記念モデルの6枚から2枚に減らした(耐久性は変わらず)ことによる効果だ。高速道、一般道、河川敷の砂利道などを走った今回の燃費は約9km(WLTCモードは10.1km/L)。130Lのタンクに燃料を満たせば、はるか1,000km以上先まで無給油で辿り着ける。軽油なので、おサイフにも優しいのだ。
“70”の月販台数は400台で、すでに2年先まで予約で埋まっているらしい。それだけ待っても価値が変わらないことをみなさんご存知だからだ。
SPECIFICATIONS
トヨタ ランドクルーザー“70” AX|Toyota Land Cruiser“70” AX
ボディサイズ:全長4890×全幅1870×全高1920mm
ホイールベース:2730mm
車両重量:2300kg
駆動方式:パートタイム4WD
エンジン:2.8リッター直列4気筒DOHCディーゼルターボ
総排気量:2754cc
最高出力:150kw(204PS)/3000-3400rpm
最大トルク:500Nm(11.0kg・m)/1600-2800rpm
トランスミッション:6段AT
価格:480万円(税込)
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みんなのコメント
他って〜とジムニーしか所謂クロカン車は無いじゃんね
プラドもクロカンってか高級車目指してるようだし…
後は転売期待してる向きもあるだろうし…
どんな犠牲を伴ったとしても
世の中の幸せな者、成功してる者を徹底的に叩き潰す。
我らスズキジムニープライドの名に賭けて。