新車試乗レポート [2023.10.13 UP]
レクサス新型LBX先取りレビュー《新作コンパクトSUV》
最新のレクサスモデルが一堂に会した「レクサスショーケース2023」が先日富士スピードウェイで開催された。その中でも、大きな注目を集めていた「LBX」。その走りはどれほどのものなのか? 気になるユーザーも多いだろう。レクサスの新たなエントリーモデルの実力は如何に?
新型レヴォーグ レイバック先行試乗! 優秀ツアラーが魅せる次世代スバルの走り
●文:山本シンヤ ●写真:Lexus International
【今秋以降登場予定!】LEXUS 新型LBX試乗インプレッション
プレミアムの新ジャンル
「小さな高級車」を目指して
これまで、世界の自動車メーカーが挑戦するもなかなか成功に至らないジャンルが「小さな高級車」。レクサスがそこに挑戦したモデルが「LBX」だ。このクルマに与えられたミッションは高級車の「ヒエラルキー」を変える事。つまり、「高級車=権威の象徴」からの脱却を意味する。
今回、富士スピードウェイで2023年に発表されたレクサスモデルたち一堂に集めた「レクサスショーケース2023」が開催されたが、その中で短時間ではあるものの富士スピードウェイ・ショートコースでLBXを試乗することができたので、その印象をお届けしたい。
まずLBXのエクステリアは、全長4190×全幅1825×全高1560mmとコンパクトなサイズながら堂々としたスタイルを持つ。ドシッと踏ん張りのあるスタンスの良さは、日本の伝統「鏡餅」がモチーフだそうだ。
インテリアはステアリングからメーター、ヘッドアップディスプレイまで繋がる「TAZUNAコクピット」の概念は踏襲するが、そのデザインやイメージはLBX専用に仕立てられている。個人的には新世代レクサスの中で最も自然かつ整ったレイアウトだと思う。またシートポジションもこだわりの一つで、実際に座るとクロスオーバーと言うよりもハッチバックに近い着座感だ。リヤシートとラゲッジは、LBXのキャラクターを考えれば必要十分と思う。
電動駆動を積極活用し
1ランク上の性能を狙う
パワートレーンは、1.5ℓ直列3気筒にシリーズパラレル式を組み合わせるハイブリッドを搭載。文字面だけだと、他のトヨタ系コンパクトハイブリッド車と同じと思いきや、エンジンは音と振動を抑えるためにバランサーシャフト付きが奢られ、ハイブリッドシステムを含むトランスアクスルは、より高出力なノア/ヴォクシー用の第5世代を採用している。さらにバッテリーは大電流を流せるバイポーラ型ニッケル水素を採用と、随所にLBX専用となる設計が注がれている。なお、駆動方式はFFに加えてE-Fourも設定されるようだ。
パワートレーンの印象だが、トヨタ&レクサスの全てのハイリッド車の中で最も「電動車」感が強めに思える。発進時はEVモードで、アクセルをかなり踏み込んでもエンジンは始動しにくく、そしてエンジンが始動してもそれを気づきにくい。率直に言って、実用域ではエンジンの存在はかなり薄めだ。アクセルを踏み込むと3気筒特有のビートは感じられるが、それは軽やかなサウンドのみで、耳障りな振動やザラっとした感触が抑えられている。回した時にもう少しパンチが欲しいと思うものの、世にある3気筒の中では、最も品があるエンジンだと感じた。
コーナーでの切れ味と
安定感は、完全にクラス超え
プラットフォームはGA-Bを採用するが、ボディ骨格にはフードのアルミ化やホットスタンプ材の積極的な採用、さらに短ピッチ打点技術や構造用接着剤の採用部位拡大などで、随所で剛性アップが図られたLBX専用となっている。シャシー系もジオメトリーが刷新されたフロントサスペンションや3点締結の入力分離型アッパーサポート、アルミ鍛造ナックル、新開発のショックアブソーバーなどを採用している。リヤサスはFFはトーションビームだが、4WDがトレーリングアーム式2リンクのダブルウィッシュボーンだ。
フットワークの印象は「軽快な動きなのに重厚なフィーリング」を強く感じる。タイヤの四隅配置&ワイドトレッドによる踏ん張りの良さもあって、直進時はコンパクトサイズらしからぬドッシリ感で絶大な安心感がある。それでいてコーナーでは前後バランスの良さが印象的。その結果、Rが強いコーナーでもアンダーステアはほぼ顔を出すことがなく、操作に対してオンザレールで旋回してくれる。実はかなりのハンドリングマシンなのだ。
乗り心地に関しては、今回試乗したコースがフラットなサーキットだったので断定はできないものの、縁石に乗った時の入力の伝わり方やショックの抑え方などは、電子制御ダンパーと錯覚するくらいしなやかさと強硬のバランスが良かった。コンパクトクラスでも上級モデルらしい乗り味を、期待してもいいだろう。
LBXはレクサスのラインナップの中では最も小さなモデルとして投入されるが、その内容を知れば知るほど兄貴分のモデル以上のこだわりが凝縮されている事が分かる。今までありそうでなかった”真“の小さな高級車、レクサスのゲームチェンジャーになるのは間違いなさそうだ。
パワートレーンは、ダイナミックフォースエンジンをベースとした1.5ℓハイブリッドの改良型を搭載。電動駆動を積極的に活用する制御特性が強まったことと相まって、エンジンの色が上手に薄れている。巧みな防音処理のおかげもあって、キャビンはとても静かだ。
コーナーに飛び込んだ時のしっかりとした安定感は、とてもコンパクトクラスとは思えぬほど。シャシー&サス設計にレクサスらしい贅沢な工夫が盛り込まれたことで、抜群のシャシー性能を手に入れている。
主要諸元(プロトタイプモデルの数値) 全長:4190mm 全幅:1825mm 全高:1560mm ホイールベース:2580mm タイヤサイズ:225/60R17、225/55R18
18インチの大径タイヤと樹脂製ホイールアーチトリムでクロスオーバーであることを示しているが、プロポーションそのものはコンパクトハッチに近い。広い全幅を活かした、強い抑揚のある筋肉質の面構成が印象的だ。ちなみに日本での発売は今年の秋以降を予定している。
レクサスらしい贅沢な素材を用いたキャビン。センターディスプレイは9.8インチで、多くの機能をスマホ感覚でタッチ操作可能。スイッチ類もサイズや配置、形状にこだわってデザインされている。
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