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生き延びてほしかった!? 車種整理でこれから消えるトヨタ車は?

掲載 更新 96
生き延びてほしかった!? 車種整理でこれから消えるトヨタ車は?

 トヨタは昨年5月から全国的に全店での全車種販売を開始して、着々と車種整理が進んでいる。昨年末にはポルテ/スペイドが生産を終了した。そして、3月末にはついにプレミオ/アリオンとプリウスαも生産終了となる。

 それではこの先、ほかにはどのトヨタ車が消えることになるのか?

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 まず、今後車種整理が行われるのは、内外装に違いが与えられているだけで基本的に同一車種の姉妹車が中心になりそうだが……。すると、ヴォクシー/ノア/エスクァイアの3姉妹ミニバンは? そして、高級ミニバン姉妹のアルファード/ヴェルファイアはどうなるのか? 

 そのほかにも消滅する車種はあるのか? これから車種整理で消えることになりそうなトヨタ車はこれらだ!

文/渡辺陽一郎  写真/トヨタ、ベストカー編集部

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■近年トヨタはエスティマやポルテ&スペイドなど……を廃止

ポルテの運転席側は普通のヒンジドアだが、助手席側には1枚の大開口ワイヤレス電動スライドドアを設定。発売時の売り上げは堅調だったものの次第に失速し、2020年9月に生産終了

 今の自動車業界は、100年に一度の変革期といわれる。モーター駆動を併用する環境性能の優れた車両開発、安全性能の向上や自動運転の技術開発も行うから、先行投資が多い。

 新しいプラットフォームも、ハイブリッド、電気自動車、さらにサイズによっては燃料電池車にも応用できるように開発する必要があり、車種構成を見直す必要も生じた。そのために各メーカーとも、新規車種の導入と併せて、既存の車種の廃止も行っている。

 特にトヨタは小型/普通車で約50%のシェアを持つから、廃止する車種も多い。この数年間で、エスティマ、ポルテ&スペイド、マークX、クラウンマジェスタ、ルーミーの姉妹車になるタンクなどを廃止した。

■トヨタ販売店は全店で全車の取り扱いで格差拡大!

プリウスαは、プリウスのボディを拡幅した5人&7人乗りのワゴン。パワートレインは、ベースの3代目プリウスと同じ1.8Lエンジン+2モーターのハイブリッド。2021年3月末の生産終了が決定

 トヨタは2018年に、国内の全店舗で全車を扱う方針を打ち出し、日本で売る約60車種を半数の30車種前後に減らすことを示唆した。2019年には東京地区の販売系列がトヨタモビリティ東京に統合され、2020年5月からは、ほかの地域でもトヨタの全店が全車を扱う体制になった。

 トヨタではメーカー資本に頼らない地場の販売会社が多いため、4つの系列は残すが、全店で全車を購入できる。もともと販売系列は、取り扱い車種を区分する制度だから、全店が全車を扱えば次第に形骸化していく。

 新しい販売体制の影響は予想以上に早く表れ、アルファードとヴェルファイアは、基本的に同じクルマなのに販売格差が急拡大した。

 現行型の発売直後は従来と同じくヴェルファイアが多く売られていたが、2017年12月のマイナーチェンジでアルファードがフロントマスクの存在感を強めると、両車の販売順位が逆転した。

 アルファードが上まわり、2020年5月以降は、ヴェルファイアとの販売格差がいっそう広がったのだ。2021年1月は、アルファードの登録台数が1カ月に1万台を超えたのに、ヴェルファイアは1000台以下だ。10倍以上の格差になった。

 従来であれば、ネッツトヨタ店と付き合いがあったり、その近所に住むユーザーは、トヨペット店のアルファードに魅力を感じてもネッツトヨタ店のヴェルファイアを購入した。しかし今は、従来はアルファード&ヴェルファイアを販売していなかったトヨタ店やトヨタカローラ店を含め、どの店舗でもアルファードを買える。

■ヴェルファイアは廃止される可能性が高い

アルファードと姉妹車の関係にあるヴェルファイア。2020年の年間販売台数9万748台を誇るアルファードに比べ台数で劣り、トヨタ店統一の流れを受けて次のモデルチェンジでは消滅する可能性がある

 つまり系列化の垣根がなくなると、販売しやすいクルマが好調に売れて、人気のない車種は販売不振に陥るわけだ。

 この流れは、2000年代に全店/全車扱いに移行した日産やホンダを見ればわかりやすい。今のホンダの売れ筋は、N-BOX、N-WGN、フィット、フリードに偏り、2020年にはこの4車種が国内で売られたホンダ車の70%を占めた。

 日産もデイズ、ルークス、ノート、セレナを合計すると、2020年に国内で販売された日産車の60%以上になる。全店が全車を扱えば、販売格差も広がり、残すべき車種と廃止する車種も自然に明らかになるわけだ。

 それでも車種の廃止は、ユーザーにとって、とても悲しいことだ。従って軽々しくはいえないが、アルファードとヴェルファイアの販売格差を見る限り、ヴェルファイアのほうは廃止される可能性が高い。

 もともとアルファード&ヴェルファイアのような姉妹車は、販売系列の区分を前提に生まれたから、全店が全車を扱う体制に移行すれば存続させるメリットも乏しい。前述のとおりルーミーの姉妹車となるタンク、ハイエースの姉妹車となるレジアスエース、プロボックスの姉妹車になるサクシードなどもすでに廃止された。

 また現時点では用意されながら廃止を公表している車種には、プレミオ&アリオン、プリウスαもある。そうなると国内に残されたトヨタ車は30車種前後だから、当初の車種削減の目的は、すでに達成されつつある。

■3姉妹はノアだけでなくヴォクシーも残るか?

販売チャンネルが統一され、今やトヨタの全店で販売されているヴォクシー/ノア/エスクァイア。エスクァイアを廃止するなど、モデル統合に踏み切る可能性は充分に考えられる

 現存する姉妹車で最も目立つのはヴォクシー/ノア/エスクァイアだ。これも販売系列のために用意されたから、1車種に絞るのが筋といえるが、この3車種はデザインがそれぞれ個性的で売れゆきも共存できている。

 2020年にはヴォクシー系3姉妹車を合計すると14万1319台が登録され(1カ月平均なら1万1777台)、各車種の販売比率は、ヴォクシーが49%、ノアは32%、エスクァイアは19%であった。

 そして現時点でヴォクシーは、5ナンバーサイズの標準ボディを廃止して、エアロパーツを装着した3ナンバー車のZSのみになる。ノアは標準ボディとエアロ仕様の両方を残している(エスクァイアはもともと5ナンバー車のみ)。

 この販売バランスを考えると、ヴォクシーはエアロ仕様、ノアは標準ボディとして個性化を図って存続させ、3姉妹に占める割合が最も低いエスクァイアだけは廃止する判断になりそうだ。

 エスクァイアの上質な内外装はノアが引き継ぐ。エスクァイアはヴォクシーとノアに比べて歴史が浅く、認知度でも不利になった。

■プリウスとアクアは昨年から販売減少中だが……

プリウスとアクアの販売台数減少が目立つ。2020年の登録台数の対前年比はプリウスが54%、アクアは57%

 ハイブリッド専用車のプリウスとアクアも、売れゆきを大幅に下げた。2019年はプリウス(PHVやαを含む)が小型/普通車の登録台数1位になり、アクアも上位に入ったが、2020年の対前年比はプリウスが54%、アクアは57%で半数近くまで減っている。

 コロナ禍の影響もあるが、小型/普通車市場全体の対前年比は12%の減少だから、プリウスとアクアの下落率は他車よりも大きい。

 この2車種の不調にも、全店併売が影響した。2020年の対前年比を月別に見ると、全店が全車を扱うようになった5月以降の落ち込みが大きい。2020年7月の対前年比は、プリウスが35%、アクアも38%にとどまった。

 全店が全車を扱う前は、例えばトヨタ店やトヨペット店の顧客がコンパクトなハイブリッド車を欲しくなった時、ヤリス(旧ヴィッツ)はネッツトヨタ店の専売だから全店扱いのアクアを買った。しかし今なら設計が新しく、安全装備や運転支援機能の充実したヤリスを全店で購入できる。アクアの登録台数は当然に下がる。

 プリウスも同様で、今なら全店扱いの設計が新しいカローラツーリングのハイブリッドも用意される。

 トヨタの販売店では「全店で全車を売るようになり、アクアやプリウスのニーズが、ほかのハイブリッド車に分散されている。また今ではハイブリッドが珍しい存在ではなくなり、ハイブリッド専用車のアクアやプリウスにステイタスを感じるお客様も減った」と述べている。

 ちなみにカローラツーリングの76%をハイブリッドが占めるので、確かにプリウスのユーザーが移ったこともあるだろう。

 そうなるとプリウスとアクアの使命は終わったといえそうだが、プリウスは1997年に世界初の量産ハイブリッド乗用車として発売された。20世紀を代表するトヨタ車が1955年に発売されたクラウンだとすれば、21世紀の初頭はプリウスの時代だった。知名度は抜群に高く、廃止するには惜しい。

 アクアも同様で、特にコンパクトなサイズは日本の使用環境に適している。従ってプリウスとアクアは、最先端の低燃費技術を搭載するハイブリッドのスペシャルティカーとして進化させていくのが順当だ。

■カローラアクシオ&フィールダーは需要がある?

3ナンバーサイズのカローラツーリング/セダンに対して、カローラアクシオ/フィールダーは5ナンバーサイズの従来型。発売は2012年で、設計の古さが目立つ

 このほか従来型を継続生産するカローラアクシオとフィールダーも気になる。

 2020年の国内におけるカローラシリーズの販売内訳を見ると、カローラツーリング:48%、カローラセダン:14%、カローラスポーツ:14%、継続生産のカローラフィールダー:14%、同じくカローラアクシオ:10%になる。つまり継続生産型がカローラシリーズ全体の24%を占めた。

 販売店によると「法人のお客様と、一部個人のお客様は、5ナンバーサイズを重視する。特にカローラフィールダーは、法人がバンとして使うことも多い。プロボックスに比べて後席が広いので、4人で乗る時に重宝されている」という。

 それでもカローラアクシオ&フィールダーは設計が古く、衝突安全性や衝突被害軽減ブレーキの性能は、3ナンバーサイズのカローラツーリング/セダン/スポーツに見劣りする。今後はヤリスをベースにした5ナンバーセダンに置き換えて欲しいが、なかなかそうもいかない。

  3ナンバーサイズの現行カローラセダン&ツーリングが登場した時、開発者は「カローラアクシオ&フィールダーを併売する期間は、今後おそらく1年程度だろう」と述べたが、すでに1年半を経過した。

 車種の廃止は仕方ないが、ユーザーが困らないように、乗り替えられる新型車を用意して欲しい。単純な廃止は不便を招く。

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みんなのコメント

96件
  • 兄弟車が有っても自社の首を締めるだけ。異なる部品等のコストダウンになる。
  • 兄弟車として、グリルなどを替えて販売する戦略は古いのかもしれませんね。全ての販売店で、全車種を売るのだから意味も無いし。
    消えて残念だと思ったのは、エスティマかな。サードシートが床下に入って広々した空間は跳ね上げ式の車には出来ませんし。それとカローラフィールダーは、無くすのは残念だな。1.5リッターのハイブリッドで、扱いやすい車格。カローラの名前は、今のところ残りそうですが。
※コメントは個人の見解であり、記事提供社と関係はありません。

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