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【ヒットの法則293】クロスゴルフはゴルフプラスをベースに誕生した手軽なSUVだった

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【ヒットの法則293】クロスゴルフはゴルフプラスをベースに誕生した手軽なSUVだった

2006年、オフロードイメージの力強さと使いやすさを備えたフォルクスワーゲンのクロスシリーズに、クロスゴルフが加わった。正確にいえば、ベースはゴルフではなく、ゴルフプラス。あえて4WD機構を持たないコンパクトSUVはどんな個性を発揮していたのか。2007年にスイスのチューリッヒ郊外で行われた試国際試乗会の模様を振り返ってみよう。(以下の試乗記は、Motor Magazine 2007年4月号より)

スペシャルモデルを担当するVWインディビジュアル社が開発
ヨーロッパ内における最近のトレンドは間違いなくSUV、そしてミニバンである。アメリカ生まれのこのふたつのカテゴリーは、欧州において小型化されてコンパクトSUV、コンパクトミニバンとなり、一般ユーザーを獲得していった。2006年の統計では、ヨーロッパ全体で48万台のコンパクトSUV、そして140万台ものコンパクトミニバンが売れている。

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ところが、この美味しい市場を享受しているのは、とくにコンパクトSUV部門では日本車や韓国車ばかりで、欧州メーカーはもっぱらコンパクトミニバンに限ってその分け前に預かっているに過ぎないというのが現状だ。

そこで欧州ナンバーワンのフォルクスワーゲンもティグアンでコンパクトSUV市場に参入することになったわけだが、実際の販売までにはまだまだ時間がかかる。2年も先の話なのである。

そこで考えたのがお手頃なSUVである。3年前にポロファンという、17インチホイールとルーフレール、そしてアンダーガードを付けただけの、格好だけの「ナンチャッテSUV」を作ったところ、これが受けて売上げを大きく伸ばした。

それならばと、クロスポロ、クロストゥーラン、そしてクロスゴルフが誕生することになった。ちなみにこれらのスペシャルモデルの製作をしているのはVWインディビジュアルというフォルクスワーゲンの専門部門である。

今回はクロスゴルフ、正確には「クロス・ゴルフ・プラス」を紹介しよう。スイスのチューリッヒ郊外で行われた試乗会に現れた「ナンチャッテSUV」シリーズの最新作は、そのフォーマット通り、フロントにいかついバンパー、ボディ周囲にプラスチック製のプロテクトモールを備え、リアエンドには巨大なアルミ製アンダーガードがつけられていた。さらに車高を20mm上げ、BBS製の17インチアルミホイールを履き、ルーフレールをつけてでき上がっている。

インテリアも、スポーツシート、同色のドアトリム、スポーツステアリングホイールが備わり、そしてダッシュボードのナビゲーションスクリーンとエアコン吹き出し口の周辺にはアルミ製のアプリケーションが飾られて、雰囲気を出している。

クロスゴルフに用意されるエンジンは4種類。102ps(1.6L SOHC)と140ps (1.4L TSI)のガソリン、そして1.9L 105psと2L 140psのTDIだ。

4WDの設定はないが燃費などにFFの利点も
試乗車は1.4L 140psのTSIである。ちなみに、ハイパワーの170psバージョンを探したが、このクロスゴルフには設定がなかったことに気づいた。組み合わされるトランスミッションは、102psと105psが5速MT、2つの140psエンジンには6速MTとDSGが設定されている。

走りはゴルフプラスに乗っているのとほとんど変わらない。確かに車高は20mm高いが、標準の225/45ZR17サイズのワイドなタイヤのおかげで、ロードホールディングはしっかりとしている。

1.4L 140ps、すなわちリッターあたり100psの高出力ツインチャージャーエンジンは、導入当初のモデルと較べると、格段に洗練されていた。低回転域からスーパーチャージャーによって太いトルクを発生して、その後、ターボによってさらなる高出力を発生する具合が実にスムーズだ。

このクロスゴルフには、もちろん4WDの設定はない。だから本格的な雪上ドライブなどは不可能である。あくまでも雰囲気を楽しもうというギアなのだ。もっともこうした「ナンチャッテSUV」に4WDをつけたら「ナンチャッテ」ではなくなり、それどころか2年後に登場するはずの本格的コンパクトSUV、ティグアンとバッティングしてしまう可能性もある。

4WDの設定はないが、そのかわり、燃費は普通のFFに近くて、EUモードで100kmあたり7.2L。日本風に直すと13.8km/Lとなる。納得の行く数字である。しかもベースがゴルフプラスだから、通常でも393L、シートを畳めば1450Lという巨大なカーゴスペースを持っている。

アメリカなどと違って、本格的なオフロード走行が楽しめる機会の少ないヨーロッパでは、この「ナンチャッテSUV」の方が賢い選択なのかもしれない。

ドイツでの価格は、試乗した1.4TSI(140ps)+DSGで2万6750ユーロ(約402万円:19%の付加価値税込み)と結構な額になる。日本でもこの種のSUVルックで十分というシティクロカン市場が存在するのは間違いないが、現時点では日本導入の予定、発売時期、価格などは決まっていない。(文:木村好宏/Motor Magazine 2007年4月号より)



フォルクスワーゲン クロスゴルフ 1.4TSI 140ps仕様 主要諸元
●全長×全幅×全高:4233×1776×1651mm
●ホイールベース:2578mm
●車両重量:1404kg
●荷室容量:393-1450L
●エンジン:直4DOHCツインチャージャー
●排気量:1390cc
●最高出力:140ps/5600rpm
●最大トルク:220Nm/1500-4000rpm
●トランスミッション:6速DSG(6速MT)
●駆動方式:FF
●最高速:193km/h
●0-100km/h加速:9.4秒
※欧州仕様

[ アルバム : フォルクスワーゲン クロスゴルフ はオリジナルサイトでご覧ください ]

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みんなのコメント

1件
  • 500台しか販売されていない
    超希少車で珍車、レア度MAXなのに
    街で偶然見かけても存在感が無さすぎな悲運な車。
    ゴルフV自体も、プラスも最近めっきり見なくなったのに
    この型のクロスゴルフとかまだ現存しているのかな??
    ほとんどの個体がメカトロニクス修理に難儀して捨てられたかもしれない。
※コメントは個人の見解であり、記事提供社と関係はありません。

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