ランボルギーニ製のNA V10エンジンの終焉
text:Richard Lane(リチャード・レーン)
translation:Kenji Nakajima(中嶋健治)
トップが集う国際的な議題としてスーパーカーがテーマになることは、ほぼないだろう。だがAUTOCARが取り上げる話題としては、ランボルギーニ・ウラカン・エボ・スパイダーは、かなりランクが上となる。
ウラカン・エボは、ランボルギーニ製の自然吸気V型10気筒エンジンの、終焉を飾るモデルとなる可能性が高い。モデルライフ半ばのアップデートとして、エボが導入されたということは、最終形へと進化したことを意味するはず。
この自然吸気のV10は、史上最高の公道用エンジンの1基だといえる。他方でエボ・スパイダーは、近年では珍しいオープンボディの本物のスーパーカーでもある。
ポスト・ミレニアム世代のランボルギーニとして、最も濃い個性と、圧倒的な走行性能を持つモデルを選ぶなら、ウラカン・エボ・スパイダーが最有力となるのだ。カーボン・モノコックの強固なクーペではなく、スパイダーの場合、動的性能には多少の妥協も生じるのだが。
これはあくまでも、スペックシート上での仮説ではある。これが正解なのかは、実際に確かめてみるしかない。
ウラカンLP610-4スパイダーと比較すると、エボ・スパイダーはどこをとっても明確にエボリューションを遂げている。見た目だけではない。何より重要なのは、ペルフォルマンテ由来の驚異的な5.2L V型10気筒エンジンを獲得したところにある。
最高出力640ps、最高速度325km/hのスパイダー
エンジン内部では、チタン製のバルブを採用し、リフト量もアップ。インテーク・マニホールドも設計が見直されている。
エキゾーストシステムは軽量化され、リアのボディワークを貫通するようなレイアウトを得ている。ウラカンのドラマチックさを、サウンド面で増強する。
強く傾斜の付いたフロントガラスが、特別なクルマであることを雄弁に語る。ただし、信号機をちゃんと見るには、白線のだいぶ手前に止まる必要はあるようだ。
進化を遂げたウラカン・エボの最高出力は640ps、最大トルクは61.1kg-m。従来から29psと4.2kg-m、増強されている。
最高速度もわずかにプラスの325km/h。0-100km/h加速は0.3秒短縮され、3.1秒となった。
超高速域への加速力にも不足はない。静止状態から200km/hまでの時間は、ランボルギーニのトップ、V12が770psを生み出すアヴェンタドールSVJロードスターと比べて、0.5秒遅いだけに留まる。
価格ももちろん上昇しており、英国では21万8137ポンド(2901万円)で売られる。先代比で2万ポンド(266万円)の追加となった。もし、今後登場する後輪駆動版のRWDを待てば、18万8000ポンド(2500万円)で手に入る。
スタイリングは、カンバストップ周りを除いて、基本的には新しいウラカン・エボのクーペに準じる。デザインは、LP610-4と同じようにスッキリとしたラインで構成され、古さを感じさせない。
カムカバーを眺められないのが残念
アグレッシブさを肉盛りしつつ、風洞実験での数値も改善されている。フロントのエアインテークが、大型化されていることは瞭然。詳しく見ていくと、新しいキャラクターラインが追加され、面構成にも新鮮さを感じ取れる。
リア周りで最もわかりやすいのは、スロットの入ったダックテール・スポイラー。ヘッドレスト直後から伸びるバットレスのライン上に膨らみがあり、挑発的なリアビューを構成している。
試乗車のボディカラーは、新色のパールオレンジ、アランシオ・クサント。ガンメタルのホイールと相性が良い。
スタイリングで残念なのは、エンジンカバー。クーペではカムカバーを眺めることができるが、スパイダーの場合はルーフシステムの下に隠れている。
ウラカン・エボ・スパイダーも、ランボルギーニ・ディナミカ・ヴェイコロ・インテグラータ(LDVI)と呼ばれるシャシーシステムを採用する。聞こえもカッコ良いが、実際にかなり知的で効果的だ。
全体を司るコンピューターは、ステアリングとアクセルの入力を、ボディロールやピッチ、ヨーセンサーのデータとともに処理。マグネティック・サスペンションや後輪操舵、トルクベクタリング、スタビリティコントロールなどの動作へ反映させる。
ランボルギーニによれば、予測的に処理されるとのこと。エボでは、ダッシュボード中央の8.4インチタッチモニターで、データをリアルタイムに確認できる。
速さで並ぶなら最新のポルシェ911ターボS
このタッチモニターは、グラフィックは美しいものの、操作の反応はあまり良くない。クルマの圧倒的な走行性能とは裏腹に、操作のためにモニターへ視線を落とす時間は、不必要に長くなってしまう。
過去のテストでは、LDVIは不自然な進行方向の変化を生む場面があり、批判的な見方をした時期もあった。だが、目的はシンプルで、クルマの動的性能を向上させること。エボでは従来よりはるかに正確性が増し、敏捷な身のこなしを保証してくれる。
ウラカン・エボと同じペースでスタート地点からゴール地点までを走るには、新しいポルシェ911ターボSなどを選ぶ必要がある。間違いなく、ランボルギーニの目的は達成できている。驚異的に速く、意志のある動物的にすら感じら得るほど。
この印象に反して、エボ・スパイダーの車重は軽くはない。これまでのウラカン・スパイダーよりは、軽くはなっているのだが。
ウラカン・エボのクーペでも、マクラーレン720Sや、はるかにパワフルなフェラーリF8トリブートよりも100kgほど重い。乾燥重量でウラカン・エボ・スパイダーは1542kgとなり、120kgほどの差となる。
実際には、丁寧に比較試乗をしたり、高感度なセンサーで測らなければ、クーペとスパイダーとの走りの差はわからないだろう。それでも、数字としては事実ではある。
概要の確認はこれくらいにしておこう。続きは後編にて。
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