メルセデスF1は3月2日に2021年シーズンに向けた新車W12を公開した。
同社のパワーユニット(PU)開発責任者のハイウェル・トーマスは、以前明かしていたPUに発生した問題を、2021年シーズン開幕に向けてどう対処したのか、その変更点を語った。
■メルセデスF1、新車W12の開発トークン使用エリアは”秘密”「そのうち分かるだろう」
「PUの信頼性を向上させるためのいくつかの作業を完了させた」と、トーマスは言う。
「2020年シーズンに我々はアルミニウムによる構造を採用していたが、これは意図していたようには信頼性が高くはなかった。そのため我々はエンジンブロックに新たな合金を導入した」
「エネルギー回生システムに関しても、より信頼性のあるものとするための調整を実施した。2021年シーズンには全23レースが予定されており、大きな挑戦に直面している。そのため、我々はPUの信頼性を確保する必要があり、その領域に懸命に取り組んだ。それが報われることを願っている」
メルセデスが行なった大きな変更点のひとつが、MGU-Kの設計変更だ。彼らは昨年使用していたもののコンセプトが理想的ではないと感じていたという。
「我々は2020年に完全な再設計を施し、これまで使用してきた物とはとても異なるMGU-Kを導入した」
「これはパフォーマンス面での進歩を着実に助けるモノだったが、製造と組み立てが難しいことが判明した」
「MGU-Kがフルサイクルで機能し、予想していた通りの性能を発揮した例も多くある。しかし故障する例もいくつかあった。2021年に向け我々は設計を見直し、問題がどこに由来するのかを理解していった」
「我々はより安定した製造や、MGU-Kの信頼性向上を助けるべくその点に変更を行なった」
またトーマスは、2021年のPUに関しては、パフォーマンス向上が期待されるいくつかの新たなアイデアが盛り込まれているとも語っている。
「レーシングPUに初めて導入される、全く新しいイノベーションをいくつか採用している」
「これはかなりチャレンジングなことだった。昨年はシーズン終了が遅く、オフシーズンが通常より短くなって準備の時間が少なくなってしまったからね。仕事にもさらに負荷がかかっていた」
「内燃機関(ICE)の熱効率を高めるための努力も続けてきた。開発の大部分は燃焼プロセスから最大限の出力を引き出すという、PUのコア部分にあるんだ」
「それと共にターボチャージャーにも排熱への影響を最小限にするための変更を加えた。おそらくクランクのパワーとPUのパフォーマンスについては、これらが最も影響を与えているだろう」
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