2025年のF1開幕戦オーストラリアGPで、角田裕毅(レーシングブルズ)は12位に終わった。レース中ほとんどで6番手を走っていたため、ビッグポイントも期待された中でのこの結果には、おそらく本人もチームも、そしてそれを見守っていた多くのファンにとっても、落胆の度合いが大きかったに違いない。
その転機となったのは、決勝レースの44周目に雨が強まったことであった。
■角田裕毅に謝罪したい……レーシングブルズ代表、戦略ミスを認める「ステイアウトさせるという”賭け”は報われなかった」
この日の天候は、実に難しいものだった。舞台となったオーストラリア・メルボルンのアルバートパーク・サーキットは決勝日の朝から雨に見舞われた。朝一に行なわれたFIA F3のフィーチャーレースは、雨が降っていたもののレースが開催された。その後に予定されていたFIA F2のフィーチャーレースは強い雨と風に見舞われ、セーフティカー先導を解除することができず、結局レースキャンセルとなった。
その後のF1はFIA F2の時よりも天候が好転し、無事にスタートが切られた。雨も止み、どんどん路面も乾いていったため、各車がインターミディエイトタイヤからドライタイヤに履き替えてフィニッシュを目指した。
しかしチェッカーまで残り15周を切ろうかという頃から強い雨雲がサーキットに接近。そしてその雨が実際にコースを濡らし始めたのが、44周目だった。
雨は最終セクターから強まり、そこに先頭で差し掛かったマクラーレンの2台は、突如グリップを失ってコースオフ。ランド・ノリスはなんとかコースに戻ったものの、オスカー・ピアストリはコントロールを失い、ランオフエリアの綺麗に生え揃った芝生の上にハマってしまった。
この直後にノリスはピットに飛び込み、インターミディエイトタイヤに履き替えた。この他、4番手を走っていたジョージ・ラッセル(メルセデス)や7番手を走っていたアレクサンダー・アルボン(ウイリアムズ)、10番手を走っていたアンドレア・キミ・アントネッリ(メルセデス)、11番手を走っていたランス・ストロール(アストンマーティン)らも、このタイミングでピットに入った。
一方で3番手だったマックス・フェルスタッペン(レッドブル)や5番手にいた角田らはステイアウトを選択した。
ただこの時点では、ピットインしたドライバーたちとステイアウトしたドライバーたちでは、どちらが判断が正しかったのか優劣はつけられない。その翌周のセクター2の通過タイムを見ると、それが分かる。
■セクター1とセクター2はまだ乾いていた
雨が降り始めた翌周の45周目のセクター2のペースは、ドライタイヤを履いていたフェルスタッペンが18.865秒、角田が18.605秒だった。これに対し、インターミディエイトタイヤに履き替えたノリスが18.913秒、ラッセルが18.989秒。この時点でセクター2は、若干ではあるもののまだドライ寄りのコンディションであったと考えられる。46周目もセクター1とセクター2では、ドライとインターミディエイトの間に大きな差はない。
ただセクター3では、インターミディエイトタイヤの方が圧倒的に速かった。45周目のセクター3を見ると、フェルスタッペンが44.016秒、角田が46.898秒だった。しかしノリスは40.324秒、ラッセルは39.679秒。つまりインターミディエイトタイヤを履いた方が、4~7秒このセクター3だけで速かったわけだ。
セクター1と2がドライ寄り、セクター3がウエット寄りだったことを考えれば、ノリスらが入った44周目、そしてその翌周の45周目のいずれかにピットストップしていれば、その後の展開に大差はなかったと考えられる。
ただセクター3の差は大きく、そこをドライタイヤのまま複数回走るだけで、インターミディエイトタイヤに履き替えたドライバーたちは、ピットインしたロスタイムを埋めることになったのだ。
そんな中でフェルスタッペンは2周ステイアウトし、46周目終わりでピットイン。タイムはロスしたが、比較的小さく抑えることができ、ノリスに次ぐ2番手でコースに復帰することができた。この次の周、47周目を終えた段階でのフェルスタッペンとノリスの差は15.923秒。ただ45周目のフェルスタッペンはノリスの18.601秒前にいた。ここでフェルスタッペンがピットインしていれば、計算上はノリスの3秒ほど後方でコースに復帰できていたはず(ピットストップのロスタイムは21秒弱であった)……つまり1周ピットインが遅れたことで、15秒も失っている。フェルスタッペンからすれば、ノリスの後続が大きく離れていたのは実に幸運だった。
ただ、それ以降もピットストップしなかったのがレーシングブルズとフェラーリのイタリア系2チームだ。しかし46周目を終えた段階ではメインストレートでも雨が強まっており、ドライタイヤのままのこれらのチームのペースは一気にダウン。もはや為す術なしという状況に陥り、インターミディエイトタイヤに履き替えたマシンにどんどん抜かれていくことになった。
確かに、いくつかの要素があり、判断が実に難しい状況であった。
まずはピアストリがコースオフしたことだ。そのままコースに戻れなければ、セーフティカーが出動する可能性があり、ステイアウトすることがメリットに繋がる可能性があった。実際にはピアストリは自力でコースに復帰することができ、セーフティカー出動は避けられた。逆を言えば、ピアストリが強引にコースに戻ったことで、チームメイトを救ったとも言えるかもしれない。
また雨がどれほど降るかも微妙なところであった。レース終盤にコースにかかった雨雲は、強い雨を降らす雲の端の部分。一時的に雨が強まっても、すぐに止んでしまう可能性も十分にあった。もしそうなっていれば、ドライでステイアウトすることで、レース最終盤を有利に展開できるかもしれなかった。
ステイアウトを選んだイタリア系2チームは、確かに結果を見れば”戦略失敗”との断罪を受けるべきなのかもしれない。しかし実際には、戦略大成功とほんの紙一重の差であったのだ。
とはいえ角田としては、上位フィニッシュが確実な状況だっただけに、チームの判断がレース展開に合わなかったのは痛恨である。また今回のような展開が訪れた時、その好機を掴めることを願うばかりである。
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