8月19~20日にカールスクーガことゲラーローゼン・アリーナで争われた2022年のSTCCスカンジナビアン・ツーリングカー選手権第4戦は、予選でポールポジションを分け合ったオリバー・セーデルシュトレーム(レストラップ・レーシング/アウディRS3 LMS 2)が、レース1で自身2020年以来となる2年ぶりの勝利を達成すると、続くレース2はマティアス・アンダーソン(MA:GP/リンク&コー03 TCR)が“ライト・トゥ・フラッグ”を決めるなど、王者打倒を掲げるライバルたちが逆襲。
一方で、ジャンプスタートのペナルティによりセカンドヒートの表彰台を逃すなど「複雑な週末」を過ごした王者ロバート・ダールグレン(PWRレーシング/クプラ・レオン・コンペティションTCR)も、レース3のリバースポールからきっちりと勝ち点を挙げ、選手権でのリードを広げることに成功している。
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来季2023年より「世界初のフル電動ツーリングカーによる国内選手権」へと変貌することをアナウンスし、このTCR規定シリーズはステップアップの位置付けに移ることが決まったSTCCは、全6戦となる最後のTCRトップカテゴリーシーズンの折り返しを迎えた。
週末を前にしたテストセッションと2回のプラクティスから、ノーベル博物館にもほど近いスウェーデン南部の一帯には雨雲が掛かり、トラック上はウエットとドライが入り混じる難しいコンディションで進むことに。
そのまま暗い雨雲が立ち込めつつ、なんとかライン上が乾いた状況で迎えた予選では、レース1のグリッドを決めるQ1でセーデルシュトレームとアンダーソンが、ディフェンディングチャンピオンの前に立ちはだかりフロントロウを占拠。続いてトップ8が進出したレース2向けのQ2では、アンダーソンがセッション終了直前にトップの座を獲得し、ダールグレンを0.120秒で退ける結果となった。
そのまま現地土曜午前に開始されたレース1は、スタートから主導権を握ったポールシッターとは対照的に、2番手のアンダーソンがスロースタートで後続に飲み込まれる展開に。これで逃げを打ったセーデルシュトレームは1.617秒のマージンを築いてダールグレンを抑え切り14周を走破、チームに2020年以来となる勝利をもたらすことに。2位ダールグレンを挟み、3位にもアンドレアス・バックマン(レストラップ・レーシング/アウディRS3 LMS 2)が続き、レストラップ・レーシングが1-3フィニッシュを飾った。
■最終ヒートではダールグレンがキャリア通算51勝目を獲得
明けた日曜も先頭スタートの優位性は変わらず、ポールシッターのアンダーソンがリードを維持すると、背後では4番手発進のヒューゴ・ネルマン(ブリンク・モータースポーツ/アウディRS3 LMS 2)がジャンプアップし、ダールグレンとセーデルシュトレームを仕留めて2番手に躍進する。
するとポジションを失ったレース1勝者は後続の急襲に遭い、3台と絡んでセーフティカー出動の引き金となる。さらに波乱は続き、リスタート後も首位を守ったアンダーソンに対し、ネルマンに次ぐ3位でフィニッシュしたダールグレンは「不正スタート」の裁定で20秒加算が言い渡され、8位降格の結果となってしまった。
しかしこの結果により、最終ヒートのリバースポールを得たダールグレンは、漁夫の利ながら先頭スタートのアドバンテージを最大限に活用し、バックマンに加えて宿敵トビアス・ブリンク(ブリンク・モータースポーツ/アウディRS3 LMS 2)と2台のアウディを抑え込むことに成功。ダールグレンがSTCCキャリア通算51勝目を手にした。
「レース2の後は心底ガッカリしていたけど、そのおかげでレース3での強力な勝利を得ることができて本当に良かった。結果オーライだね(笑)」と安堵の表情を浮かべたダールグレン。「チームは素晴らしいクルマを提供してくれたし、問題はあったもののリードを広げることが重要だった。それが達成できて本当にうれしいよ」
この結果、リーダーボード上で185点としたチャンピオンに対し、2番手以降は3名がわずか1点差にひしめく混戦に。138点の2位アンダーソンに対し、セーデルシュトレームとブリンクが同率の137点で続く展開となった。
「まずはこの週末に、チームのおかげで2022年の初ポールと待望の勝利を挙げることができて本当に興奮している。ただ、レース2でのアクシデントはバカげていて本当にガッカリした。レース3でのチャージバックでリベンジはできたが、それでも貴重なポイントを失った。そうは言っても、僕はまったくあきらめず、最後のレースまで戦い続けるつもりだ」と決意を語ったセーデルシュトレーム。
続くSTCC第5戦は、9月10~11日にスカンジナビアン・レースウェイこと、おなじみアンダーストープで争われる。
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