東京オートサロン2020の日産ブースに飾られた、特別仕様のGT-R。それが、「Nissan GT-R50 by Italdesign(以下イタルデザイン)」だ。
その姿は、現行型GT-Rの面影を残すものの、次期GT-Rコンセプトと言われたほうがしっくりくるほど劇的な変貌を遂げている。
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このGT-Rは、日産自動車とイタリアのカロッツェリア「イタルデザイン」のコラボレーションにより誕生したスペシャルモデルだ。車名の「50」には、2019年のGT-R生誕50周年、そして2018年のイタルデザイン創業50周年の意味が込められている。
イタルデザインが手掛けた日本車としては、初代いすゞピアッツァ、2代目いすゞジェミニ、スバルアルシオーネSVX、2代目ダイハツムーヴなどがある。
2019年12月から予約を開始したNissan GT-R50 byイタルデザインはまだ買うことができるのか? 買えるとすればどのようにすればいいのか? などを含め、これまで公開されていない情報満載で、Nissan GT-R50 byイタルデザインの販売の最新情報をお届けする。
2004年にトヨタと共同開発したトヨタアレッサンドロボルタが市販されなかったこともあり、GT-R50 byイタルデザインは別格の超高額車だ。
文:大音安弘/写真:NISSAN、ベストカー編集部
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ベースはGT-R NISMOで世界限定50台
2019年12月から予約を開始したGT-R50 byイタルデザインは、2020年1月の東京オートサロンにも出展され注目を集めた
まず、「Nissan GT-R50 byイタルデザイン」はどんなクルマなのかについて簡単に紹介しよう。
日産とイタルデザインの2社の共同開発で生まれた、このGT-Rは、開発、設計、製造は、イタルデザインが担当。
その特徴的な内外装のデザインは、日産自動車が手掛けており、日産デザイン・ヨーロッパと日産デザイン・アメリカが協力して行っている。
ベース車となるのは、GT-Rの中でもよりモータースポーツシーンのフィードバックを重視した「GT-R NISMO」だ。
GT-R50 byイタルデザインのベースとなるは2420万円のGT-R NISMO。フロントマスクの印象はまったく違う
エンジンは、3.8LのV6ツインターボであるVR38DETTと型式こそ同様だが、専用チューニングを実施。これにより最高出力は、+120psの720ps/7100rpm。最大トルクは、+13.0kgmの79.5kgm/3600~5600rpmに達するという。
その性能を発揮させるタイヤには、1インチアップとなるフロント255/35R21、リア285/30R21のミシュランパイロットスーパースポーツを装着。もちろん、ホイールは専用デザイン品を採用する。
またブレーキシステムについては、ブレンボ製となるが、キャリパーのカラーが赤となるのも特徴のひとつ。ディスク径は、フロント390mm、リア380mmとし、この数値から推測するに、NISMO仕様ではなく、標準車仕様のものを組み合わせるようだ。
ノーマルのGT-R NISMOに比べてスパルタンさが増しているリアビュー。拡幅されたフェンダーの迫力も凄い
ボディサイズは、全長4784×全幅1992×全高1316mm。GT-R NISMOと比較してみると、全長+94mm、全幅+97mm、全高-54mmとなり、ボリュームアップしながらも、同時に低重心化が図られていることがわかる。
実は、判明しているスペックは、この程度。細やかな仕様や装備については、公表されていない。
限定数は、50台のみ。日本での価格は、1億3000万円からと超高額だ。
この金額は、2420万円のGT-R NISMOを、楽々と5台。標準仕様となる「ピュアエディション」でよければ、12台のぶんにもなるという途方もない金額なのだ。
残り数台で先着順から抽選に変更
GT-R史上最も高価なロードカーとなる「Nissan GT-R50 byイタルデザイン」の受注は開始されているが、まだ数台がオーダー可能であることが明かされている。そう、今なら、まだ間に合うかもしれないのだ。
では、具体的な購入の手順がどのようになるかというと、最初に行うのは、メールの送付となる。
インテリアはセンターコンソール、メーターパネルなどデザインが変更されている。使用する素材、色などはお金さえ払えばフルオーダーが可能だ
このGT-Rは、日産ディーラーでは販売しておらず、日本での窓口は、ロータスやモーガンなどの輸入元である「エルシーアイ」となる。
そのコンタクト方法は、「Nissan GT-R50 byイタルデザイン」の公式WEBに記載されている専用メールアドレスのみとなっているからだ。
これまでは先着順で購入の受付を行っていたが、残り数台となった2020年2月現在、抽選により購入者が決定されるという。その抽選に参加するためには、100万円のデポジットが必要だ。もちろん、落選した場合には、返金されるのでご安心を……。
世界に1台だけのGT-Rを手にする愉悦
当選すると、いよいよ打ち合わせが、スタート。その際、日本の販売担当者は、イタリアより来日したイタルデザインのデザイナーを伴い、購入希望者の元を訪問する。
そこで、色やハンドル位置、リアスポイラーのタイプ(可動式または固定式)など、希望する仕様のヒアリングを行う。
同じモデルを2台として販売しないのがポリシーゆえ、どのクルマもオーナーにとって世界で1台のGT-Rとなる。マットカラーも好きなものがオーダー可能
帰国したデザイナーは、そのオーナーの希望を基に3Dソフト上で、オリジナルのGT-Rを制作する。
2回目のミーティングで、購入希望者にVRゴーグルによるバーチャル空間での車両確認をしてもらい、さらに内装のマテリアルなど、更なる詳細な仕様を詰めていくことになる。
同車は、フルオーダーメイドとなるため、ボディカラーはもちろんのこと、インテリアでは、カラーや生地、メタルトリムなどが、ユーザーの好みに合わせて自由に選択することができる。
エルシーアイの販売担当者によれば、「基本としてお客様のニーズは、断らない」という。もちろん、そのぶんの費用は、しっかりと価格に反映されていく。まさに天井知らずの世界だ。
1億3000万円の仕様は、プロトタイプのものが相当するが、現時点で同仕様を選ぶ人は存在せず、誰もがまったく異なる独自仕様を望んでいるとのこと。
さらに、イタルデザインとしても、同じ仕様のGT-Rを2台は作らないことを決めており、同じ白のGT-Rといっても、すべての色味や仕様などが異なるように、サポートしてくれる。
ボディサイズ、スペックなどは決まっているが、仕様に関してはオーナーの好みをそのまま盛り込むことができるのは超高額車として満足度が高い
つまり購入者は、世界に1台だけのGT-Rを手にすることができるのだ。
2回目のミーティングで、仕様と価格が決定すると、総額の約3割を支払うことで発注することができる。原則的には、支払いは3分割で納めてもらうことになるが、顧客の中には、注文時の一括払いを希望する人もいるというから驚きだ。
ちなみに、これまでに打ち合わせの途中で、購入を断念した顧客は皆無だそうだ。
日本ぶんの納車は2021年末頃の開始予定
納車まではかなりの時間を要するが、購入者が望めば、イタリアで工場見学が行えるほか、小まめに生産状況を知らせる写真付きのレポートも送られるという。
限定車の生産は、2020年3月から開始され、2020年末には第1弾の納車が行われる予定だが、日本への上陸には、もう少しの時間が必要となる。
GT-R50 byイタルデザインはGT-Rの50周年だけでなく、イタルデザインの50周年を記念するモデルとして登場
現時点の予定では、日本向けの出荷は、2021年夏からとなり、納車開始も2021年末頃になるだろうとのこと。
登録及び納車までは、エルシーアイが担当し、ユーザーに直接届けるという。現時点では未定だが、納車時のサプライズを検討していることも明かしてくれた。
日産自動車では、ユーザー層や日本での販売台数など、この特別なGT-Rの情報を秘密としているが、日本ユーザーの多くが左ハンドルを選択しているという情報をキャッチすることができた。
日本車なのに、なぜ左ハンドルなのか……。この辺りは、オーナーの愛車事情や将来的な思惑が伺えるところだろう。
修理費もスペシャル
購入後のメンテナンスと修理は、全国26か所のNISMOパフォーマンスセンターが受け持つ。ただし、事故の際は、イタルデザインの「フライング・ドクター」制度に基づき、緊急対応が行われる。
これはイタルデザインからメカニックが来日し、必要なパーツを調査。その後、イタリアでワンオフ製作したパーツを日本へと送り、イタルデザインのメカニックが修理を行うことになる。そのため、修理費も、かなり高額になることが予測される。
GT-R NISMOの3.8LのV6ツインターボであるVR38DETTは最高出力が+120psの720ps、最大トルクは、+13.0kgmの79.5kgmにスペックアップ
GT-R50 byイタルデザインは日本車ではなくイタリア車
最も気になるのは、販売元が日産ではないことだろう。これは、日産GT-Rの特別仕様車とはいえ、このクルマの生産メーカーは、イタルデザインとなり、同社の製造番号が与えられる。
つまりNissan GT-R50イタルデザインは、紛れもないイタリア車なのだ。このため、日本でも輸入に対する手続き及び検査が必要となるため、餅は餅屋ということで、エルシーアイが担当するわけだ。
GT-R NISMOをイタリアに送り、架装後に日本に輸送するということで大きなトラブルや事故などがあると修理費等が高くなるこのは要覚悟
ただ限定車のベース車となる「GT-R NISMO」は、もちろん、日本で組み上げられたものだ。それをトリノにあるイタルデザインの工場へと輸送。「Nissan GT-R50 byイタルデザイン」へと生まれ変わるのだ。
そういう意味では、世界一長い生産ラインを持つ日本車ともいえそうだ。
もしあなたがこのGT-Rの購入を望むなら、 とにかく、 1分1秒でも早く、メールを送ることをお勧めしておく。あなたのライバルは世界中に存在するのだから……。
【 GT-R50イタルデザイン主要諸元】
■全長×全幅×全高:4784(+94)×1992(+97)×1316(-54)mm
■ホイールベース:2780mm
■最高出力:720(+120)ps/7100rpm(GT-R NISMO:6800rpm)
■最大トルク:79.5(+13.0)kgm/3600~5600rpm
■タイヤサイズ:フロント 255/35R21(255/40R20)/リア 285/30R21(285/35R20)
■価格:1億3000万円~
日産がGT-Rに関してカロッツェリアなどとコラボするのは初めの試み。世界限定50台ゆえ目にするのは難しいかもしれない
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