フェラーリの新しいプラグイン・ハイブリッド・モデル「296GTS」に、小川フミオが本国・イタリアで試乗した。
快適なドライブも得意
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新時代のスポーツカーに興味があるなら、フェラーリの296GTSを試さない手はない。2022年4月に発表されたオープンボディのミドシップ。スポーツカー好きならシビれるようなスタイリッシュなボディに、プラグイン・ハイブリッドの組合せと、しっかり新しい。
296GTSに試乗したのは、イタリア・トスカーナ地方。地中海に面した富裕層むけのビーチリゾートのフォルテ・デイ・マルミから、フェラーリ本社のあるマラネロまでの200km少々が、私のドライブコースだった。
「アウトストラーダ」という高速道路を使ってまっすぐすっとんでいけば、約2時間で到着するようだが、フェラーリは途中、ミッレミリアの難所として知られるアペニン山脈のフータ峠も組み入れてくれていた。心躍る寄り道なのだ。
私はあいにく296GTBにまだ乗っていない。したがって、新開発された3.0リッター120度V6エンジンにプラグイン・ハイブリッド・システムを組み込んだ後輪駆動の、軽快な2シーターフェラーリに乗るのは、今回が初めてだ。
最高出力は663CVとイタリア表記がメインだけれど、一般的な数値に換算すると610kWに達する。最大トルクは740Nmで、これが6250rpmで発生する。まるでレースカーのスペックスだ。
ひとことで言ってすばらしい。私がとくに好きになったのは、スムーズさ。とばしたければ、どこまでも楽しませてくれるエンジンパワーとハンドリングと音だけれど、快適なドライブを望むなら、それもまた得意科目なのだ。
素晴らしいステアリング・フィールフェラーリの常でドライブに関連するものはどれもステアリング・ホイールに組み込まれている。296GTSもドライブモードは親指で選べる。「eDrive」は25kmあるいは135km/hまで引っ張れるEVモード。「Hybrid」は文字どおりエンジンとモーターのハイブリッド。
「Performance」はバッテリーの効率を維持していつでもフルパワーが発揮できるモード。くわえて、エンジンパワーをバッテリーの充電に使わず最大のパワーを発揮する「Quality」なるモードが設定されている。
私が使ったのは、高速や市街地ではHybridで、ワインディングロードではPerformanceだ。スポーツカーを語るときよくある表現だけれど、右足がクルマと一体化したようなナチュラルな感覚でクルマが加減速をおこなう。
Hybridだと、回生ブレーキが働いて駆動用バッテリーがすこしでも充電されると、すぐにEVモードに入る。途中、小さな村を通ったときは、お騒がせしないためにも、EVモードがあってよかったと思った。静かなフェラーリ。やっぱりあたらしい。
でもやっぱり、フェラーリが「ピッコロ(小さな)V12」と、呼ぶ3.0リッターエンジンのフィールこそ、このクルマの真骨頂だろう。なめらかな吹け上がりの高回転型。しかも、音がすばらしい。「ホットチューブ」とフェラーリが名付けたエンジンサウンドのエンハンサーが、中高音成分を中心とした音をコクピットに送り込んでくれる。
同時に私が感心したのは、ステアリング・フィール。ステアリング・ホイールはフラットボトムだけれど基本的には円形のものが装着されている。なにがすごいって、ドライブしている私が視線をやったほうに、さっとクルマがノーズを向けるのだ。
ステアリング・ホイールを操作している感覚がほとんどなくて、まるでよく出来たスポーツバイクのようだと思った。
あとでフェラーリのエンジニアに「ステアリング・ホイールは必要ないみたいだ」と、語ったら、「いいコメントです」と笑顔を見せられた。
デザインの意味オープンにするにはセンターコンソールの操作ボタンを押し続ける。45km/hまでは走行中でも14秒ほどで開閉出来る。今回、フータ峠のあたりでフェラーリのオフィシャルフォトグラファーが撮影をしてくれたとき、「開け閉めの様子も撮ろう」ということになった。
ところが、うしろからくるクルーのミニバンが“プップッ”とホーンを鳴らす。見ると、ルーフが格納されず途中で止まっているではないか。あっというまに開閉可能速度の上限である45km/hを超過していたのだ。あまりに加速が気持ちよくて、ついうっかりした私のミス。何度も同じミスを繰り返してしまった。
ルーフはハードトップ。ファブリックの幌を採用しなかった理由を、フェラーリのデザイナーである英国人のエイドリアン・グリフィス氏に確認したところ「スタイリングのためです」と、明確な答えがあった。
「それだけではない」と、グリフィス氏は付け加えた。
「今回あたらしくエアロブリッジというデザインをコクピット背後に採用することで、より一体感のあるスタイリングを完成できました」
296GTSではウインドシールドがけっこう長い。ドライバーの頭上にまで達する。「812GTS」や「ポルトフィーノ」といったモデルは、ちょっと眼をあげると空が見えたはずだけれど、296GTSはもっと守られ感が強い。
おそらく、と私が考えるに、ウィンドシールドが長いのは、ルーフの前後長を短くしたいためだろう。ミドシップでしかも格納式ハードトップをうまく両立させているのは驚くばかりだが、やはりスペース的な制約はいかんともしがたいので、できるだけコンパクトにした結果ではないだろうか。そのことによる恩恵がもうひとつ。風の巻き込みがとても少ない。
2022年の欧州は「異常」と、現地のひとが言うぐらい暖かく、通常ならコートの襟を立てていなくてはいけないような中部イタリアでも、半袖かつウィンドウ全開でオープンドライブを楽しめたのが幸運だった。乗ると病みつきになりそう。
リアのクォーターパネル(キャビンの背後の部分)とフェンダーまわりの造型は「(1963年の)『250LM』からインスピレーションをもらいました」と、前出のグリフィス氏は教えてくれた。
フェラーリにとってミドシップレーサー時代の幕開けを象徴するような250LM(ルマンの意味)は、私も大好きなデザインなので、それも296GTSに一目ぼれした理由なのだなと、改めて思うのであった。
文・小川フミオ
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