メルセデス・ベンツEクラスが2024年1月にフルモデルチェンジを行なった。W124から数えて6代目(W214型)となる。メルセデスの中核を担うEクラスにはブランドを確かなものとする矜持があり、伝統的でオーセンティックなデザインで市場投入している。
フルモデルチェンジにより6代目(W214型)となったメルセデス・ベンツEクラスその新型Eクラスに試乗する機会があったので、お伝えすると電動化の進化が素晴らしく、時代の先端を行く役割も果たしていることを感じる。急速な電動化という目に見えない潮流の中で、水先案内人のいない航行を続けていくうちにゴールが見えてくるのかもしれない。
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ボディサイズは全長4960mm、全幅1880mm、全高1470mmと先代よりやや大きくなったEセグメントサイズだ。車型はセダンとステーションワゴンが現在ラインアップし、2.0Lのガソリン+ターボ、2.0Lのディーゼルターボがあり、いずれも48Vのマイルドハイブリッドで、セダンにだけプラグインハイブリッドがラインアップする。
先代よりやや大きくなった全長4960mmのEセグメントサイズのPHEV試乗車は「E350e Sports Edition Star」のセダンでプラグインハイブリッド。国内では2018年に先代EクラスにPHEVモデルを投入し、その時のパワーユニットは2.0Lガソリンエンジンに、65kW/450Nmの出力を持つモーターを搭載。バッテリーは6.28kWhでEVの航続距離は20.1km、EV走行時の最高速は130km/hというスペックだった。その後2020年にはディーゼルエンジンのPHEVも投入しているが、今回のフルモデルチェンジではガソリンエンジンとの組み合わせだけになっている。
PHEVに搭載するモーターの出力は先代の65kW/450Nmから95kW/440Nmへ 同様にバッテリーは6.28kWhから25.4kWhに拡大。EVの航続距離は20.1kmから112kmまで伸延した新型のパワーユニットには2.0Lのガソリンエンジンに、95kW/440Nmのモーターを搭載し、リチウムイオン・バッテリーは25.4kWhに拡大。EV走行可能距離は112kmまで伸延している。また最高速度も140km/hとなった。また制御変更も行なわれており、EV走行を積極的にする制御になっている。そのため試乗してみてもエンジンは全くかからない状態が続き、EV車としての印象しか残らないのだ。
アクセルを深く踏み込み、ノッチのある部分を超えて、なお踏み込むとエンジンが稼働するのだが、その時点で相当な速度まで加速をしているため、エンジンの印象はない。また112kmの航続距離を使い切るまでの走行もしていないため、ここでもエンジンの存在を感じていないのだ。つまり、日常領域ではEV車と言えるレベルのPHEVになっているということがわかる。
そして先代との大きな違いでは急速充電に対応したことだ。先代では200Vの普通充電のみだったが、CHAdeMOに対応したことは大きい。欧州でのPHEVの考え方は自宅など長時間駐車する環境で充電を行ない、走行はエンジンを使うという思考がベースだが、国内ではできるだけCO2を排出しない方法としてICE搭載車であってもEV走行を有効に使っていくというユーザーも増えている。
というように、新型EクラスセダンのPHEVはEV領域の拡大により、使い方次第で驚異的な燃費とすることも可能で、時代の先端をいく仕様になって登場したわけだ。
CHAdeMOに対応し急速充電が可能にひとついただけないポイントに乗り心地があった。というか、試乗車は20インチサイズ(標準仕様)であり、この後試乗したディーゼルモデルはオプションの19インチサイズでありながら、乗り心地に大きな違いがあったからだ(標準装備は18インチ)。圧倒的にエアボリュームの少ない20インチでは突き上げをダイレクトに感じやすく、試乗車にはオプションの連続可変ダンピングシステムADS+とエアサスペンションを組み合わせたAIRMATICが装備されていても、ダイレクトに感じる突き上げ感は気になった。もちろん見栄えは20インチに軍配は上がるが、本来は18インチサイズがEクラスの乗り心地なのだろう。
標準仕様の20インチはエアボリュームが少なく、突き上げ感が気になるそして新型EクラスのもうひとつのハイライトはMBUXだ。全モデルにオプション設定される助手席まで一体化した大型ディスレイ「MBUXスーパースクリーン」の存在だ。まさに時代の先端を走るブランドであることを実感する風景だ。これまでは空調の吹き出し口がジェットエンジンのようなデザインで、強い存在感を作っていたが、今回全面モニターとなったため、空調はモニター上部輪郭に沿って細長くレイアウトされているのだ。
「MBUXスーパースクリーン」は助手席位まで一体化した大型ディスレイこのMBUXスーパースクリーンは第3世代へと移行し、サードパーティのアプリがダウンロードできるようになったことも大きな違いだ。試乗車にはTik Tokアプリもインストールされていたのが印象的で、他にもZoomを使うことが可能で、まさに時間と戦うエグゼクティブ御用達というわけだ。
このようにタブレットやラップトップPCと同等かそれ以上の画面サイズを持ち、サードパーティのアプリが使えるようになれば、パーソナライズは自然と出来上がり、使い方は無限に広がっていくわけだ。
試乗車ではTik TokやZoomといったアプリの使用も可能だったもう一台の試乗車はステーションワゴンでOM645M型2.0Lディーゼルターボ。48Vのマイルドハイブリッドを搭載し、メルセデスブランドは全て電動化するという目標を達成した。このディーゼルエンジンも素晴らしく、エンジン始動のタイミングでも音が静かでディーゼル感は全くない。エンジンが身震いして始動をイメージしていたら、早くアップデートした方が良い。始動ですら静粛性の高さに驚かされたのだから、走行ではエンジンの存在を消して静かに走行する。
OM645M型 2.0Lディーゼルターボ/48Vマイルドハイブリッド搭載の「E200d」ステーションワゴンアジリティコントロール・サスペンションを標準するE200dステーションワゴンはオプション設定の19インチサイズのタイヤを装着しながらもしなやかで、突き上げのない、しっとりとした乗り味を提供している。受動的な乗り方をすればするほど、身を委ねてくつろぎの移動空間を楽しみたくなるものだ。
オプション設定の19インチサイズのタイヤは、しっとりとした乗り味を楽しめるそして全車にオプション設定されているリヤ操舵システムが搭載されていたこともお伝えしておく。「リヤアクスルステアリング」は60km/h以下では逆位相に最大4.5度操舵され、60km/h以上では同位相に最大2.5度操舵される。駐車場など狭い場所での最小回転半径はセダンで5.0mと非常に小回りが効き便利。またドライビングにおいてもコーナリングの安定感が増し、おすすめしたいオプションと言える。
このように第6世代になった新型Eクラスはメルセデスブランドが持つ魅力を遺憾無く発揮し、薄味になったと感じていたユーザーも納得の出来栄えと感じるだろう。
価格
「E350e Sports Edition Star」セダンは上段3列目/「E200d」ステーションワゴンは下段2列目諸元
The post 【試乗記】メルセデスベンツEクラス 時代の先端を走る伝統のセダン first appeared on オートプルーブ - Auto Prove.
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