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100万円台のトヨタ新型「カローラクロス」 なぜ「199.9万円」というギリギリ価格を設定? どんな効果があるのか

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100万円台のトヨタ新型「カローラクロス」 なぜ「199.9万円」というギリギリ価格を設定? どんな効果があるのか

■限りなく装備が簡略化された「G“X”」グレードもラインナップ

 2021年9月14日に発表されたトヨタ新型「カローラクロス」は、ベースグレードが199万9000円という価格設定となっています。
 
 これは、「100万円台」ということをアピールするための戦略的なねらいが強いと思われますが、実際にこの「ギリギリ価格グレード」を購入するのはどのような人なのいるのでしょうか。

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 新型カローラクロスは、大きすぎず小さすぎず、必要十分以上の機能性を持ち、なおかつクラストップレベルの燃費性能(26.2km/L)を持つことから、ベストセラー間違いなしともいえるモデルに仕上がっています。

 新型カローラクロスのグレード構成は、ガソリン車とハイブリッド車のそれぞれに、ベースグレードの「G」、上級グレードの「S」、そして最上級グレードの「Z」が設定されています。

 さらに、ガソリン車に限り、装備を可能な限り簡略化した「G“X”」というグレードが設定されました。

 価格(消費税込)は、エントリーグレード「G“X”(2WD)」が199万9000円、最上級グレードの「HYBRID Z(E-Four)」が319万9000円です。

 このエントリーの「G“X”」というグレードは、フロントグリルやリアバンパーがシンプルなブラック塗装だったり、LEDハイマウントストップランプが8灯と、ほかのグレードの12灯より少なかったり、ステアリングが本革巻きではなくウレタン製だったりと、装備が簡素化されています。

 さらに、予防安全機能であるパーキングサポートブレーキや、ブラインドスポットモニター、あるいは駐車支援機能であるパノラミックビューモニターやバックガイドモニターがオプションでも装着できないといった制約があります。

 ここで気になるのは、あえてこの「G“X”」というグレードを購入するユーザーはいるのだろうか、という点です。

 新型カローラクロスと価格帯の近いSUVとして、トヨタにはすでにヒット車種となっている「ヤリスクロス」や「ライズ」があります。

 しかし、どちらも一部グレードをのぞけば車両本体価格は200万円を超えるため、これらを検討しているユーザーが、「予算に余裕があるから」という理由で、クラスがひとつ上とはいえ、限りなく装備が簡略化された新型カローラクロスの「G“X”」を検討するとは考えにくいように思われます。

 では、新型カローラクロスのG“X”はどのような人向けのグレードなのでしょうか。都内のトヨタ販売店スタッフは次のように話します。

「カローラクロスは9月14日の発表以降、お客さまからかなりの問い合わせを頂いており、事前予約も含めて、すでに多くの受注を頂いています。

 しかし、『G“X”』グレードに関しては、現在のところ、まだ1台も受注していません。

 G“X”は、『ヤリス』のX “Bパッケージ”や『アクア』のBと同じく、基本的にはビジネス向けのグレードとなります。

 そのため、メーカーオプションがほとんど選べない仕様となっており、ガソリン車のみの設定です」

 また、別の販売店スタッフは次のように話しています。

「カローラクロスの『G“X”』グレードは、安全装備を省いたり、外観を簡素化させていることから、積極的にお客さまにはオススメしづらいというのが正直なところです。

 もし『G“X”』とおなじ200万円程度のご予算でSUVを検討されているのであれば、202万円のヤリスクロスの『G』グレードをオススメします」

■ビジネス向け以外に設定する意味とは?「ギリギリ価格のグレード」が登場する背景とは?

 ビジネスユーザー向けに装備が簡素化された安価なグレードが設定されることは、トヨタだけでなくほかの国産メーカーでも見受けられます。

 では、今回の新型カローラクロスでは199万9000円という「ギリギリ価格」で設定される理由とはどのようものなのでしょうか。

 こうしたギリギリ価格のグレードを設定することは、一般的なマーケティング手法としてよく見られる手法です。

 実際に、2020年6月にフルモデルチェンジしたトヨタ「ハリアー」はエントリーグレード「S(ガソリン車/2WD)」を299万円からに設定し、大きな話題となりました。

 また、ある輸入車ブランドでは、399万9000円という価格設定をして広告などでその価格をアピールしていました。

 しかし、そのグレードはほかのグレードとは異なり、受注生産しか受け付けておらず、実際にはほとんど販売されなかったようです。

 こうしたギリギリ価格は、クルマだけではなく家電や街中のスーパーなどでも見受けられ「9万9800円」や「198円」など10万円でも200円でもない表示が定着しており、人の心理として端数のほうがお得感があるように感じられるのです。

 とくに、自動車業界においては、ギリギリ価格による恩恵はあるようです。

 モータリゼーションが進んだ日本では、クルマが必要な人はすでにクルマを持っている状態であり、待っていればお客さんがやってくるという状態ではありません。

 しかし、新規顧客を取り込むために自動車メーカーなどができることは少なく、新型車に興味を持ったユーザーが店舗にやってくることは、新規顧客獲得のための絶好の機会であるといえるほか、既存顧客に対しても乗り換えをオススメすることができます。

 商談の場が持てれば、ユーザーのニーズに合わせたクルマを案内したり、値引きやローン相談のきっかけをつくることができます。

 世界3位の経済大国である日本では、毎年多くの人がクルマを購入しますが、その気になればより上級車種を買えるという人は少なくないといわれています。

 ただ、堅実な国民性に加えて、ここ数年の先行き不透明な心理状況を考えると、やはり生活にかかるコストは低いに越したことはないと考える人が多いのも事実です。

 そこで、ギリギリ価格のグレードによってお買い得感を演出し、興味を持ったユーザーにまずは店舗に足を運んでもらうことで、商談の場を作りたいというのが本音でしょう。

 また、新型カローラクロスは大衆車の代名詞とも「カローラ」の名を冠していることから、幅広いユーザーのニーズに合わせたグレードが設定されるのは、既定路線といえるかもしれません。

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