現在位置: carview! > ニュース > 業界ニュース > 2億円オーバーの「ミウラ」には秘密があった! バルボーニ監修のアップデートは吉? それとも凶?

ここから本文です

2億円オーバーの「ミウラ」には秘密があった! バルボーニ監修のアップデートは吉? それとも凶?

掲載 3
2億円オーバーの「ミウラ」には秘密があった! バルボーニ監修のアップデートは吉? それとも凶?

“PARIS”オークションに出品されたミウラ

ランボルギーニ「ミウラP400」とその進化バージョンたちは、いわゆる“スーパーカー”という概念を構築した名車として、クルマ好きなら誰もが憧れる存在。特に2010年代中盤以降は、クラシックカーの国際市場における人気・評価ともに、もっとも急成長を遂げたモデルの一つにもなった。そんな状況のもと、クラシック/コレクターズカー・オークション業界最大手のRMサザビーズ欧州本社が2023年2月1日に開催した“PARIS”オークションでは、クラシックカートレードショーの世界最高峰“レトロモビル”に訪れる目の肥えたエンスージアストを対象とした、レアなクラシックカー/コレクターズカーたちが数多く出品されたのだが、今回はその中から1969年型「ミウラP400S」をピックアップさせていただくことにしよう。

1億4400万円!! 精巧なランボルギーニ「ミウラ・イオタ」はミツワによって輸入され日本にあった個体でした

世界初のスーパーカー、ランボルギーニ・ミウラの改良版

1965年、ランボルギーニのサンタアガタ・ボロネーゼ本社ファクトリーの実験工房において、ジャン・パオロ・ダラーラやパオロ・スタンツァーニ、ボブ・ウォーレスなど、のちにレジェンドとなる若手エンジニアたちが、課外活動的に開発した革新的なプロトティーポの最終工程を秘密裏に手掛けていた。しかしこの時製作された試作車が、半世紀以上の時を経た現在に至るスーパーカー軍拡競争に火をつけることになるとは、彼らの誰もが予想していなかったことだろう。

リアミッドシップエンジンのプラットフォームは、スポーツカーの走行性能とハンドリングに新基準を打ち立てたこと。そしてベルトーネの手によるエキサイティングなスタイリングも相まって、V型12気筒のランボルギーニは「世界初のスーパーカー」と評され、史上最も長く愛されるスポーツカーのひとつとなった。

1965年トリノ・ショーにて、のちに「TP400」名で呼ばれることになるローリングシャシーとして発表され、その後、1966年のジュネーブ国際モーターショーでP400に近いボディつきのプロトティーポとして発表されたミウラは、世間の圧倒的な支持を獲得。フェルッチオ・ランボルギーニも、このスーパーカーは一定数を生産されるべきと判断した。

こうしてオリジナルにあたるP400ミウラは、あっという間に275台が生産されることになった。そして、TP400の発表から3年後となる1968年トリノ・ショーで初公開されたのが、改良型にあたるミウラP400Sだった。

ミウラP400Sにおける外観上の変更点は、ベルトーネの紋章を象ったバッジの変更、ヘッドライトベゼルとウィンドウトリムのクローム化など、比較的軽微なものであった。いっぽうインテリアではシート表皮の変更に、ルーフに配されたスイッチレイアウトの変更、パワーウィンドウの追加、ランボルギーニ初となるエアコンのオプション設定など、より大きな変化がもたらされていた。

横置きされる4L V型12気筒エンジンは、初代P400と基本的に変わらないが、カムシャフトやチューニングを変更したことによって370psを発生させ、最高速度は276km/h(スペック上の数値はほかに複数あり)を達成することができるようになったといわれている。

著名コレクターのもとを渡り歩いたミウラP400S

2023年2月の“PARIS”オークションに出品されたシャシーNo.#4155は、338台が生産されたといわれるミウラP400Sとしては、比較的初期に作られたものの1台。“ロッソ・ミウラ”と名づけられた濃いめの赤のボディに、黒のビニールレザー&ベージュのファブリックによるコンビ内装を組み合わせ、1969年8月6日にランボルギーニのサンタアガタ本社工場からラインオフした。

ファーストオーナーとなったのは、それ以前にP400を所有していたヴレヴィリエーリ博士。しかし、1970年1月にピエトロ・マンフリナート博士に売却されるまでの数カ月間のみをともに過ごしただけに終わった。

1971年4月にはウバルド・ガルデッリ氏が入手。同氏は1982年1月に“サッソ・カー”有限会社に譲渡されるまで、10年以上にわたってこのミウラを所有した。さらに1986年1月には、ボローニャ在住の著名なコレクターであるピエル・パオロ・アピチェッラ氏が購入した。このアピチェッラ氏の所有時代、1990年代半ばにボローニャのスーパーカー/クラシックカー専門工房“オフィチーナ・サウロ”社によって、初の修復が行われたと考えられている。

1999年には、当時ヨーロッパで最も重要なコレクションのひとつと目されていた“ニュッティ・コレクション(Gnutti Collection)”に加えられたのち、2014年5月に今回のオークション出品者でもある現オーナーへと譲渡されるに至った。

バルボーニ監修のもとのアップデート

そして2015年には、コンクール・デレガンスにふさわしい状態に仕立て直すためのレストア作業が行われることになる。現オーナーは、ランボルギーニの元チーフテストドライバーであるヴァレンティーノ・バルボーニ氏と密接に協議し、必要な改善点を明確化。添付されたヒストリーファイルの請求書からも明らかなように、モデナ近郊サルヴィオリにある“トップモーターズ”によるエンジンのオーバーホールを含む、3万1528ユーロ相当の整備を受けた。

くわえてこのレストアに際しては、VBことバルボーニ氏の助言により、ドライビングエクスペリエンスを向上させるため、後輪にはよりワイドな「P400SV」用ホイールとベンチレーテッド式ディスクブレーキが装備されている。

同じミウラでも、技術的に大幅な改良がくわえられた最終進化形にして、よりアグレッシヴないでたちのP400SVは3億円以上で取り引きされる事例が多いいっぽう、ヘッドライトに“まつ毛”のあるP400Sこそがミウラの決定版であると考えるサンタアガタ愛好家も少なくはないようだ。

しかしこの個体は、来歴やコンディションの面では申し分のないP400Sながら、昨今における同モデルのハイエンドよりはちょっと安めの158万ユーロ(邦貨換算約2億3500万円)で落札されることになった。

こういった大規模な国際オークションで入札が伸びない理由は、会場の雰囲気が予想ほどには盛り上がらないなど様々なものがあるのだが、この個体については、もしかしたらブレーキや後輪に施されたアップデートが、“ポロストリコ”的観点からすればオリジナリティを損ねていたという可能性も否めない。

それもまた、高級クラシックカーのオークションの難しくも面白いところなのであろう。

こんな記事も読まれています

新型ヴェゼル詳細チェック&ライバル比較
新型ヴェゼル詳細チェック&ライバル比較
グーネット
暫定4位のマルティに30秒のタイムペナルティ。VSC中のピットストップ敢行と判定/FIA F2第7戦レース2
暫定4位のマルティに30秒のタイムペナルティ。VSC中のピットストップ敢行と判定/FIA F2第7戦レース2
AUTOSPORT web
ハンドリングは世界レベル!! リッター30km超えの[カローラ]はデザイン重視も意外な弊害って?
ハンドリングは世界レベル!! リッター30km超えの[カローラ]はデザイン重視も意外な弊害って?
ベストカーWeb
【大阪府】自己と向き合い勝運を祈る勝ちダルマの寺 ~男を磨くデイドライブ~
【大阪府】自己と向き合い勝運を祈る勝ちダルマの寺 ~男を磨くデイドライブ~
グーネット
【北海道】 住宅街にたたずむ古民家カフェで至福の一杯を ~男を磨くデイドライブ~
【北海道】 住宅街にたたずむ古民家カフェで至福の一杯を ~男を磨くデイドライブ~
グーネット
【兵庫県】レストランクルーズ船で贅沢なひとときを ~男を磨くデイドライブ~
【兵庫県】レストランクルーズ船で贅沢なひとときを ~男を磨くデイドライブ~
グーネット
【大阪府】豊かな感性とイマジネーション育む図書施設 ~男を磨くデイドライブ~
【大阪府】豊かな感性とイマジネーション育む図書施設 ~男を磨くデイドライブ~
グーネット
【大阪府】全国のバーテンダーが惚れ込む、プロ御用達の洋酒専門店 ~男を磨くデイドライブ~
【大阪府】全国のバーテンダーが惚れ込む、プロ御用達の洋酒専門店 ~男を磨くデイドライブ~
グーネット
[空飛ぶクルマ]6輪車で登場か!? 実用化なれば結構アリかも!! でも意外な欠点とは?
[空飛ぶクルマ]6輪車で登場か!? 実用化なれば結構アリかも!! でも意外な欠点とは?
ベストカーWeb
自動車界の生きた化石、モーガン「4/4」に中学時代から憧れて…念願かなって16年前に購入!「オリジナルのまま乗り続けるのが目標です」
自動車界の生きた化石、モーガン「4/4」に中学時代から憧れて…念願かなって16年前に購入!「オリジナルのまま乗り続けるのが目標です」
Auto Messe Web
定年間近のクルマ好きの方から「定年後にポルシェ911を買いたい」と聞かれてマジレスした話
定年間近のクルマ好きの方から「定年後にポルシェ911を買いたい」と聞かれてマジレスした話
旧車王
家の中で愛車を楽しむ!クルマを飾れるギャラリー付きマンション誕生 東京・千歳船橋
家の中で愛車を楽しむ!クルマを飾れるギャラリー付きマンション誕生 東京・千歳船橋
グーネット
シトロエン ありがとう「C3」! 日本販売ラストを飾る限定車「メルシー!」は人気カラー採用
シトロエン ありがとう「C3」! 日本販売ラストを飾る限定車「メルシー!」は人気カラー採用
グーネット
ホンダ ポータブル電源「パワーポッド e:」発売 着脱バッテリーで長時間の連続使用も可能に
ホンダ ポータブル電源「パワーポッド e:」発売 着脱バッテリーで長時間の連続使用も可能に
グーネット
ポルシェ 新型「タイカン」六本木ヒルズで初公開!大谷翔平選手とのコラボキャンペーンも
ポルシェ 新型「タイカン」六本木ヒルズで初公開!大谷翔平選手とのコラボキャンペーンも
グーネット
まるで走りはスーパーサルーン! アストン マーティンDBX707へ試乗 タッチモニター獲得で誘引力UP
まるで走りはスーパーサルーン! アストン マーティンDBX707へ試乗 タッチモニター獲得で誘引力UP
AUTOCAR JAPAN
なぜホンダ新型「ヴェゼル」は純正のタイヤ銘柄が増えた? 辛口モータージャーナリストがFFと4WDの走りの進化を検証します
なぜホンダ新型「ヴェゼル」は純正のタイヤ銘柄が増えた? 辛口モータージャーナリストがFFと4WDの走りの進化を検証します
Auto Messe Web
マクラーレン育成ボルトレートが初優勝。マシントラブル相次ぐ一戦に/FIA F2第7戦レース2
マクラーレン育成ボルトレートが初優勝。マシントラブル相次ぐ一戦に/FIA F2第7戦レース2
AUTOSPORT web

みんなのコメント

3件
  • ミウラにまつ毛は必要。
    SVにまつ毛を付けたクルマが最高です。
  • 小学生のころ、三浦さんと関係があるのだろうか? と悩んでた
※コメントは個人の見解であり、記事提供社と関係はありません。

この記事に出てきたクルマ

新車価格(税込)

677.3698.3万円

新車見積りスタート

中古車本体価格

435.0726.0万円

中古車を検索
ヨーロッパの車買取相場を調べる

査定を依頼する

メーカー
モデル
年式
走行距離

おすすめのニュース

愛車管理はマイカーページで!

登録してお得なクーポンを獲得しよう

マイカー登録をする

おすすめのニュース

おすすめをもっと見る

この記事に出てきたクルマ

新車価格(税込)

677.3698.3万円

新車見積りスタート

中古車本体価格

435.0726.0万円

中古車を検索

あなたにおすすめのサービス

メーカー
モデル
年式
走行距離(km)

新車見積りサービス

店舗に行かずにお家でカンタン新車見積り。まずはネットで地域や希望車種を入力!

新車見積りサービス
都道府県
市区町村