ガソリン、ディーゼル、プラグインHVと 3つのパワーユニットをラインアップ!
「フォルクスワーゲン(VW)」の『パサート』に2リットル直列4気筒ディーゼルインタークーラー付きターボエンジン搭載モデルが追加された。 ボディタイプは、セダンとヴァリアント(ワゴン)の2タイプをラインアップし、価格は422.9万~509.9万円。乗り味は、パサートらしくしなやか。搭載するディーゼルエンジンは、まるでガソリンエンジンのようなアクセルレスポンスに優れ、スムースな回転フィールを実現する。
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2014年に登場した現行型8代目『パサート』は、1.4リットルと2リットルの直列4気筒インタークーラー付きターボエンジンのほか、1.4リットル直列4気筒インタークーラー付きターボエンジン+モーターを搭載するプラグインハイブリッドと3タイプのパワーユニットを設定。これに新たに2リットル直列4気筒インタークーラー付きディーゼルターボ(TDI)が追加されたわけだ。グレードは、セダン/ヴァリアント(ワゴン)それぞれにエレガンスとハイラインの2種類を設定。ハイラインは、本革シートや18インチホイール(エレガンスは17インチ)を標準化し、サンルーフをオプション設定するなど、豪華な仕様になっている。
日本国内のディーゼル車試乗は2012年以降拡大傾向にあり、輸入ディーゼル車は2017年間総販売台数の約2割超を占める。そのような市況を受け、VWとしてもディーゼル車のラインアップは必須だったわけだ。
パサートが搭載するディーゼルエンジンは、日本の厳しい排ガス規制に適合するためDPF(ディーゼルパティキュレートフィルター)付き触媒やSCR(選択触媒還元)システムなどを採用。 SCRシステムで使用する尿素水溶液「AdBlue」のタンクは13リットル。1000km毎に約1.5リットルを消費するが、1万kmは余裕で無補給で走行できるようだ。なお「AdBlue」の補充は燃料の給油口となり(青のキャップ)に併設されている(その影響でフューエルリッドはかなり大型)。
このような排ガス浄化装置の採用によって、日本のポスト新長期排ガス規制に適合するクリーンディーゼルとなっている。 ちなみに最高出力は140kW(190ps)/3500~4000rpm、最大トルクは400Nm(40.8kg-m)/1900~3300rpm。JC08モード燃費は20.6km/Lだが、東京から試乗会場(山梨県)までで、20km/Lを余裕で記録。燃料タンクは59リットルなので、ワンタンクで1000kmは走れる計算だ。
ガソリンエンジンのようにスムース 洗練されたしなやかな乗り味にピッタリ!
今回は『パサートヴァリアント』のハイラインを試乗した。
ボディサイズは全長×全幅×全高=4775×1830×1510mm(セダンは4785×1830×1470)。 ラゲッジルームは650~1780リットル(セダンのトランク容量は586リットル)と広大。リヤシートは6:4分割可倒式で、トノカバーのほかにパーティションネットも標準装備する。
試乗車は、メーター中央にナビゲーションや車両情報を表示するデジタルメーター(オプション)を装備。
シートは肌触りのよいナパレザーとシックな雰囲気だが豪華な仕様になっている。 前席はパワーシートで、適度なホールド感がある。そしてシートバックは腰椎をしっかりとサポートし、張りの座面とともに長距離ドライブでの疲労を間違いなく軽減してくれる形状だ。
試乗会場の周辺は、アップダウンに富んだワインディングロード。長い上り坂が続く道もあり、ハンドリングやエンジンの特性を把握しやすい場所だった。 走り出した瞬間に感じたのが、ディーゼルらしくない軽快な回転フィールだ。 一般的なディーゼルエンジンは、実はアクセルを大きく踏み込んだときは意図しているよりエンジン回転の上がり方が遅く感じる。 市街地では、低回転域から太いトルクを発生するのでアクセルをフンワリ踏み込むからあまり気にならないが、今回のようにキツイ上り坂がある試乗コースではアクセルの踏み込み量が増えるので、『パサート』のディーゼルエンジンの反応の良さが際立って感じられる。
トランスミッションは6速湿式ツインクラッチの6DSG。1.4リットルガソリンモデルの7DSG(7速乾式ツインクラッチ)より1速少ないが、エンジンのトルクがあるので6速でもまったく不足感はない。むしろギヤ数が少ないので、忙しなく変速しないのが好ましい。 Dレンジで走行すれば、いつでも最適な回転域をキープできるギヤが選択されており、アクセルを踏み込んだとき即座にエンジンが反応する。 少しスポーティな走りをしてみたが、アクセル操作に忠実にエンジンが反応するのでワインディングロードではテンポ良くカーブをクリアすることができた。
唯一気になったのがエンジン音。走り始めてある程度時間が経過したら気にならなくなったので、もしかすると冷間時のみ高くなってしまうのかもしれない。ちなみに日本仕様にはバランサーシャフトが採用しているからか、ディーゼル特有の不快な振動は一切感じられない。
パサートの特徴のひとつでもあるのがしなやかな走り。カーブの途中にある段差を通過するときも、驚くほどショックをいなし、乗員に伝えない。 これは、サスペンションが柔らかいとか単純な理由ではなく、ボディそのものの剛性感とサスペンションの取り付け部の強度といったさまざまな要素を含んだ基本設計の高さが、このしなやかな走りを作り上げている。もちろん、高速道路での引き締まったフラット感は、さすがアウトバーン(ドイツの高速道路)育ちと感じさせるところだ。
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