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【F1復帰を記念】アストン マーティン・ヴァンテージ F1エディションへ試乗 最も積極的に楽しめる

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【F1復帰を記念】アストン マーティン・ヴァンテージ F1エディションへ試乗 最も積極的に楽しめる

F1参戦を記念した特別なヴァンテージ

text:Matt Prior(マット・プライヤー)

【画像】最も積極的に楽しめるアストン ヴァンテージ 競合スポーツモデルと比較 全160枚

translation:Kenji Nakajima(中嶋健治)


アストン マーティンのテールに、高くウイングがそびえる。限定カラーが与えられるヴァンテージのトップグレード、F1エディションであることを象徴するように。ちなみに、生産台数の制限はないという。

選択できるボディカラーは、写真のグリーンのほかに、ブラックとホワイトのいずれか。アストン マーティンの最新F1マシンが身にまとうカラーに準じたものだ。

F1レースでマシンを先導する、ヴァンテージのセーフティカーに似たな見た目を獲得しているだけではない。走りの特性を根本的から改める、奥深い変化も与えられている。

本来ヴァンテージとは、アストン マーティンのいくつかあるモデルの中で、最もアグレッシブであるべき存在。高いレベルにあるDBSスーパーレッジェーラやDB11 AMR以上に。

そこでアストン マーティンの新CEO、トビアス・ムアースはエンジニアリング面で具体的な達成目標を設定した。エンジンのパワーを追加するだけではなく、ニュルブルクリンクのラップタイムを、これまでのヴァンテージより15秒縮めるという課題だ。

一般道で酷い乗り心地にすることなく、その目標をクリアすることは、エンジニアにとってかなりの難題だったはず。しかし近年のアストン マーティンには、かなり優秀なスタッフと技術力が存在している。

一般道も許容するしなやかなサスペンション

F1エディションの変更か所は細かい部分が多いが、多岐に渡る。ステアリングのレスポンスを鋭くするため、シャシーのフロント周りは剛性が高められている。同時にアダプティブダンパーは、可変範囲が拡張されている。

トラクションを向上させるため、リアのスプリングレートをアップし、同時に横方向の剛性が強化された。ホイールサイズは直径が1インチ大きくなり、21インチに。フロントに255/35、リアに295/30という扁平タイヤが組まれる。

リアウイングだけでなく、フロントに追加されたチンスポイラーなど、エアロダイナミクスも全面的に手直ししてある。その結果、最高速度域で200kgのダウンフォースを上乗せしている。いずれも、パフォーマンスの向上につながる内容といえる。

ラップタイムを狙うために仕立てられたクルマへは、筆者はあまり共感できないことがある。だが、このクルマは別。確かにF1エディションは、通常のヴァンテージより少し硬い。しかし、柔軟性も残されている。

最もソフトなドライビングモードを選択すれば、英国郊外の傷んだ舗装路でも問題なく対応可能。トラック・モードはその名の通りサーキットがベスト。その中間にあるモードでも、状態の良い一般道を受け入れてくれる。

モードに関係なく、姿勢制御は見事。ステアリングは鋭く、多くの手応えも得られる。ポルシェ911 GT3ほど、フォーカスの決まった完璧な感じは受けないものの、確実にヴァンテージの水準が上昇している。

落ち着きやトラクションなどすべてを向上

サーキットを走らせてみて明確に感じられるのが、より磨き込まれた姿勢制御。そして、引き上げられたトラクション。ドリフトも、見事なまでに操縦しやすい。

そもそも通常のヴァンテージでも、非常に機敏で運転を楽しめるクルマではある。ステアリングを切ると、鋭くボディが旋回していく。4.0L V8ツインターボのトルクを解き放てば、いとも簡単にリアタイヤはスライドし始める。

このF1エディションでは、走りのシリアスさが一層強められた。クルマの落ち着きとトラクション、ドライバーへ伝わるフィーリングが、すべて高められている。荒々しさは抑えられつつ、従来より遥かに優れた印象を受けた。

V8ツインターボ・エンジンの最高出力は535psで、25psだけ増強されている。最大トルクは変わらず69.6kg-mだが、発生回転域がワイドになっている。

トランスミッションはトルクコンバーター式の8速AT。変速時にはトルクカットが生じ、最新のデュアルクラッチATほど仕事は瞬間的ではない。それでもレスポンスに不満はなく、低速域でのマナーは安楽。とても好ましい。

インテリアには、アルカンターラとレザーによる新しいコーディネートが施された。造形的なデザインは基本的に変わらない。14万2000ポンド(2186万円)の値段のクルマとしては、目に見えるプラスティックがやや多いように感じてしまう。

最も積極的に運転を楽しめるアストン

ステッチの施されたシートはサポート性に優れ、ドライビングポジションも良好。グラフィック的な部分は、もう少し改善しても良いだろう。

運転席に座ると窓の下辺が高く、視界に優れるとはいい難い。F1エディションでも、ヴァンテージのボディの大きさを感じてしまう。実際、ミラーを含めた全幅は2.15mもある。

しかし、外へ張り出したミラーを覗くと、グラマラスなリアフェンダー越しにウイングの姿が目に入る。見惚れてしまう眺めだ。

通常のヴァンテージも、従来どおり選べる。F1エディションの主張が強い容姿を好むかどうかは、個人的な感覚だとは思う。だが、最も積極的に運転を楽しめるアストン マーティンとして、ヴァンテージが再確立されたことは間違いないだろう。

アストン マーティン・ヴァンテージ F1エディション(英国仕様)のスペック

英国価格:14万2000ポンド(2186万円)
全長:4465mm(標準ヴァンテージ)
全幅:1942mm(標準ヴァンテージ)
全高:1273mm(標準ヴァンテージ)
最高速度:313km/h
0-100km/h加速:3.5秒
燃費:8.6km/L
CO2排出量:264g/km
車両重量:1570kg
パワートレイン:V型8気筒3982ccツイン・ターボチャージャー
使用燃料:ガソリン
最高出力:535ps/6000rpm
最大トルク:69.6kg-m/2000-5000rpm
ギアボックス:8速オートマティック

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