■ブラッドリー・スミスがアプリリアからの離脱を決断
MotoGPクラスに参戦するアプリリア・レーシングでテストライダーを務め、2020年はドーピング問題で出場停止処分を受けたアンドレア・イアンノーネの代役で11レースに出走したブラッドリー・スミスが、イタリア・ノアーレのメーカーから離脱することを決断したようだ。
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2021年もセカンドライダーまたはテストライダーとしてアプリリアで活動すると思われたが、昨年、CIV(イタリア選手権)のスーパーバイククラスを制したご褒美として終盤の3レースを走ったロレンツォ・サバドーリと両天秤に掛けられる状況に業を煮やしたのかもしれない。
スミスは自身のインスタグラムに「No Looking Back(振り返らない)」と投稿。あわせてヤマハ製マシンの画像をアップし、これからヤマハのプロジェクトに参加することを匂わせた。
イギリス・オックスフォード出身の30歳は、当時ヤマハのサテライト・チームだったテック3からMotoGPクラスに参戦していたこともあり、ヤマハとの関係は決して浅くはない。2015年には中須賀克行、ポル・エスパルガロとのトリオで鈴鹿8耐も制している。
テンケイト・レーシング・ヤマハからWSBK(スーパーバイク世界選手権)に参戦していたロリス・バズが、AMA(全米モーターサイクル協会)スーパーバイク選手権を前身とするMoto America参戦を決め、急きょ離脱したため、その後釜に座るか、もしくはマシンの画像がWSSP300(スーパースポーツ300世界選手権)に投入されているYZF-R3であることから何らかの形でWSSP300に関わるのでは? と見られている。
■Moto2有望ライダーからも敬遠されるいくつかの理由
テストライダーとしての起用が濃厚だったこともスミスが離脱した理由のひとつだと考えられるが、アプリリアはここのところフラれっ放しだ。
イアンノーネの処分が決まらず(最終的には4年間の出場停止処分が決定)、2021年のライダーが話題になった際にはLCRホンダからの離脱が確定的だったカル・クラッチローの名前が挙がり、一旦は合意に至ったが、クラッチローの「家族との時間を大切にしたい」という希望を受けて破談。これまたドゥカティ・ファクトリーから離れることが決まっていたアンドレア・ドヴィツィオーゾにも声をかけたが、提案にはそれほど興味を持たなかったといわれている。
続いてMoto2クラスの若手有望株、マルコ・ベッツェッキに目を付けたが、所属するスカイ・レーシング・チーム・VR46が懸念を示したために話がまとまらず、同じくMoto2で活躍するジョー・ロバーツにもオファーを出したが、「勝てる体制でMoto2チャンピオンを目指したい」との理由でやんわり断られた。
ロバーツの母国であるアメリカのレジェンド、ケビン・シュワンツは「MotoGPに昇格するチャンスは滅多にない。ジョーはできるだけ早くそこに到達するべきだったと思う」と残念がるが、どちらかというとこの意見は少数派だ。
バイクレースの頂点、MotoGPクラス参戦のチャンスは喉から手が出るほど欲しいと思うのだが、断られる原因はどうやらアプリリア側にもありそうだ。
スミスはスミスは「新しい部品はほとんど回ってこず、問題を解決できなかった」と昨年を振り返り、2017年に在籍し、契約期間を満了せずに打ち切られたサム・ロウズは「あそこには馬鹿しかいなかったよ」とその頃のことを思い出し、苦々しく語る。
これらの事情は関係者に知れ渡っており、もはやアプリリアのセカンドシートは、いわば“ババ抜きのジョーカー”と化している。
チーム運営を任せているグレシーニ・レーシングとの契約が2021年いっぱいで終了し、2022年以降の参戦体制がはっきりしないこともライダーたちを不安にさせている。
■優遇措置を有効に使って競争力の大幅アップを目指す
RS-GPは決して上位を狙えるマシンではないが、少しずつ進化はしている。2020年型でバンク角を72度から92度に変更したV4エンジンは、まだ信頼性に難があるものの、まずまずのパワーを発揮。幸か不幸かアプリリアはコンセッション(優遇措置)が適用されているメーカーのため、シーズン開幕以降もエンジン開発を継続できるのはメリットだ。
近い時期にMotoGPに復帰したスズキ、新規参入したKTMに大きく水をあけられている現状だが、かつてはマックス・ビアッジ、若き日のバレンティーノ・ロッシらを擁してWGPの250cc、125ccクラスを席巻したメーカーだけに奮起を期待したいところだ。
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みんなのコメント
なので、結局アプリリアだけが一人負けみたいない感じだったもんな。