ギリギリ5000mにならないトンネル多くない?
高速道路のみならず一般道でも、長いトンネルが増えてきました。日本一長い道路トンネルは、首都高C2中央環状線の「山手トンネル」で、その長さは18kmを超えます。一般的に「長大トンネル」に分類される5000m以上のトンネルは、2024年現在、日本に18本あります。
ただ、こうしたトンネルの長さをランキングにしてみると、「5000m」を境として、4999mや4998m、4997mといったように、「5000mにちょっと届かない長さ」のトンネルがかなり多いことが分かります。その数、およそ50本。「あえて5000mを超えないようにしているのでは……」と思わずにはいられないほどの停滞ぶりです。
なぜ5000mに少し届かないくらいのトンネルが多く存在するかというと、大きな制約が発生するからです。
道路法第46条第3項では、5000mを超える長大トンネルについて「危険物」を積載したクルマの往来を禁止しています。
道路交通法でいう危険物とは、「危」と記載されたプレートを車体に付けた車両が運ぶ物です、具体的には引火性の高い液体や熱、衝撃、摩擦などで激しい燃焼を起こす物質です。危険物であるガソリンなどを運ぶタンクローリーが、その代表格といえます。
規制の理由は「トンネルの構造を保全し、又は交通の危険を防止するため」とされています。違反して通行した場合の罰則もあり、6か月以下の懲役または30万円以下の罰金となっています。
例えば、関越道で群馬・新潟県境を越える関越トンネルは1万m以上の長さがあり、危険物積載車が通れません。そのため危険物を積載したタンクローリーなどの車両は、並行する国道17号の山道を延々走り、新三国トンネル経由で往来しています。中央道の長野・岐阜県境に位置する恵那山トンネルも危険物積載車が通れないため、タンクローリーなどは一般道で峠越えをしています。
実は特例で通行可能なケースも
このほか、川や海の下を通る水底トンネルも危険物積載車の通行が禁止されています。これらは、首都高の羽田トンネル(300m)や東京港トンネル(1325m。並行する国道357号のトンネル含む)など、5000mよりもはるかに短いトンネルでも通行ができなくなっています。
一方、外環道の千葉区間(三郷 高谷)など、地下トンネルに似た構造ながら、上部に「スリット」と呼ばれる穴が連続する構造の場合は「半地下トンネル」になるため、危険物積載車も通行が可能です。ただ、こうした構造はコストが高いため、採用例はわずかしかありません。
しかし、こうした規制が災害時の物資輸送に支障をきたす可能性もあることから、2016年に国土交通省が通行規制の緩和を通達したことがあります。自治体などの要請があったうえで誘導車を配置し、他の車両との間隔を保つといった通行の安全が確保される場合には、通行が認められることがあります。
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みんなのコメント
その昔、北朝鮮の弾道ミサイル実験に対抗して、各地に「パトリオット・ミサイル」が配置されたことがあります。写真をよく見ると、当初配備されたミサイル運搬車には、「火」の標識が無いものもありました。その後、北のミサイルが日本列島を超えて太平洋に着弾するようになると、全てのミサイル運搬車に「火」の標識がつくようになりました。
つまり、ミサイルの「実弾」を積んでいることの証明です。
おそらく、自衛隊の「火」標識の車両も、非常時には例外的に5000メートルを超えるトンネルを通行できるでしょう。