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グランドチェロキーvsレンジローバースポーツ、走りにこだわるアッパーミドルSUV対決

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グランドチェロキーvsレンジローバースポーツ、走りにこだわるアッパーミドルSUV対決

海外メーカー製の高級SUVが続々と投入される中で、異彩を放っているのが米英ブランドのSUV。長い歴史を持つSUVブランドは何を目指しているのか、探ってみた。

全く別格の存在感を放つラグジュアリーSUV

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 輸入車のラグジュアリーなSUVというと、メルセデス・ベンツ、BMW、アウディ、ポルシェといったドイツ車がまず目に浮かぶ。しかし、歴史を遡ってみるとドイツメーカーのSUVは、ユーザーの動向をつかんでから開発が進められ、時代の流れに乗って、人気となった経緯がある。SUVのルーツはドイツではなく、英国とアメリカであることを知っている人は意外と少ない。

 今回紹介する2台はまさにSUVがまだクロスカントリー4WDとか、レクレーショナルビークル(RV)と呼ばれていた時代に登場し、市場を形成してきたモデルだ。老舗ブランドが造った最新のSUVは個性にあふれており、とことん楽しめるものとなっている。

 ジープは1945年、米国で誕生した。米軍の不整地走行用の4WD車がベースとなっている。その後、製造メーカーは転々としたが、ジープのブランドは生き残り、1946年にはジープワゴンが登場。これがワゴンタイプ乗用車としてのジープのルーツになる。『グランドチェロキー』という車名は1993年から。

 最新モデルは2022年10月に登場したプラグインハイブリッドモデル。それまでの3列シートのボディーではなく2列シートのボディーを搭載し、モーターだけで最長53km走行できる電池+充電装備を搭載したジープ初のEVモデルとして生まれ変わった。

 一方の『レンジローバー スポーツ』は、ランドローバー社が1970年に発表したラグジュアリーな4WDワゴン。ベースとなったランドローバーは1945年に農業用の不整地走行ができるクルマとして開発されたのだが、ジープがルーツになって造られたと言われている。その不整地走行車を、乗用車風にアレンジしたのが『レンジローバー』の始まりだった。

 最新の『レンジローバー スポーツ』は、新開発の直列6気筒3.0Lのマイルドハイブリッドディーゼルもしくはガソリンエンジンを搭載し、販売されている。特にディーゼルの完成度は高く、振動、音とも完璧に抑えられており、まさに高級SUVにふさわしい性能を与えられている。

 ドイツ車全盛の輸入車市場で、英国とアメリカから登場した2台のラグジュアリーSUVは全く別格の存在感を放っている。このカテゴリーの選択肢として検討する価値はありそうだ。

抜群の走破性能でパワフルに駆動するSUV

ジープ『グランドチェロキー』

Specification
■全長×全幅×全高:4990×1980×1810mm
■ホイールベース:2965mm
■車両重量:2410kg
■排気量:1995cc
■エンジン形式:直列4気筒ガソリンターボ+交流同期モーター2基
■最高出力:272PS/5250rpm+60PS+145PS
■最大トルク:400Nm/3000rpm+54Nm+255Nm
■変速機:8速AT
■燃費:10.4km/L(WLTCモード)
■車両本体価格:1037万円
※「Limited 2.0L 4xe」

フロントグリルの7つの長方形はジープの顔。グリルにはエンジンなどの冷却状況に応じて開口部のフラップを自動制御するアクティブグリルシャッターが採用され燃費向上を図っている。

『グランドチェロキー』は2列シートと3列シートが用意されている。プラグインモデルは2列シート仕様なのでホイールベースで65mm、全長300mmだけ3列シートモデルより短い。

テールランプは横長で細い。荷台の開口部は820mmと高め。車高などの調整装置はない。車幅は1980mmで2005mmある『レンジローバースポーツ』よりわずかに狭い。リアウインドウの視界も広い。

効率性を最適化しEVでの走行距離を拡大するSUV

ランドローバー『レンジローバー スポーツ』

Specification
■全長×全幅×全高:4960×2005×1820mm
■ホイールベース:2995mm
■車両重量:2480kg
■排気量:2993cc
■エンジン形式:直列6気筒ディーゼルターボ+モーター
■最高出力:300PS/4000rpm+18PS
■最大トルク:650Nm/1500~2000rpm+42Nm
■変速機:8速AT
■燃費:11.3km/L(WLTCモード)
■車両本体価格:1457万円
※「オートバイオグラフィーD300」

台形を強調したフロントデザイン。LEDヘッドライトは薄目で、グリルも狭く、フラッシュサーフェイス化している。ボンネットはボディー側面から大きく開く伝統のクラムシェルを採用。

ボディーラインとルーフラインは後方に向けて傾斜しており、クーペ的なプロポーションでスポーツモデルらしさを演出。フロントマスクのフラッシュサーフェイスも一目瞭然。

ゲート開口部の高さはノーマルでは『グランドチェロキー』より30mmほど高いが、車高調節を利用すれば最高位920mmから最低位790mmまで開口部の高さを調節できる。

柔と剛を併せ持ったマルチに使える万能SUV

ジープ『グランドチェロキー』

エンジンルーム
直列4気筒2Lガソリンターボエンジンは横置きで272PS、400Nmを発生。一方2つのモーターは60PS、54Nmと145PS、255Nmを発生する。

運転席と各種装備
前席はセンターコンソールを中心に運転席と助手席が分かれる。空調操作を重視したインパネは快適志向のアメリカ車的。

シートスペース
前席の着座位置は高めにするとドアの上縁に頭がぶつかりやすくなる。Aピラーにグリップがあると乗り込みやすい。

ラゲージスペース
荷室は奥行き、左右幅ともに1m以上ある。サブトランクにスペアタイヤと充電ケーブルを格納。後席は6対4で倒れリクライニングする。

【 ココがポイント!】多彩なドライブモードで効率よくパワフルに走る
8速ATのシフトはダイヤル式。ドライブモードスイッチはその左横にある。ROCK/SAND・NUD/SNOW/AUTO/SPORT/HYBRID/ELECTRIC/e-SAVEの電気走行モードを備えている。

【 ココがポイント!】充電は200V専用で40km以上のEC走行が可能
充電口はフロントフェンダーの左にある。200V専用。100%充電状態での航続距離は43km、充電時間は5時間41分と表示されていた。燃費は6~10km/Lが実走燃費。

ランドローバー『レンジローバー スポーツ』

エンジンルーム
新開発の直6ディーゼルターボエンジンは縦置き。音・振動ともに抑えられている。ガソリンエンジンも限定で販売されている。

運転席と各種装備
木目などはないが高級感の漂うインパネのデザイン。ハンドルもオフホワイトにレザーを採用。ナビ画面も大型で見やすい。

シートスペース
シートの表皮にもオフホワイトを使用。高めの着座位置でボンネットが見えるのはランドローバー社のオフロードカーの鉄板。

ラゲージスペース
奥行き、左右幅ともに『グランドチエロキー』よりやや狭い荷室。4/2/4の分割可倒式。荷台の手前床にボードが立ち上がる。

【 ココがポイント!】自動でせり出すドア下のステップが便利
ドアを開けると、自動的に足元にステップがせり出してくるので、乗り降りするにはとても便利。オプションパーツのディプロイアブルサイドステップキットで価格は59万840円と高額。

【 ココがポイント!】迫力満点の23インチタイヤでスポーツ性能をアピール
「ローンチエディション」のガソリン車を含めると6グレードあるが、エアサスや悪路走破用のテレインレスポンス2は標準装備。23インチホイール+285/40R23タイヤはオプション。

ワイルドを追求するなら『グランドチェロキー』、上質感を求めるなら『レンジローバー スポーツ』

ジープ『グランドチェロキー』

[運動性能]2.0Lターボと8速ATの組み合わせは低回転からのレスポンスも良く俊敏。ハンドリングは重めで直進性重視。18点

[居住性]前後席とも広さは十分だが乗り込む時に車高が高いのでせめてハンドグリップが欲しい。後席の居住性は良い。18点

[装備の充実度]安全装備も充実、悪路走破性は高い。最上級グレードはさらに充実。プラグインハイブリッドも使える。19点

[デザイン]伝統を重んじた逆スラントノーズグリルや直線を生かしたボディーラインは力強さがありいかにもジープらしい。19点

[爽快感]軽快というより落ち着きがあり貫禄さえ感じさせる雰囲気。ゆったりハイウェイを走るシーンが似合うクルマだ。18点

[評価点数]92点

ランドローバー『レンジローバー スポーツ』

[運動性能]直6、3Lのディーゼルターボはトルクもありエンジン音も静か。エアサスはオプションの4WSがあれば完璧。19点

[居住性]前後席とも圧迫感はないが、荷台はやや狭い。前席の視界は良好。後席のドアウインドウが全開しないのが残念。18点

[装備の充実度]エアサス付きで悪路走破性も渡河性能もハイレベル。ラグジュアリーな装備や先進安全装備も充実している。19点

[デザイン]フロントグリルのフラッシュサーフェイス、リアに向かってのクーペルックは上質なスポーツSUVを演出している。19点

[爽快感]直進性の強いハンドリングには、オプションの4WSがほしい。ディーゼルエンジンの音や振動の抑え方は見事。19点

[評価点数]94点

取材・文/石川真禧照 撮影/望月浩彦

※本記事内に記載されている商品やサービスの価格は2023年5月31日時点のもので変更になる場合があります。ご了承ください。

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