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【F1第14戦無線レビュー(1)】「リヤタイヤが滑り始めている」リカルドを抜きあぐねるフェルスタッペン

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【F1第14戦無線レビュー(1)】「リヤタイヤが滑り始めている」リカルドを抜きあぐねるフェルスタッペン

 2021年F1第14戦イタリアGPの決勝レース。角田裕毅はスタート前にブレーキのトラブルが見つかり、レースを走ることができなかった。スタートではマックス・フェルスタッペンがダニエル・リカルドに先行を許し、追いかける展開に。追い抜きの難しいモンツァで、タイヤにも苦労していた。イタリアGPの前半を無線とともに振り返る。

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「ペダルのタッチが柔らかく、レースをするのは危険だった」角田は伸び代を見せるも走れず/ホンダ本橋CEインタビュー

 7月のイギリスGPに続いて、今季2度目となるスプリント予選フォーマット。マシンセットアップを決めるためのフリー走行は1回のみ、60分間しかなかった。そのため長丁場の決勝レースに向けて、ドライバーたちはいつも以上にマシン挙動に神経質になっているように見えた。

マックス・フェルスタッペン:ブレーキから青い煙が見えるんだけど
ジャンピエロ・ランビアーゼ:わかった。ガレージで確認しよう

ルイス・ハミルトン:全然グリップがないね。特にフロントタイヤが
ピーター・ボニントン:わかった

 そして前日のスプリント予選で大クラッシュを喫したピエール・ガスリー(アルファタウリ・ホンダ)は、パワーユニットを含む車体の大部分を交換した。そのためレコノサンスラップで確認走行をしたところ、マシンバランスがバラバラなことが判明した。

ピエール・アムラン:データの上ではすべてOKだと思う
ガスリー:全然ダメだ。こんなんじゃレースできないよ!

 ピットレーン閉鎖時間が迫るなか、周回を重ねるガスリー。ようやく何とかなったようで、ピットに戻って行った。

ガスリー:このラップはよかったよ

 角田裕毅(アルファタウリ・ホンダ)も淡々と、バランスチェックを行っていた。

マッティア・スピニ:ユウキ、マシンバランスはどうかな。さっきの周回が、一番典型的だったと思うんだが
角田:そうだね、大丈夫そうだ。ターン8の出口でちょっとアンダーかな。先行車の乱流のせいかもしれないけど

 しかしその後角田はブレーキに違和感を持ち、グリッド上での修理は不可能とピットに戻され、結局1周もできずにリタイアとなった。
 一方シャルル・ルクレール(フェラーリ)は、レズモのひとつ目で車体にダメージを負ったのではと気にしていた。

ルクレール:車体の左側をチェックしてくれるかな。ターン6の縁石がすごく高くてさ。大丈夫だとは思うけど
マルコス・パドロス:確認しよう

 スタート直前、ライバルたちの装着タイヤが判明した。

パドロス:周りはみんなミディアムだ。ハミルトンだけはハードだ
ルクレール:それは奇妙な選択だね

 好スタートを決めたアントニオ・ジョビナッツィ(アルファロメオ)はフェラーリの2台と競り合いになった末に、スピン、クラッシュを喫した。

ルクレール:パンクしてないか確認してくれ。ジョビナッツィが……。カミカゼだよ
パドロス:すべて問題ない

 旧日本軍の神風特攻隊はヨーロッパ、特にフランス語圏諸国では、『無謀な突撃』を表す普通名詞になっている。

 上位陣ではダニエル・リカルド(マクラーレン)が1コーナーまでにフェルスタッペンを抜き去り、トップに立った。ランド・ノリス(マクラーレン)はいったんハミルトンにかわされるが、再び3番手に返り咲いた。

トム・スタラード:素晴らしいスタートだった。後ろはフェルスタッペン、ランド、ハミルトンの順だ
リカルド:了解した

 ペースに優るフェルスタッペンだが、リカルドに接近すると乱流で挙動が乱れてしまう。それはノリスを追うハミルトンも同様だった。

フェルスタッペン:全然接近できないよ
ランビアーゼ:了解した

ウィル・ジョゼフ(→ノリス):ハミルトンはなかなか近づけない。いいギャップを築いてるぞ。このまま行こう

 それでもハミルトンは、何とかノリスを抜こうとする。

ジョゼフ:ハミルトンはストラット8を使ってリチャージ(再充電)した。アタックしてくるぞ
ノリス:わかった
 ハミルトンの猛攻を必死にしのぐノリス。しかしそのために、どんどんタイヤが厳しくなっていた。

ノリス:これをやるのに、タイヤを使っちゃってるんだよね
ジョゼフ:ハミルトンは長いスティントで行くはずだ。僕らはあくまで、プランAで行こう。ただし目標ラップはプランBだ

 この場合のプランAは、第1スティントをできるだけ伸ばすということか。リカルドも同じ作戦で行くようだった。

リカルド:プランAで行こう。その方がいい
スタラード:了解した

 序盤17周目前後、首位リカルドとフェルスタッペンの差は、ずっと1秒前後だ。抜けないことに苛立つフェルスタッペンを、ランビアーゼが励ます。しかしフェルスタッペンは、珍しく弱気だ。

フェルスタッペン:リヤが滑り始めている
ランビアーゼ:リカルドもそう言ってるぞ

ランビアーゼ:モード7で行こう
フェルスタッペン:いや、もっと低いモードで行こう。オーバーテイクボタンを押しても効かなかったし

 一方ボッタスは22周目にはランス・ストロール(アストンマーティン)を抜いて、8番手まで順位を上げた。そして24周目、リカルドがピットに向かった。すぐ前でコース復帰するだろうことを、ボッタスは伝えられた。

リカルド・ムスコーニ(→ボッタス):リカルドがピットインした。フェルスタッペンはステイアウトだ。ピット出口でかなり接近するはずだ

 これでつかの間の首位に立ったフェルスタッペンに、ランビアーゼが檄を飛ばす。

ランビアーゼ:よし、やっつけよう。プレッシャーをかけていけ。マクラーレンはすごいピットインだったからな
フェルスタッペン:わかった。でもタイヤがXXX

 23周目にはフェルスタッペンもピットイン。しかし右前輪の交換に手間取り、11秒1もかかってしまう。「なんてことだ!」とうめくフェルスタッペン。

 そしてコース復帰直後、ターン1でハミルトンと競り合った末に接触。2台は絡み合ったままコースオフし、リタイアを喫した。

フェルスタッペン:スペースを空けてくれなかった

ハミルトン:あいつが押し出した

 ハミルトンはコクピットから降りようとしない。

ボノ:ルイス、スイッチオフだ
────────────────────
(2)に続く

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