クルマ好きが集まるスポットとして知られている、東京都江東区にあるA PIT オートバックス東雲。ここでは、月1のペースで日曜日の早朝にモーニングミーティングと呼ばれるオーナーズミーティングが開催されている。
今回で28回目となるモーニングミーティングは2022年3月20日に開催。テーマは日産フェアレディZ。しかも今回はNISSAN 2DAYSというイベントとなり、日産自動車とのコラボレーションも実現した。
令和の時代にフェアレディZをこよなく愛し続けるサムライたちに聞く「新型Zどう思います?」
東京オートサロンで開催された東京国際カスタムカーコンテスト2022でグランプリを獲得したFAIRLADY Z CUSTOMIZED PROTO。そして日産自動車グローバルデザイン本部 アドバンスドデザイン部の主管である森田充儀さんが来場してトークショーも行われた。
ここでは、モーニングミーティングの様子とZオーナーに新型フェアレディZをどのように見ているのかをリポートする。
文、写真/萩原文博
日産自動車とのコラボが実現し、デザイナーが参加
カスタマイズでグランプリを獲得したFAIRLADY Z CUSTOMIZED PROTO
モーニングミーティング当日は7時半開始にもかかわらず、全国から見学車両も含めて87台のフェアレディZがA PIT オートバックス東雲に終結。
初代のS30から現行型のZ34まで全モデルが勢揃い。集まったフェアレディZを見るとS30~Z32まではノーマルもしくはライトチューンが多く。Z33~Z34はかなり個性的なカスタムをしているクルマが多かった。
個人的にはクーペだけでなく、Z32のコンバーチブルをはじめ、Z33そしてZ34のロードスターが並んでいたのには驚いた。
NISSAN 2DAYSというイベントも同時に開催されていたので、FAIRLADY Z CUSTOMIZED PROTOをはじめ、東京オートサロン2022に出展した2021年10月にマイナーチェンジしたキャラバンをベースとした“CARAVAN MOUNTAIN BASE CONCEPT”。
そしてキックスの500台限定の特別仕様車であるCOLUMBIA EDITIONが展示されるなど日産のカスタマイズに対する取り組みが紹介されていた。
さらに、横浜にある輸入・国内新規登録やチューニングカーの製造・販売を行っているアバンテオートサービスが、“ダットサン280ZX”を展示。これは販売10周年の記念モデルで、3000台製造されたうちの1台。ボディカラーやエンジン、内装などフルオリジナルというレアなクルマに熱い眼差しが注がれていた。
今回のモーニングミーティングのメインは、何と言っても6月に販売予定の新型フェアレディZをカスタマイズしたFAIRLADY Z CUSTOMIZED PROTOを担当したデザイナーの森田充儀さんのトークショーだ。
今年で56歳になる森田さんはスーパーカー世代ド真ん中で、クルマは見た目が大切だと話す。その中でも最も憧れたのがランボルギーニカウンタックだったそうだ。
日産に入ってから森田さんは最初にV35型スカイラインを担当し、丸型テールを復活させた。そして現行型のリーフや軽自動車、SUV、ミニバンなど様々なクルマのデザインを担当。
そして2018年からNISMOロードカーのデザインの取りまとめ役。また、スーパーGTに参戦しているGT500のカラーデザインを担当している。
現在は、アクセサリーパーツの取りまとめを行っており、東京オートサロンに出展したキャタピラーを装着したジュークや2021年にはキャラバンをベースとしたワーケーションをテーマとしたクルマも担当していた。
FAIRLADY Z CUSTOMIZED PROTOに関しては、初代S30型フェアレディZのもつピュアスポーツという特徴をオマージュしながら、古き良き者をモダンに仕上げたという。
“ロー&ワイドなグッドスタンスとビジュアルスタビリティ”というテーマでカスタマイズされた新型Zだが、時にこだわったのはワイドフェンダーの位置。後ろから見たときにタイヤが三角に見えるようにワイドフェンダーをデザインしているとのこと。この三角がグッドスタンスとビジュアルスタビリティを生み出すのだという。
森田さんの熱いトークにあっという間に時間は経ち、森田さんが気になった3台のフェアレディZを挙げてもらった。Zのようなスポーツカーはオーナーの皆さんが各々好きに仕上げて乗ってもらうクルマ。だから、あえてノーマルを維持しているクルマを3台選んだという。
まずは、白の初代フェアレディZ。ナンバーを見ると遠方からの参加だった。森田さんに選ばれたと聞くと、ちょっとはにかんだ姿に奥ゆかしさを感じた。続いては真っ赤なZ32のコンバーチブル。森田さんもこのZ32の形を見たときに、こんなデザインのクルマを作りたいとデザイナー魂に火が付いたそうだ。
最後はブルーメタリックの外装とインテリアのコーディネイトがキレイなZ31。販売開始から30年以上経過したクルマとは思えないほどの高コンディションのクルマだ。
本来のZに戻ったとオーナーは新型に歓迎ムード
Z31フェアレディZだけを乗り続けているジュンコさん
最後に、Zオーナー2人に新型Zの印象を聞いてみた。まずは森田さんの3台のZに選ばれたZ31のオーナーのジュンさん。このブルーメタリックのZ31は6~7年前に購入したそうだが、なんと18歳で免許証を取得してから愛車はずっとZ31というこだわりよう。
理由はシンプルで一番好きなクルマに乗りたいから。このクルマの前にはTバールーフのZ31に乗っていたそうだが、このブルーメタリックのボディカラーと内装のクルマをずっと探していて、天井もキレイなブルーが良いということで標準ルーフを探していて、ようやく手に入れたとのこと。
新型Zに関して聞くと、ようやく昔のZに戻って来た感じがするとのこと。購入しますか?と言う質問には2台持てるならと言う返事だった。当面はこのZ31以外は所有することはなさそうだ。
そして、もう一人Z33オーナーの遠藤能亜さん。このZ33は前に所有していたクルマが突然壊れて、30万円で手に入れた中古車だ。
マイカーとして初めてZを購入した遠藤さんとフェアレディZの関係性は深い。父親が物心ついた付いた時からマンハッタンカラーに塗装したS130に乗っていたそうだ。
そして、Z33は遠藤さんが社会人1年生の時に父親が乗っていたクルマで、父親が乗らないときに借りて乗っていたという思い出があるクルマなのだ。
今回購入したZ33もかつて父親が所有していた2002年式の初期型にこだわったという。購入後毎日通勤に使用しているが、ノートラブルで好調だという。
新型Zについて聞いてみると、Z33やZ34はポルシェを意識していたようで、本来のZから離れてしまった。しかし、新型は原点回帰というか、本来の姿に戻ったという。
さらに、欲しいかという質問には、購入するならオートサロンにも出展されていたノーマルのほうが良い。このZ33と2台並べて所有したいということだった。
1時間半というミーティングはあっという間に過ぎたが、オーナーたちの熱気とちょっとオイル混じりのガスは駐車場に残っていた。
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