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「シボレー コルベット E-Ray」は4WD化の恩恵が絶大!もっと刺激的な電気エイの襲来に喝采を【新車試乗】

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「シボレー コルベット E-Ray」は4WD化の恩恵が絶大!もっと刺激的な電気エイの襲来に喝采を【新車試乗】

アメリカを代表するスーパースポーツ「コルベット」にもついに電動化モデルが登場した。その名も「E-Ray(イー・レイ)」。フロントにモーター、リアにOHVエンジンを搭載するコルベット初の4WDモデルの実力を確かめた。(文:山崎元裕/写真:平野 陽/MotorMagazine2024年11月号より)

70年に及ぶ進化の歴史に、新たな転機が訪れた
GMのシボレー・ディビジョンが、現行型で第8世代となるコルベット(C8)のラインナップにハイブリッドモデルの「E-Ray」を追加設定した。

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そのアンベールが行われたのは2023年1月17日、初代コルベット(C1)の生誕70周年を祝するイベント内でのこと。スチール製フレームにFRP製の軽量なオープントップボディを組み合わせ、フロントに3.9Lの「ブルーフレーム」直6OHVエンジンを搭載して始まったコルベットの70年にも及ぶ進化は、このE-Rayによってさらに大きな転機を迎えたと言っても、間違いではないだろう。

E-Rayとは、エレクトリックを意味する「E」と、アメリカ本国においてはコルベットに与えられるサブネームの「スティングレイ」を組み合わせた造語だ。

C8においてエンジンの搭載位置を、それまでのフロントからミッドシップへと変更したシボレー。それにハイブリッド仕様が追加設定されるという話は、C8のデビュー時からコルベットファンの間では少なからず話題になっていたことだったが、実際にそれが現実のものとなった感動はやはり大きい。

意外にもシンプルな構造をもつE-Rayのシステム
まずはこのE-Rayのパワートレーンの構成を簡単に解説しておくことにしよう。ミッドシップスポーツのハイブリッドモデルといえば、我々日本人にとってはやはりそのパイオニアともいえるホンダNSXの存在が気になるところだが、E-Rayに採用されたメカニズムは実のところ、このNSXほどに複雑なものではない。

パワートレーンに新たに加わったのは、センタートンネル内にレイアウトされる1.9kWhの容量を持つ、リチウムイオンバッテリーから電力の供給を受け、前輪を駆動する1基のエレクトリックモーターのみで、最高出力と最大トルクは162ps、165Nm。一方ミッドにはコルベットファンにはお馴染みのLT2型、すなわち6.2L V8 V8 OHVエンジンが、8速DCTと組み合わされて搭載され、こちらは後輪に駆動力を送る。最高出力と最大トルクは502ps、637Nm。結果システム全体では最高出力には664psという驚異的な数字が掲げられた。

フロントをエレクトリックモーターで、リアをV8エンジンで駆動し、常時路面状況や車速、ステアリングの舵角などを計測し、前後輪の駆動力配分を瞬時に最適化することで、これもコルベット史上初となる4WD化を実現してみせたシボレー。

シボレーはそれを「eAWD」システムと称するが、フロントに左右2個のエレクトリックモーターを配し、その回転数差によっていわゆるトルクベクタリングを行うNSXと比較すると、E-Rayの走りはいかなる印象を抱くというのか。その疑問、そしてコルベット初のハイブリットであり4WDモデルであるE-Rayの走りに期待しながら、さっそくそのハンドルを握った。

素晴らしいスタイリングとプレミアムなキャビンを展開
すでに日本に上陸しているZ06と同様に、ワイドボディを用いるE-Rayのスタイリングは、ヨーロッパから続々と誕生するスーパースポーツのそれと比較しても、まったく見劣りしない、実に素晴らしいライン構成で仕上げられている。

フロントのエアインテークや縦長のヘッドライト、そしてリアフェンダー上に設けられた大型のサイドエアインテークなどで、まずオプティカルな魅力を印象づけるボディだが、フロントに20インチ、リアに21インチ径のE-Ray専用デザインのパールニッケル鍛造ホイールが採用されたことで、フットワークの力強さがより強調されているのも嬉しい。

日本に輸入されるE-Rayは右ハンドル仕様で、トリムレベルは最上級の「3LZ」を選択。フルレザーインテリアやホールド性と快適性の両方が高く感じられたGT2バケットシート、ビジブルカーボンステアリングホイールなどが、この3LZトリムレベルでプレミアムなキャビンを作り出す大きな要素となっている。

キャビンはセンタートンネルからダッシュボードに向けて斜めにそそり立つデバイダーのようなパネルで左右に完全に分離され、ドライバーは常に運転に集中できる。デバイダー上には最近では珍しく多くのスイッチが並ぶが、走行モードの切り替えスイッチとともに、操作に慣れてしまえば走行中にも確実なタッチが可能な物理的なスイッチを多く残しているのは、個人的には好感が持てた部分だ。

E-Rayでは8つのドライブモード、「ツーリング」、「ウェザー」、「スポーツ」、「レーストラック」、「マイモード」、「Zモード」、「ステルス」、「シャトル」のそれぞれが設定されるが、カスタマーにとってまず興味深いのは、ゼロエミッションのEV走行が行われる「ステルス」と「シャトル」だろう。この時の駆動方式はFWDとなるから、これもまたコルベットとしては新鮮な体験にほかならない。

だがこの両モードの選択には大きな制約がある。それは始動時にのみそれを選択できるというロジックの存在で、ステルスでは72 km/hの速度を超えると、自動的にミッドのV8エンジンが始動。シャトルは26 km/hを最高速度としてバッテリーの残量がなくなれば、そこで車両は停止するシステムとなっている。ちなみにステルスでは速度域内でも走行中に高負荷が必要とされた場合などにはエンジンが自動的に始動する。

今回はカスタマーがもっとも使用する機会が多いだろう「ツアー」と「スポーツ」を中心にE-Rayをドライブした。アメリカではすでに24年7月、コルベットの新たなハイエンドモデルとなる「ZR1」が発表されているが、現在の日本では、このE-RayがZ06を超えてもっともパワフルなコルベットとなる。当然のことながらまず驚かされたのは、その圧倒的な運動性能の高さだった。

バッテリーによる低重心化がもたらす感動的な乗り味
長年の改良と熟成を経て、現代のLT2型エンジンへと進化を遂げたシボレーのV8 OHVエンジン。こちらは8気筒から4気筒への気筒休止が行われるのだが、その切り替えは実際に試乗していても、ほとんどそれを感じることはできない。

アクセルペダルを踏み込むとまず感じるのは、そのスムーズな回転と、8速DCTとの組み合わせで実現するシームレスな加速だ。ちなみにE-Rayの0→96 km/h加速データは2.5秒。そのような局面ではエレクトリックモーターによる前輪の駆動が確かに大きな利点となっているのが体感的にもわかる。

アメリカ本国ではオプションだが日本仕様では標準装備の、マグネティックセレクティブライドコントロールの動きも素晴らしい。日本の高速道路ではツーリングモードでのフラットな乗り心地が第一の魅力として伝わってくるが、走行モードをスポーツに変更すると、そのライド感は明確にスポーティなものに変化し、コルベットが元来持つエアロダイナミクスの優秀さとともに、感動的なスタビリティを感じさせてくれる。センタートンネルにバッテリーを搭載したことによる低重心化も、その感覚に好影響を与えているはずだ。

シボレーが、アメリカ車の象徴ともいえるコルベットに、ハイブリッドモデルのE-Rayを追加設定した意義は非常に大きい。コルベットとはそれだけのコマーシャル効果を持つ特別なプロダクトであるからだ。果たしてシボレーは、これから先にさらなるコルベットの電動化計画はあるのだろうか。

このE-Rayをスタート地点として、PHEV、あるいはBEV。さまざまな進化の方向性がコルベットにはまだまだ残されている。その誕生から70年、さまざまな話題を提供してくれたシボレーコルベットは、これからも我々にとって期待の一台であり続ける。

【シボレーコルベット E-Ray 主要諸元】
●Engine
型式:LT2
種類:V8OHV
総排気量:6156cc
ボア×ストローク:103.2×92.0mm
圧縮比:11.5
最高出力:369kW(502ps)/6450rpm
最大トルク:637Nm(65.0kgm)/5150rpm
燃料・タンク容量:プレミアム・70L
EPAモード燃費:8.0km/L
CO2排出量:290g/km
●Motor
型式:HP1
種類:交流同期電動機
最高出力:119kW(162ps)/9000rpm
最大トルク:165Nm(16.8kgm)/0-4000rpm
●Dimension&Weight
全長×全幅×全高:4685×2025×1225mm
トレッド前/後:1675/1620mm
ホイールベース:2725mm
車両重量:1810kg
最小回転直径:11.1m
●Chassis
駆動方式:4WD
トランスミッション:8速DCT
ステアリング形式:ラック&ピニオン
サスペンション形式
前:ダブルウイッシュボーン/後:ダブルウイッシュボーン
ブレーキ:前/後Vディスク/Vディスク
タイヤサイズ前:275/30R20、後:345/25R21
●Price
車両価格:23,500,000円

[ アルバム : コルベット E-Ray 試乗 はオリジナルサイトでご覧ください ]

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