角田裕毅(RB)にとって3度目のシンガポールGPは、マリーナベイ・ストリート・サーキットで自己最高位となる8番手からのスタートとなった。
ところが、そのポジションをスタート直後に失ってしまう。ブラックアウトした直後、2台のフェラーリのマシンに飲み込まれた角田は、1コーナーまでにウイリアムズの2台にも先行を許してしまう。
角田裕毅12位「スタートの悪さで入賞を逃した」1周目に後退、後半追い上げも挽回ならず。チームは問題を深刻視
1コーナーでアレクサンダー・アルボン(ウイリアムズ)がコースオフして後退し、2コーナーでカルロス・サインツ(フェラーリ)をかわした角田だが、9コーナーでセルジオ・ペレス(レッドブル・ホンダ)にオーバーテイクを許し、1周目のコントロールラインを11番手で通過した。
「スタートが一番の課題で、そこで3つポジションを落としたのが、今日のレースの一番の問題でした」
そう語る角田がスタート時に履いていたタイヤは上位陣の多くのドライバー同様、ミディアム。例年多くのドライバーが1ストップ作戦を敷くシンガポールGPで、上位陣と同じタイヤで逆転するには、彼らと異なる戦略を採るしかなかった。その作戦とは、もしスタートでポジションを落としたら、セーフティカーが出動するまでミディアムタイヤで引っ張るというものだった。
「レース前に、チーム内で話し合っていました」と言う角田。シンガポールGPは2008年の初開催以降、毎年セーフティカーが導入されてきた。チームがセーフティカー出動に賭けるのは、決して無謀ではなかった。
「でも、残念なことにセーフティカーが出ず、クリーンなレースになってしまった」と言う角田は33周目にピットインし、ソフトタイヤに履き替えて、12番手から逆転入賞を狙った。
やや無謀とも思えるレース中盤でのソフトタイヤ選択。しかし、角田はハンガリーGPで見せたタイヤマネージメントをこのレースでも見せ、レース終盤に10位争いを行っていたペースの上がらないライバル勢とのギャップを一気に縮めていく。
しかし、角田の追い上げもここまで。ポイントには届かず、12位でフィニッシュした。
レース直後、マシンを降りた角田はミックスゾーンに向かう途中、しばらく冷風機にもたれかかって体を休めていた。それはまるで暑かった昨年のカタールGPと、10位でフィニッシュした直後にペナルティにより入場圏外に脱落したと聞かされた昨年のスペインGPを見ているかのようだった。
「今日は昨年のカタールGPのように蒸し暑かった。そして、ソフトタイヤに履き替えてから、予選アタックのように毎周プッシュしていたからです。スタートで出遅れた分、少しでも挽回しようと、すべてを出し切るつもりで走っていました。壁にも何回かぶつかりながら、最後まであきらめずにプッシュしたんですが……」
そう言った角田は、こう続けた。
「でもまあ、行けても11番手だったと思います。今日は自分のせいでスタートで出遅れたことに尽きます」
なぜ、角田はスタートで出遅れたのか。残り6戦、RBがコンストラクターズ選手権で6位の座を守るためには、スタートの改善が急務となる。
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