ウルスが初のリニューアル、BEVになる日は近い!?
登場から6年、ランボルギーニ「ウルス」に初となるリニューアルが施されました。現在ランボルギーニの好調なセールスを支えている立役者であるウルスは、PHEVへとチェンジ、今後はBEVへと切り替わるのか否か、気になる点を開発責任者に単独インタビューしました。
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開発責任者にリモートインタビュー
2024年4月24日開幕の北京国際モーターショーにて、かねてから登場が噂されていたランボルギーニ・ウルスのプラグインハイブリッド(PHEV)版として「ウルスSE」がワールドプレミアに供された。「SUVスーパーカー」というジャンルのパイオニア的存在にして、年産1万台超えを果たしたランボルギーニにとっては最強の原動力となっているウルスが、これまでで最も大規模なブラッシュアップが施されることになった。
実は今回のワールドプレミアに先立って、我々AMWにはアウトモビリ・ランボルギーニ社のCTO(Chief Technical Officer:技術担当役員)で、ウルスSEの開発責任者でもあるルーヴェン・モール(Rouven Mohr)氏とのリモートインタビューの機会が、特別に設けられることになった。
──ウルスからはいずれICEモデルがなくなるのでしょうか?
モール氏:まず前提として、今回のウルスSEは従来型のウルスSおよびペルフォマンテの代替えとなるモデルであることをお話しする必要があるでしょう。ウルスSEは従来の2モデル両方の資質を兼ね備えたような後継車で、Sとペルフォマンテは受注分の生産を終えた段階で終了。つまり純ICE搭載のウルスは、少なくとも一旦はフェードアウトということです。再び登場させる可能性も検討していないわけではないのですが、数年中に・・・・・・、という短いタームの話ではありません。
──プラグイン式を含むハイブリッドはあくまでステップで、ウルスはBEVになるのでしょうか? もしそうだとしたら2028年発売予定の「ランザドール」とはどのように棲み分けするのでしょうか?
モール氏:ウルスのPHEVは、今のところの“つなぎ”などではなく、現在のマーケットにおける最適の答えと考えています。BEVが正しいとか正しくないとかの議論はさておき、CO2削減と走りの楽しみを両立するためには、現状ではV8のトルクとサウンドも楽しめるPHEVが、もっとも好適なソリューションと思います。もちろん2020年代も末になれば、法律による選択を強いられる可能性もありますが……。
あと、もしもウルスがBEVになった際のランザドールとの棲み分けについてですが、ランザドールはニッチ市場向けの+アルファ的なクーペ。ファミリーユーズもこなせる万能型のウルスとはキャラクターがまったく異なると思います。
──最後に、どんなエンジンを搭載しているのですか?
モール氏:これまでのウルスと基本的には変わらないV型8気筒のツインターボをベースに、新たにPHEVシステムを組み合わせました。もちろん、フォルクスワーゲン/アウディ・グループ内でのシナジーを最大限活用してはいますが、実を言うとファーストモデル以来のウルスの開発でも、今回がもっとも自由な裁量権を与えられ、かなり思い通りにやらせてもらいました。その結果、とてもランボルギーニらしいPHEVになったと自負していますよ。
大ヒット作であるウルスを大胆に変身させつつも、よりランボルギーニらしいPHEVになったというウルスSE。その実態に、一日も早く触れてみたいところであるが、その前に、ウルスSEについて解説しよう。
システム総出力800psをマークしたプラグインハイブリッド
一連の「コル・タウリ(Direzione Cor Tauri)」計画が粛々と進められ、電動化への道筋を着実に歩んでいるランボルギーニでは、ついにウルスにもプラグインハイブリッド仕様を用意することになった。
V8ツインターボエンジンによって、最高出力666ps(490kW)/6000rpm、最大トルク850Nm/2300-4500rpmを獲得していた「ウルスS」および「ウルス・ペルフォマンテ」に対して、新生ウルスSEは同じV8ツインターボエンジンを最高出力620ps(456kW)、最大トルク800Nmに設定。出力192ps(141kW)、最大トルク483Nmの電動パワートレインを組み合わせている。
合算すれば、本システムによる総出力は6000rpmで800ps(588kW)、また総トルクは1750~5750rpmで950Nmという、歴代ウルス史上最高の数値を獲得するに至った。
この結果、従来型ウルスSの3.3kg/psというパワーウェイトレシオはさらに低減され、3.13kg/psというクラス最上のパワーウェイトレシオを実現。0-100km/h加速は従来型ウルスSよりも0.1秒速い3.4秒、最高速度も7km/h速まって312km/hに達した。しかもそのかたわらで、CO2排出量は純ICEモデルに比べて最大80%の軽減を果たしたという。
また、最高出力を実現する上で最も重視したのはICEと電気モーター間のキャリブレーション戦略だったそうで、あらゆるドライビングモードや路面状況に適応し、最適なパワーカーブを確保するとのこと。25.9kWhのリチウムイオン電池は、トランクルームの床下、電子制御式リヤ・デファレンシャルの上部に配置されている。
8速オートマチック・トランスミッション内に搭載した永久磁石同期電気モーターは、内燃エンジンとともに動力として、またトラクションのエレメントとして機能し、EVモードで電気100%の全輪駆動車となり、60km以上の航続距離をマークできるという。
そして、中央に配置した縦型の新しい電動トルクベクタリングシステムを採用。フロントアクスルとリヤアクスルには、駆動トルクを可変的かつ継続的に配分する電気油圧式マルチプレートクラッチを装備する。トランスファーケースは、リヤアクスルに搭載した電子制御の新しいLSDシステムと相乗的に機能することになっているとのことである。
内外装のスタイリングも初めてリニューアル
ランボルギーニ・ウルスは2016年のデビュー以来、エクステリアやインテリアの意匠を大きく変更させることはなかったが、このほど発表された「ウルスSE」では初めてデザインの枠組みを転換させたスタイル原則を再定義。同時に、最適化したエアロダイナミクス効率を示すためのアップデートを施したという。
この新デザインはフォルムのダイナミクスを際立たせ、スポーティさと逞しさを強調。フロントセクションの特徴である切断ラインのない新しい流線形のフードは、一体感のある印象を与えるとともにスポーティなスタイルを一段と引き立てることで、ランボルギーニ最新のスタイリングコンセプトを体現したものとなっている。
また、マトリクスLEDテクノロジーによって特徴的な表情を得たヘッドライトクラスターに、ブランドのアイコンである闘牛の尾からインスピレーションを得たという、まったく新しいライトシグネチャーを採用。また、再デザインされたバンパーとフロントグリルなども、新しいエレメントとして盛り込まれている。
いっぽう後部のトランクハッチゲートは一からデザインを見直し、名作「ガヤルド」から発想を得た一体型のデザインを採用。テールランプのクラスターに「Y」字型ライトと新しいリヤディフューザーを繋げて、よりスポーティなプロポーションとしたほか、ディフューザーは新形状のスポイラーと相まって、高速走行時にはウルスSと比べてリヤ側のダウンフォースを35%アップ。車両のスタビリティがさらに高められたと主張する。
さらにエアロダイナミクスの大幅な改善を支えた要素としては、ボディ底部にある新しいエアベントと、改良を加えたエアダクトも含まれる。このデバイスにより、アンダーフロアのエアフローを改善するいっぽうで、各部メカニズムやエンジンの冷却性能も高めたとのことである。
また、フロント部分の新デザインによってアンダーフロアの空力特性を最適化し、ブレーキシステム専用のエアフロー制御の改善により、空気冷却性能も従来のシステムと比べて30%向上したという。
そしてキャビンについても、現代ランボルギーニを象徴するインテリアデザインDNA「Feel Like a Pilot」が際立つようにリニューアル。ダッシュボードのフロント部分全域に新たなソリューションを取り入れ、すでにレヴエルトでも取り入れた軽快なデザインとされている。
AMWノミカタ
2012年の北京モーターショーでヴェールを脱いだウルスのコンセプトモデル。2018年に導入された市販モデルでは、特にエッジの効いたフロント部分のトーンが幾分柔らかくなった印象であった。そして今回のリニューアルでは、グリル部分をブラックとすることで大胆で迫力を増したものの、ヘッドライトが「女性的」とでも形容したくなるほどに優しくなったことで、さらに優しい印象となった。女性オーナーを強く意識したデザインなのであろう。
【動画】ランボルギーニ ウルスSEのパワートレイン
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