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“魔の森”がオジエを襲う。タナクが逆転、王座確定に待ったをかける今季2勝目【WRC第12戦最終日】

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“魔の森”がオジエを襲う。タナクが逆転、王座確定に待ったをかける今季2勝目【WRC第12戦最終日】

 10月20日(日)、チェコ、ドイツ、オーストリアを舞台とする2024年WRC第12戦セントラル・ヨーロピアン・ラリーのデイ4が行われ、ヒョンデ・シェル・モービスWRTのオット・タナク/マルティン・ヤルヴェオヤ組(ヒョンデi20 Nラリー1)が今季2勝目を飾った。

 また、2024年シーズンに新たに導入された日曜のみの総合順位でポイントを競う“スーパーサンデー”では、TOYOTA GAZOO Racingワールドラリーチームの勝田貴元(トヨタGRヤリス・ラリー1)が最速となり7ポイントを獲得している。

【最終結果】2024年WRC第12戦セントラル・ヨーロピアン・ラリー パワーステージ後

 大会最終日は、サービスパークもあるドイツにてスペシャルステージ(SS)15から18までの4本が実施され、4本のステージ総距離は54.08km、リエゾン(公道区間)もふくめた1日の総走行距離は344.60kmとなった。

 デイ3終了時点の首位争いについては、セバスチャン・オジエ(トヨタGRヤリス・ラリー1)が総合首位、5.2秒差でタナク、さらに8.8秒差でエルフィン・エバンス(トヨタGRヤリス・ラリー1)、25.8秒後方にティエリー・ヌービル(ヒョンデi20 Nラリー1)が控える僅差の状況だ。

■首位争いに一瞬の隙

 昨日までとは一転、青空の見える秋晴れに恵まれた各クルーは、現地時間9時11分に最終日開幕のSS15『クナウスタバード・アム・ホッホヴァルド1』(12.17km)に集まった。

 路面はドライに変化し、タイヤ選択もトヨタ勢はハード、ヒョンデ勢はソフトがメインとなる戦略に分かれた。気温は11度とまだまだ冷え込むなか、最高峰クラスは昨日のデイリタイアから復帰したアドリアン・フルモー(フォード・プーマ・ラリー1)を先頭にアタックを開始する。

 道幅が狭く、それでいてハイスピードなレイアウトとスリルフルなこのSS15。その予感は早々に状況として現れ、中高速コーナーに差し掛かったサミ・パヤリ(トヨタGRヤリス・ラリー1)がオーバースピードから派手なクラッシュを演じてしまった。

 道路よりも段の下がった草原に放り出されたパヤリの乗るマシンは、3回転のサイドロール状態となり、リタイアは免れない状態となってしまった。パヤリとコドライバーのエンニ・マルコネンについては、すぐに無事が確認されている。

 さらに、首位オジエもロックアップから若干のコースアウトとなり、10秒ほどのタイムロス。7番手タイムとなって総合2番手にダウンし、代わりにタナクが1.9秒差でトップに立った。SS15でのトップタイムは先頭走者のフルモーとなり、エバンス、勝田とトヨタの2台が続いている。

 続くSS16『パッサウアー・ランド1』(14.87km)も、SS15と似た構成で高速の草原区間と入り組んだ集落の生活道路を交互に抜けるステージレイアウト。こちらでは、最終日好調の勝田がさらにペースを上げてきた。

 スーパーサンデーをリードするべく午前中の2本をハイペースで駆け抜けた勝田は、今大会2度目のステージウインを飾り、フルモーと同タイムの日曜首位に並びかける。

 2番手にはオジエ、さらに僅差でタナクが続いたことで、緊迫するふたりの総合首位争いはここではキープとなった。

■木製電柱に正面衝突

 残るステージもあと2本となり、これまで走った区間の再走で勝負が決まる。

 各クルーは、午前にパヤリがクラッシュに見舞われてしまった『クナウスタバード・アム・ホッホヴァルド2』(12.17km)にふたたび集まり、SS17の戦いに臨んだ。

 ここでは、エバンスが逆転の狼煙を上げるステージウイン。タナクも2番手に続き、好ペースを維持した勝田は3番手タイムで単独の日曜首位に躍り出た。

 そんななか、最高峰クラスで最後のコースインとなるオジエのマシンが公式映像に映し出されると、シートにクルーの姿はなかった。ステージ開始から間もない600m地点にて、森を抜け出ようとしたオジエの17号車は、枯れ葉や砂利に滑ってリヤからブレイク。オーバースピードで立ち木にヒットし、そのまま反対側の木製電柱に正面衝突、万事休すとなった。オジエ/ヴァンサン・ランデの両クルーは無事だ。


 しかし、これでオジエが土曜日時点で得た暫定ポイントが無効となり、さらに総合首位タナクのリードは2番手エバンスに対して9.4秒にまで広がった。

 迎えた最終ステージは、上位5台に各選手権のボーナスポイントが与えられるパワーステージに指定されているSS18『パッサウアー・ランド2』(14.87km)。

 今大会の集大成となる最終ステージは、気温も16度まで上昇し、青空も濃さを増した美しい秋晴れのなかスタート。WRC2クラストップのニコライ・グリアジン(シトロエンC3ラリー2)から最後のアタックが始まった。

 WRC2クラス上位のラリー2マシンが数台アタックした後、フルモーから最高峰クラスもアタックを開始。戦列を去ったオジエの分のポイント回収を託された勝田がトップタイムをマークし、ボーナスポイントを獲得。同時に日曜最速の座も手にした。

 これで、セントラル・ヨーロピアン・ラリーはすべてのステージが終了。選手権2位につけるタナクがその差を縮める今季2勝目を飾った。そして、総合2位にはエバンスが上がり、今季6度目の表彰台獲得。初王座の早期確定がかかっていたヌービルは、タナクよりも多くのポイントを手にすることは叶わなかったが、オジエのリタイアによりポジションを上げて3位表彰台を手にした。

 WRC2クラスは、大会初日のSS2からクラス首位に立ったニコライ・グリアジン(シトロエンC3ラリー2)がその後もリードを保ち続け、2分23秒9の差をつけて今季2勝目を飾った。2位にはスポット参戦のフィリップ・マレス(トヨタGRヤリス・ラリー2)、3位にはミコ・マルツィク(シュコダ・ファビアRSラリー2)が続くトップ3となった。

 一方、WRC2クラスのタイトル争いにて、望みを繋ぐには今大会の優勝のみが唯一の活路となっていたヨアン・ロッセル(シトロエンC3ラリー2)は、SS9で大きくロスを喫して優勝争いから脱落。さらに、現在選手権首位のオリバー・ソルベルグ(シュコダ・ファビアRSラリー2)は、今回は有効ポイント外のエントリーとなったため、多くのステージトップタイムを刻んでグリアジンと16.5秒差でフィニッシュするもポイント獲得とはならず。運命は、今回はラリー1での出走となっていたパヤリの、ラリージャパンでの成績にかかることとなった。

 残された最終戦は、11月21日(木)から24日(日)にかけて日本で開催される第13戦『フォーラムエイト・ラリージャパン』。愛知・岐阜を中心とした公道ステージを舞台に、各選手権のチャンピオンを決める戦いが繰り広げられる。

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