積算2万3599km 間髪入れず放たれるパワー
2万km以上をともにしたクルマとのお別れは、なかなか寂しい。GTXを掲げるID.4が、フォルクスワーゲンの主張通りグランドツアラーとして現実的な仕上がりにあるのか、じっくり堪能してきただけに、なお一層といえる。
【画像】日本でも発売 VW ID.4 ボディ違いのID.3とID.5、バズ ゴルフとポロも 全155枚
筆者にとって、ID.4 GTXで最も満足していたのが、パワートレインの力強さ。2基の駆動用モーター合計での最高出力、298psは伊達ではなかった。0-100km/h加速6.2秒という俊足を簡単に引き出せ、軽くないボディを活発に動かすことができた。
アクセルペダルの操作へ間髪入れず放たれるパワーに、いつも満たされた。一般道の流れをリードできるゆとりが、運転する自信へ結びついていた。
ID.4 GTXは、フォルクスワーゲンのグランドツアラーらしい性質も備えていた。路面を問わず、長距離でも快適な乗り心地はその筆頭。実用性も高く、長期休暇の自動車旅行にも問題なく活躍してくれた。
航続距離も、現代のバッテリーEV(BEV)としては納得できるものだった。内燃エンジンで走る同クラスのクロスオーバーには、遥かに及ばないとしても。
過ごしやすい温かい時期なら、一度の充電で走れる距離は440km前後が通常。日常的な利用での平均は418km。最も条件が良かった時は、454kmも走れている。
往復で240kmもある、遠距離通勤にも耐えてくれた。長期テストで目指した最も遠い目的地は片道402kmで、ID.4 GTXにとって難題ではなかった。カタログ上の航続距離は481kmがうたわれている。
気を揉まされたソフトウエアの完成度
今回の経験からお伝えしたいことの1つが、ヒートポンプ式エアコンの有効性。英国仕様のID.4 GTXでは1050ポンド(約17万円)のオプションで、少々お高いアイテムだが、冬場の快適性が大きく変わってくる。
同等の車内温度を保つ場合、40%も従来のエアコンよりエネルギー消費が少ないという。長期テストでは、ヒートポンプではないエアコンが装備されたID.5へ乗る機会があったが、駆動用バッテリーの減り方に明らかな違いがあった。少し動作音が大きいけれど。
ただし、ID.4 GTXは完璧だったわけではない。常にリラックスして運転できたわけではなかった。
その原因を作っていたのが、実装されるソフトウエア。何度かお伝えしてきたが、インフォテインメント・システムや運転支援システムの完成度に、気を揉まされるタイミングが少なからずあった。
特にインフォテインメント・システムは動作が鈍く、タッチモニターの操作に対する反応もいまひとつ。充電ステーションが表示されるナビや、アップル・カープレイへの対応など、高機能ではあるものの、率先して利用したいと思えるソフトではなかった。
タッチセンサー式のインターフェイスも同様。ダッシュボード中央とステアリングホイール上に据えられた両方で、反応が悪く扱いくいと感じさせた。新しいポロのエアコン用操作パネルが、マイナーチェンジ時にID.4へも採用されることを期待したい。
普段の移動を心地良いものにしてくれるVW
音声操作システムも、認識が安定しなかった。システムに記憶させた音楽が、正常に再生されないこともあった。しかし、英国仕様では標準装備となるアップル・カープレイが多くを解決した。ワイヤレス充電機能も便利だった。
トーマス・シェーファーCEOは、ソフトウエアの安定性を向上させるため、ID.3のフェイスリフトを前倒しするという。ID.4も同様に、アップデートされるだろう。
インテリアも、価格の割には特別感が低いといえる。フォルクスワーゲン・ポロの方が、好印象に思えたほど。
GTXの性格付けを、ヒトコトでいい表すことは難しい。通常のライフ・グレードのID.4より、1万ポンド(約161万円)も高いことへ納得できるほど、パワートレインに魅力があるとまではいえないだろう。
従来のハッチバック・ライクな、ID.3との相性は優れると思う。胸のすくような動力性能と四輪駆動システムで、フォルクスワーゲンのBEVを特別に感じさせてくれるはず。
ID.4 GTXに、多少の不満があったことは事実。筆者がこれまで運転した約2万kmの間で、同じGTXとすれ違ったことはなかった。だが、最後まで好感度は大きく減じなかったことも本当だ。
毎朝の通勤をエキサイティングにしてくれる、クロスオーバーではない。だが、四輪駆動システムなどがもたらす安定性や安心感で、普段の移動を心地良いものにしてくれたフォルクスワーゲンだった。それだけに、ソフトウエアのアップデートが待たれる。
セカンドオピニオン
フォルクスワーゲンの掲げるサブブランド、GTXの性格付けを、筆者はまだ充分に理解できていない。競合モデルと比較試乗した時も、同様だった。
小さくてシンプルなBEVが、楽しいことは間違いないように思う。しかし、ID.4の場合は少し大きすぎるし、背が高すぎる。毎日運転すれば、違った印象を抱くのかもしれないけれど。 Matt Saunders(マット・ソーンダース)
テストデータ
気に入っているトコロ
航続距離:自宅で充電できる環境を持つ筆者にとっては、充分以上の距離を走れた。
パワートレイン:パワフルで、必要な時にすぐに応えてくれる。不満ないペースでの移動を安楽に叶えてくれた。
実用性:荷室が広く、家族やペットを乗せられる余裕もある。狭いと感じることはなかった。
気に入らないトコロ
タッチセンサー:扱いにくく、誤って異なる機能をオンにすることも。
インフォテインメント・システム:メニュー構造が複雑で、必要な項目へたどり着きにくい。反応も遅かった。
走行距離
テスト開始時積算距離:3865km
テスト終了時積算距離:2万3599km
価格
モデル名:フォルクスワーゲンID.4 GTX マックス(英国仕様)
テスト車の価格:5万1225ポンド(約825万円)
現行の価格:5万2730ポンド(849万円)
テスト車の価格:5万3265ポンド(約857万円)
オプション装備
ヒートポンプ式エアコン:1050ポンド(約17万円)
グレイシャーホワイト・メタリック塗装:690ポンド(約11万円)
燃費&航続距離
カタログ航続距離:481km
駆動用バッテリー容量:77kWh(実容量)
平均航続距離:418km(5.4km/kWh)
最高航続距離:454km(5.9km/kWh)
最低航続距離:368km(4.8km/kWh)
主要諸元
0-100km/h加速:6.2秒
最高速度:180km/h
パワートレイン:AC非同期モーター(フロント)+AC同期モーター(リア)
最高出力:298ps
最大トルク:48.0kg-m
トランスミッション:シングルスピード・オートマティック
トランク容量:543L
ホイールサイズ:20インチ8.0J(フロント)+20インチ9.0J(リア)
タイヤ:235/50 R20(フロント)+255/45 R20(リア)
車両重量:2224kg
メンテナンス&ランニングコスト
リース価格:880ポンド(14万1000円/1か月)
CO2 排出量:0g/km
メンテナンスコスト:なし
その他コスト:なし
エネルギーコスト:502ポンド(8万円/電気)
エネルギー含めたランニングコスト:502ポンド(8万円/電気)
1マイル当りコスト:0.04ポンド(6円)
不具合:ホイールアーチの脱落
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みんなのコメント
アメリカ発某中国メーカーのモデルSEXYとは
大違い。
セコいのー
どこもヒートポンプは標準なのに