シャシー性能を鍛え上げた最新のGT-R NISMO、そしてサーキットでの走りを極めて開発されたコルベットのフラッグシップZ06。600馬力級のエンジンパワーを発揮する、現代のモンスターをとことん味わう!
※本稿は2023年8月のものです
文/山野哲也、写真/NISSAN、CHEVROLET、ベストカー編集部
初出:『ベストカー』2023年10月10日号
GT-R NISMOに暴力的な加速力はなし!? コルベットの吹け上りはハンパない!! 600馬力の2台を徹底チェック
■タダモノではない存在感!
日産 GT-R NISMO MY24(右)と、シボレー コルベットZ06(左)
GT-R NISMOとコルベットZ06、止まっていても存在感がもの凄い! そのスタイルから迫力というか、タダモノではない感がビシビシと伝わってきます。
それにしてもコルベットのリアタイヤは太く、大きい! 345/25R21というサイズで、GT-Rの285/35R20が小さく見えてしまうほど。646ps、63.6kgmをミドシップ後輪駆動で受け止めるためには、このサイズのタイヤが必要だ、ということなのでしょう。
GT-Rがほぼ50対50の前後重量配分なのに対し、コルベットは前軸重=680kgに対し後軸重=1040kgで39.5対60.5。どんなハンドリングを見せてくれるのか、興味津々です。
インテリアですが、GT-Rのカーボンシェルバケットシートは凄い! フルバケットでもこれほどのガッチリした剛性の高いシートはありません。リクライニングタイプのバケットシートでは世界一と言ってもいいでしょう。
ドライバーの手足の根本はすべてシートに委ねられています。サーキットでの激しい横Gで身体が振られた時、シートフレームが歪んでしまうと、微妙なステア操作やアクセル、ブレーキなどのペダル操作の「ズレ」を誘発します。
しかし、このシートならサーキットを本気で走っても大丈夫。こういったことは、レース経験が豊富なNISMOだからわかるのです。
一方、コルベットのインテリアは視覚的インパクトが強烈です。幅の広いセンターコンソール、そして斜めに渡された梁のような形状。
これが完全に運転席と助手席を分断して、それぞれが包み込まれるような空間となっています。助手席側など、まるでバスタブです。液晶表示のメーターと、ドライバー側を向いて横に並ぶモニター画面も見やすくていいです。
一般的に、このような包み込まれるようなコックピット感のあるクルマの場合、前方視界がよくないケースが多いのですが、コルベットはボンネットが低く短いこともあって視界がいい。特に路面状況がしっかりと見えるので安心して走ることができます。ミドシップ化の恩恵です。
■600psといっても、けっして暴力的動力性能ではない
4つのタイヤがしっかりと路面を掴んでいる印象のある日産 GT-R。加速は強烈だが、コーナーからの脱出で後輪が暴れるような暴力的な加速ではない
GT-RのV6、3.8Lツインターボは驚くほど静かに、安定したアイドリングをします。
一般道を普通に流れに乗って走るような場面でもまったくストレスなく、スムーズな走りを見せてくれるし乗り心地もいい。サスペンション自体は硬いのですが、路面からの入力に対し、スッと一発で動きを止めてくれるのでクルマの姿勢が常にフラットです。
ペースアップしていくと、とにかくスタビリティが高く、ビタリと4つのタイヤが路面を掴んでいる印象。何が何でも路面を離さない! という安心感があります。
ただネガもあって、あまりにもガッチリと前後左右4つのタイヤが路面を掴むので、コーナリング時の「旋回軸」を感じ取りにくい側面があります。このあたり、ポルシェ911は上手で、高いスタビリティを作り出しながら、スッと曲がっていく。GT-Rは、ややアンダーステア気味の操縦特性です。
全開加速を試すと、もちろん強烈な加速なのですが600ps、66.5kgmという数字からイメージするような暴力的な加速、という感じではありません。
エンジンは鋭く吹け上がり、6速DCTは独特の、レーシングマシンのような“ギューン”というノイズを発しながらシャープにレスポンスよくシフトアップしていく。
全輪駆動とも相まって、タイヤがグリップを失って姿勢を乱すようなことはなく、コーナーからの脱出で一気に加速をしても後輪が暴れるようなことはありません。
R35GT-Rのデビューは2007年なので16年前。この16年の間に熟成されてきたということはあるのでしょうが、なによりもホイールベースやパワートレーンのレイアウト、前後重量配分の設定など、基本設計時のパッケージング思想が優れていたことが大きいです。
またサスペンションアーム長や取り付け点なども途中で変更することは容易ではありません。基本設計が優れているからこそ、今でもこうして600psエンジンで世界のトップレベルで勝負ができるのです。
一方のコルベットZ06。こちらも一般道を普通に走ってみると乗り心地のよさに驚かされます。エンジンンもさすがに5.5Lの排気量があるので低速トルクもたっぷりあって余裕の走りです。
ところがひとたびアクセルを踏み込むと……!
“ギュワー!”っと一気にレッドゾーンの8500rpm超まで吹け上り、8速DCTが鋭くシフトアップ! NAらしく、回転の上昇に対しリニアにトルクが盛り上がり、2速、3速はなんとも息の長い加速が味わえます。
V8、5.5Lとは思えない吹け上りで、これはターボのGT-Rとも違ったものです。近年はレブリミッターを控えめにするのが流行ですが、このクルマは高回転でブン回すのが大得意なのです。
■高い操安性を見せるコルベットZ06
優しく滑らかな操縦性が見事なコルベットZ06。低速トルクもたっぷりあって走りやすい上に、アクセルを踏み込むと気持ちよく吹けあがり、高回転でブン回せる
5.5L、NAで最大トルク63.6kgmというのはもの凄い性能です。一般的に、NAでは1000ccあたり10kgm前後なので、6.4L級のトルクということになります。
現代のコルベットはミドシップですが、操縦性にはまったくシビアなところはありません。追い込んだコーナリングをしても、リアタイヤがしっかりと路面を掴んで離しません。
このあたりはGT-Rにも似た特性なのですが、ここからさらにハードに攻め込んでいった時、GT-Rはフロントが“スススっ”とアウトに出ていくのですが、コルベットはジワリとフロントが反応してノーズをインに向けていく。急激な動きではないので、高い速度域でも安心して曲げることができるのです。
ピーク時でありながらこの優しく滑らかな操縦性の作り込みは見事です。600馬力を超えるハイパワーエンジンを上手に使いこなしています。リア345/25R21というミシュランパイロットスポーツ4Sとのバランスもいいのでしょう。
現代の600馬力級のスーパースポーツは、今回の2台に象徴されるように、決して暴れ馬ではなく、しっかりと調教されたサラブレッドなのです。
高いシャシー性能に仕上げられた車体が勝っていて、大パワー、大トルクをしっかりとコントロール下に置くことができる。だからこそ、ドライバーは安心して600馬力を味わうことができるのです。ただし、価格もスーパーモンスターです。
600馬力倶楽部のもう一台。ポルシェ 911ターボS。水平対向6気筒3.8Lツインターボは650ps、81.6kgmを発揮する。RRベースの4WDで、高いスタビリティと意のままに曲がるハンドリング
■600馬力級日米独のスペック比較
●日産GT-R NISOMOスペシャルエディション
・全長:4700mm
・全幅:1895mm
・全高:1370mm
・ホイールベース:2780mm
・トレッド:F:1600mm R:1600mm
・車両重量:1720kg
・エンジン:V型6気筒 DOHCツインターボ
・ボア×ストローク:95.5×88.4mm
・総排気量:3799cc
・最高出力:600ps/6800rpm
・最大トルク:66.5kgm/3600-5600rpm
・トランスミッション:6速DCT
・サスペンション:F:ダブルウイッシュボーン R:マルチリンク
・タイヤサイズ:F:255/40ZRF20 R:285/35ZRF20
・価格:2915万円
●シボレーコルベットZ06
・全長:4685mm
・全幅:2025mm
・全高:1225mm
・ホイールベース:2725mm
・トレッド:F:1675mm R:1620mm
・車両重量:1720kg
・エンジン:V型8気筒DOHC
・ボア×ストローク:104.2×80.0mm
・総排気量:5454cc
・最高出力:646ps/8550rpm
・最大トルク:63.6kgm/6300rpm
・トランスミッション:8速DCT
・サスペンション:F:ダブルウイッシュボーン R:ダブルウイッシュボーン
・タイヤサイズ:F:275/30ZR20 R:345/25ZR21
・価格:2500万円
●ポルシェ911ターボS
・全長:4535mm
・全幅:1900mm
・全高:1303mm
・ホイールベース:2450mm
・トレッド:F:1583mm R:1600mm
・車両重量:1640kg
・エンジン:水平対向6気筒 DOHCターボ
・ボア×ストローク:102.0×76.4mm
・総排気量:3745mm
・最高出力:650ps/6750rpm
・最大トルク:81.6kgm/2500-4000rpm
・トランスミッション:8速PDK
・サスペンション:F:ストラット R:マルチリンク
・タイヤサイズ:F:255/35ZR20 R:315/30ZR21
・価格:3279万円
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みんなのコメント
そんな車じゃ、早く走れないでしょ。
二つの車は、コンセプトが全く違うし、比べる意味が無いよ。