アメリカでホンダの高級ブランド「アキュラ」から往年の名車「インテグラ」が2022年に復活することが発表された。
2006年まで日本で販売されていたインテグラは、「歴代庶民が買えるいいクルマ」で、現行車でいえばトヨタ ハリアーのような存在でもあった。本稿ではそうした観点で歴代インテグラを振り返ってみたい。
これぞ日本のシビック!? 新型シティe:HEVこそ「ちょうどいいホンダ」かもしれない!!
文/永田恵一、写真/HONDA
【画像ギャラリー】1995年から登場!! インテグラタイプR歴代モデルの内外装をチェックする
3ドアクーペで約120万円! 初代クイントインテグラ
初代クイントインテグラ RSi/146万5000円(販売期間:1985~1989年/全長4280×全幅1665×全高1345mm)
ホンダもかつてはつい最近までのトヨタのようにクリオ、プリモ、ベルノというディーラー系列があり、兄弟車などそれなりに車種数が必要だった。
こうした背景もあり、1985年に登場した初代モデルのクイントインテグラは、当時の3代目シビックをベースに、3ドアクーペはプレリュードの弟分、追加された5ドアセダンと4ドアセダンはアコード/ビガーとシビックの間というポジションにあった。
初代クイントインテグラ GSi/170万4000円(全長4350×全幅1665×全高1345mm)
クイントインテグラは、登場からしばらく「全グレード1.6L・DOHCエンジン搭載」という点をセールスポイントにしており、当時DOHCエンジンは「高級車かスポーツモデルのもの」という高嶺の花のようなイメージだったこともあり、インパクトがあった。
それでいて価格は3ドアクーペで約120万円からと安かったことに加え、プレリュードやアコード/ビガーと同じリトラクタブルヘッドライトだった点も、車格感の向上に寄与しており、クイントインテグラがそれなりに売れたのもよくわかる。
シビックより少し上質! 世界初もあった2代目
2代目インテグラ XSi/161万5000円(販売期間:1989~1993年/全長4390×全幅1695×全高1325mm)
車名からクイントが取れた2代目インテグラ。
ヘッドライトが固定式となり、ボディタイプも3ドアクーペと、一世を風靡したカリーナEDの影響を受けた4ドアハードトップとなったが、当時の4代目シビックベースという点やポジション、コンセプトは初代モデル同様だった。
世界初の可変バルブタイミング&リフト機構となる1.6L・VTECエンジンの搭載が最大の話題となったが、それでも価格はVTECエンジンを搭載する3ドアクーペの上級グレードとなる「XSi」で約160万円と安かった。
また、現在41歳の筆者は20代初めに友人の2代目インテグラによく乗った記憶があり、インテリアなどもシビックよりちょっと上質だったことを思い出し、今になるとインテグラのポジションやコンセプトがよく理解できる。
2代目インテグラもバブルという時代背景に恵まれたこともあり、後に4ドアハードトップに1.8Lエンジンを加えるなどしながら、好調に売れた。
速さを得た3代目と歴代初のタイプR設定
3代目インテグラ ESi/195万9000円(販売期間:1993~2001年/全長4380×全幅1695×全高1335mm)
5代目シビックベースの3代目モデルもキープコンセプトで、1993年5月に3ドアクーペが登場し、この年の7月に4ドアハードトップが若干遅れてフルモデルチェンジされた。
3代目インテグラはトップグレードとなるSi VTECのエンジンが1.8L・VTECとなった。
2代目は同じ1.6L・VTECを積むシビックよりサーキットのラップタイムなどの速さは見劣りしたのに対し、このエンジンは可変吸気システムも持ち、トルクフルで180馬力(MT車)だったこともあり、3代目インテグラは車格相応の速さを得た。それでいて価格はSi VTECの3ドアクーペのオートエアコン付きで200万円と、やはりリーズナブルだった。
しかし、3代目インテグラは丸目四灯ヘッドライトとなったフロントマスクのクセが強かったせいか、初代と2代目モデルほどは売れなかった。
その流れが変わったのが1995年のマイナーチェンジであのタイプRが加わってからで、ここからインテグラがタイプRメインとなったのは言うまでもない。
初代インテグラタイプR/222万8000円(販売期間:1995~2001年/全長4380×全幅1695×全高1320mm)
さらにタイプRは価格も初期モデルのエアコン付で約240万円と内容を考えたら激安で、その意味でもインテグラらしかった。
筆者はよく使われる「ホンダらしい」という抽象的な言葉を、「こんなものがあるか! こういうのが欲しかったんだ! という商品を、300万円程度までの庶民が買える価格で提供すること」と思っているのだが、インテグラタイプRはまさしくそういったクルマで、実にホンダらしいクルマと感じている。
なお、筆者は20代最後に15年落ちで3代目インテグラのSi VTEC(3ドアクーペ)に乗っていた時期があるが、このころタイプR以外の3代目インテグラは不人気車だったため安かったこともあり、満足して乗っていた。
タイプR中心でも安かった4代目
2代目インテグラタイプR/259万円(販売期間:2001~2007年/全長4385×全幅1725×全高1385mm)
現状では最後のインテグラとなる4代目モデルは7代目シビックベースで、プレリュードと統合されたこともあり3ドアクーペのみで、このモデルから2Lエンジンを積み、完全にタイプR中心となった。
このモデルはマニアからはボディサイズが大きくなったことや重量増、フロントサスペンションが構造的に手を加えにくい点などに批判もあったが、2L化などにより性能、速さは確実に向上した。
それでいて価格はライトなクーペとなるiSが174万円(MT)、タイプRも性能向上の割に値上がりせず259万円(初期モデル)と、今になると「こんなに安かったのか」と感じるものだった。
しかし、インテグラはクーペの需要激減などもありこのモデルで最後となり、やむを得なかったにせよ、今になると絶版が惜しまれる。
◆ ◆ ◆
歴代リーズナブルだったインテグラを振り返ると、かつてのプレリュードやアコードインスパイアなどが該当する「庶民が買える、魅力あるカッコいいクルマ」という意味でのホンダらしさを持つモデルは、現在ヴェゼルくらいしかないということに気付く。
年内でオデッセイ、レジェンド、クラリティを絶版にするホンダが、これを期に日本販売車のラインナップを再構築するのであれば、価格の見直しに加え、インテグラのようなちょっと肩の力の抜けたモデルの投入も考えてほしいところだ。
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みんなのコメント
クルマそのものよりも、大衆車のCMにもハリウッドスターがバンバン出ていたバブル時代って、すごかった。
そんなマイケルJフォックスも若年性パーキンソン病になってしまい、、、