ポストシーズン終盤戦“ラウンド・オブ・8”の2戦目となるNASCARカップシリーズ第34戦『4EVER 400(フォーエバー400)』は、すでに今季プレーオフで4度のポールウイナーに輝きながら、この週末は予選13番手に甘んじていたクリストファー・ベル(ジョー・ギブス・レーシング/トヨタ・カムリ)が、最後の16周で首位浮上に成功し大逆転勝利を収める結果に。ホームステッド=マイアミ・スピードウェイで一時はラップダウンの危機に瀕した男が、最終ステージ“チャンピオンシップ4”への出場権を獲得し、2年連続でタイトルを争うこととなった。
前戦ラスベガスではポール発進から61周をリードしながら、わずか0.082秒差でカイル・ラーソン(ヘンドリック・モータースポーツ/シボレー・カマロ)に惜敗したベルは、その週末で2位獲得ながら“チャンピオンシップ4”進出圏内から2ポイント後方のランク5位に甘んじていた。
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そんなトヨタ陣営の“QF最速男”は、この週末もポール獲得が期待されながらFPではダレル“バッバ”ウォレスJr.(23XIレーシング/トヨタ・カムリ)に、そして予選ではレギュラーシーズン王者のマーティン・トゥルーエクスJr.(ジョー・ギブス・レーシング/トヨタ・カムリ)に先行を許し、最終的にこのふたりがフロントロウを占拠。3番手にもタイラー・レディック(23XIレーシング/トヨタ・カムリ)とカムリ勢が上位を占めるなか、ひとり“蚊帳の外”感が漂う7列目からの巻き返しを強いられる。
そのレース序盤から勢いを披露したのは5番手発進の前戦勝者ラーソンで、リッキー・ステンハウスJr.(JTGドアティ・レーシング/シボレー・カマロ)のアクシデントによるコーションも影響するなか、隊列走行でステージ1を制覇していく。
そのまま週末最多リードラップとなる96周を引っ張ったラーソンだったが、アンダーグリーンの213周目にピットエントリーであわやの場面に遭遇。同じく53周をリードしたステージ2覇者ライアン・ブレイニー(チーム・ペンスキー/フォード・マスタング)の12号車に対し、追突の大惨事となる可能性を緊急回避するべく、アウト側に置かれたピットウォールのタンクバリアに衝突する事故を引き起こす。
「僕はできる限りのことを全力でやっていたが、彼(ブレイニー)がこんなに早くペースを落とすとは予想していなかった」と、ここでギャップを詰めようと攻めた結果ではないと説明したラーソン。
「できるだけ早くイエローラインに到達しようとしていたし、自分がコントロールできていると感じていたから、僕側の視点から見ると彼は大幅にスピードを落としていた。映像で見れば僕の方がそこに爆撃したようにしか見えないだろうが、データを見て、ピットロードの速度などと比べて自分がどの位置にあったかを確認する必要がある」
■タオルを投げる寸前のところから大逆転勝利
ウイリアム・バイロン(ヘンドリック・モータースポーツ/シボレー・カマロ)と並んで最終ステージを始めたブレイニーも2位に甘んじ、右フロントにダメージを負ったラーソンは34位に。さらにポール発進だったトゥルーエクスJr.もエンジンに不調を抱え、デニー・ハムリン(ジョー・ギブス・レーシング/トヨタ・カムリ)はトップ5圏内を走行中の236周目に、ターン1でウォールに衝突して30位でレースを終えてしまう。
これでようやく主役の座に躍り出たのがベルで、残り46周のコーションで一時首位に立った20号車カムリは、数周後のイエローでふたたびピットから4番手でリスタートを迎えると、267周中252周目のチャージでバイロンをオーバーテイク。最後の16周を誰にも挑戦されることなくリードし、ブレイニーに1.6秒差をつけての今季2勝目、自身マイアミ初勝利を手にする結果となった。
「正直、分からないよ! レースはとんでもなく壊滅的な風が吹いていたし、ステージ2でタオルを投げる寸前まで行き、無線では本当にイライラしていたんだ」と明かしたベル。
「でも僕を支えてくれる最高のチームが諦めずにサポートしてくれて、僕に必要なものを与えてくれた。クリーンエアを吸うと、これが本当に美味しかったんだ(笑)」
「ここでトヨタ・カムリをドライブできることを、どれほど誇りに思っているか言葉では言い表せない。僕はキャリア初期からトヨタに在籍しているから、僕をサポートしてくれた皆に感謝している。これは夢が叶うよりも良いことさ」
併催されたNASCARエクスフィニティ・シリーズ第31戦『コンテンダー・ボーツ300』は、前戦勝者のライリー・ハーベスト(スチュワート・ハース・レーシング/フォード・マスタング)を0.227秒差で抑えたサム・メイヤー(JRモータースポーツ/シボレー・カマロ)が今季4勝目、シリーズ初のオーバル制覇を達成することに。
同じく併催のNASCARクラフツマン・トラック・シリーズ第22戦『バプティスト・ヘルス・キャンサーケア200』は、カーソン・ホセヴァー(ニース・モータースポーツ/シボレー・シルバラードRST)が今季4勝目を飾り、メイヤーと同じく“チャンピオンシップ4”への出場権を手にすることに。服部茂章率いるハットリ・レーシング・エンタープライズ(HRE)の16号車タイラー・アンクラム(トヨタ・タンドラTRD-Pro)は26位に終わっている。
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