FIAは先日、F1のピット作業に関して、人間の反応速度の範疇となるような作業時間にするための技術指令を、ハンガリーGPから施行すると発表した。これにより一部のチームは自動化されたシステムを使えなくなることで、ピット作業が遅くなるものとみられている。
この技術指令は安全上の理由で出されたとされており、メルセデスやマクラーレンなど一部チームは歓迎しているが、ピット作業の速さで知られるレッドブルなどはこの決定に「失望した」とコメントしている。
■F1のピットストップは”速すぎる”? FIAが新たな規制を導入、安全上の理由で抑制に動く
フェラーリのスポーティングディレクターを務めるローレン・メキーズは、今回のように突然技術指令が発表される現状を受け、FIAはまずチームと議論をした上で問題解決に取り組むべきだと提言した。
アルファロメオのチーム代表を務めるフレデリック・バスールも、今回のピット作業に関する規制には賛同できないとのこと。メキーズよりも直接的な批判を展開した。
バスールは、FIAがなぜシーズンオフの間にこの決定を下さなかったのかという点を疑問に感じており、技術指令をコンスタントに出すことでシリーズを支配するようなことはすべきでないと語った。
「技術指令をシーズン中に出すことでF1を管理するのは、正しいやり方だとは思わない」
バスールはそう語った。
「我々は冬の間に準備しておくべきことがある。ピットストップに関しては(今季開幕時点で)昨年と変わりなかったし、もし何らかの変更がするなら昨年のオフの内にできたはずだ」
「今回は安全上の理由で急遽変更するとのことだが、我々はシルバーストンからブダペストに向かうまでの間にいくつかの変更を強いられる。それが果たして安全面で良い方向に進むかは分からない」
「我々の場合、シルバーストンからブダペストに向かう際にスイスで検疫を行なうため、ファクトリーに戻ることはできない」
「今はプレスリリースよりも技術指令の方が多く出されるような状況だ。私はこれが正しいやり方だとは思わない」
「毎週月曜日、我々は技術指令のリストを目にすることになる。これがF1を支配するための新たなやり口になっているが、正しいものには思えない」
「次のトピックは、フロントウイングのたわみについてだろう。これについても話す必要がある」
F1における技術指令はこれまで、レギュレーションの抜け穴を塞ぐために出されることが多く、ライバルの動きに疑問を持ったチームからの指摘が、そのきっかけとなっている。
今季はレッドブルのリヤウイングの柔軟性がメルセデス陣営によって指摘されたことから、リヤウイングの耐荷重検査を強化する技術指令が出され、その後アゼルバイジャンGPでタイヤバーストが続発したことから、タイヤの空気圧レベルのテストが導入されることになった。
アルピーヌのスポーティングディレクターであるアラン・ペルマネは、今回の技術指令により、ピットストップにおけるシステムの自動化を阻止し、センサー類が受動的にしか作動しないようにするというレギュレーションが明確になるだろうと語ったが、まずチームとFIAがコミュニケーションを取るべきというメキーズの考えには賛同した。
「ローレン・メキーズのコメントを読んだ。彼は(FIAが)まず自分たちと少しでも話をして欲しいと言っていた。私も少しそれには共感できる」とペルマネは語る。
「確かに、これ(技術指令)は我々にとって良いことであるのは間違いない。ただ、これらのシステムは非常に洗練されていて高度なものだ。それに多くの人が関わっている。FIAから反論の余地なく決定が下されるのは残念だと思う」
「今、安全性に関する疑問が出てきているのだから、我々みんながまず席について、何が安全なのか考える方が良いと思っている」
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