最新技術でバイクらしさを磨く唯一のメーカー!
ロイヤルエンフィールド スーパーメテオ650を発表!【ハリスフレームに空冷ツインを搭載したイージークルーザー】
EICMA2022でスーパーメテオ650を発表したロイヤルエンフィールド。その時にプログラムマネージャーのサイモン・ワーバートン氏とデザインマネージャーのマーク・ウェルズ氏に話を聞くことができた。ロイヤルエンフィールドが生み出す近年のバイクが、なぜ世界中で躍進を続けるのかがよくわかった。
バイクらしさの原点を感じさせるラインナップ
現在、ロイヤルエンフィールドのフラッグシップモデルは、古き良きイギリスのバイクを感じさせるコンチネンタルGTとINT650。この2つが登場したのは2017年のEICMAでのこと。2018年のEICMAでは、市販モデルを公開した。
それ以前はビュレットなどまさに本物のクラシックバイクを現代に存続させていたロイヤルエンフィールドだが、650ccツインを搭載する2台は違った。トラディショナルな造形を継承しているが、中身は最新。最新といっても昔ながらのバイクらしさを大切にしたつくりはとても新鮮で、僕はここからロイヤルエンフィールドのバイクづくりが大きく変わった気がしたのだ。
そして、それ以降に登場したメテオ350、クラシック350、スクラムといったバイクの完成度も飛躍的に向上。いまだに空冷エンジンを育み続けるスタンスも支持され、日本でのセールスも順調に伸びている。
―― EICMAで発表されたスーパーメテオ650は前回紹介した通り。クルーザーだがハンドリングはロードスター的とのこと。スーパーメテオ650とスーパーメテオ650ツアラーの2機種を用意。シート高はメテオ350よりも25mmも低い740mmとなっている。 [写真タップで拡大]
―― 僕がロイヤルエンフィールドのバイクづくりが大きく変化したと感じたきっかけのコンチネンタルGT650とINT650のブース。まさにブリティッシュトラディショナルと呼ぶにふさわしいバイクたち。空冷650ccエンジンを搭載したカフェレーサーとダートラックレーサーも展示されていた。 [写真タップで拡大]
―― プログラムマネージャーのサイモン・ワーバートン氏(左)。トライアンフで重要なポジションを任されていたが、2015年にロイヤルエンフィールドへ。デザインマネージャーのマーク・ウェルズ氏(右)。デザインとは設計全体のこと。今回はこのお2人に色々と聞いてみた。
ロイヤルエンフィールドの転換期
──ロイヤルエンフィールドの近年の躍進は、今回EICMAで話を伺ったプログラムマネージャー(車体開発全体の管理)のサイモン・ワーバートン氏の参入が大きいのだと思っていたが、話を聞いて確信。デザインマネージャー(設計全体)のマーク・ウェルズ氏と共にドラスティックに社内のR&Dの体制を変えたという。
サイモン「そう感じてもらったのは100%正しいです。私がロイヤルエンフィールドに入ったのは2015年。ロイヤルエンフィールドは変わらないといけない時期だったんです。それまでR&Dは外注に出していたのですが、内製にしていくために組織を構築していく必要があったのです」
──サイモン氏は、それまでイギリスのバイクメーカーでかなり重要なポジションにいた人物。なぜ、ロイヤルエンフィールドに行ったのだろうか。
サイモン「ロイヤルエンフィールドが変わらなければいけない時期だったので、呼ばれたことがきっかけです。実は1977年か1978年頃、よくバイク雑誌を見ていたんですが、そこに掲載されていたロイヤルエンフィールドに憧れていました。私にとって憧れのブランドだったのです。だからロイヤルエンフィールドに入り、イギリスとインドにテックセンターつくることにしたんです」
──サイモン氏がロイヤルエンフィールドに加入した直後に、マーク氏もイギリスのテックセンターに合流していますね。
マーク「サイモンとは以前から一緒に仕事をしていました。そしてロイヤルエンフィールドともデザインの仕事などを一緒にしていたことがあったので、サイモンがロイヤルエンフィールドに入って間もないタイミングで僕もジョイン。ずっと一緒に仕事をしていたので、入ってすぐにスムーズに仕事ができましたよ」
──現在はどのような体制ですか?
サイモン「当初、イギリスには4人しかいませんでしたが、今は180人います。インドは50人くらいだったのが250人くらいになりました。その中に技術開発はもちろん、プロダクトデザインやアクセサリーのチームすべてが入っています。
現在は、R&Dのほとんどを社内で内製できるようになりました。インターナショナルチームもあって、イギリス、アメリカ、オーストラリア、日本の方も働いています。これまで外注でやっていたことを社内に蓄積できるようになったので、どんどん良いものができてきています」
マーク「R&Dを内製にすることで、何かに妥協することがなくなりました。より高みを目指すためには、以前からそういう方向にしていかないといけないと思っていたんです。もちろんこれからもその方向で進んでいきます。品質に関しては、常に良いものを追求。新しいモデルが出るたびに品質の基準はどんどん厳しくしていて、その目標をクリアしています」
―― 多くのファンで賑わうロイヤルエンフィールドのブース。ブース内にはラウンジも用意され、商談や取材に使われていた。 [写真タップで拡大]
―― クラシック350のブース。戦時中に飛行機から投下されたバイクも展示。 [写真タップで拡大]
ロイヤルエンフィールドが大切にしている3つのこと
──現在、ロイヤルエンフィールドのラインナップは空冷エンジンのみ。ある意味、その割り切りは素晴らしいが、今後はどのようなバイクづくりをしていくのだろう。
サイモン「もちろん電子制御なども研究していますよ。ACCとかもね。でも、いちばん大切なのはライダーが快適に乗れるかどうかです」
──僕はロイヤルエンフィールドは、新しい技術を用いながらも純度の高いバイクらしさを追求している唯一のメーカーだと思っています。だから、ロイヤルエンフィールドのバイクには数値では分からない、心揺さぶられるものがある。そのことを伝えると……。
サイモン「その通り。トラディショナルなバイクらしさを追求していくことはいまとても重要なんです」
マーク「将来的にEVなどを導入する時がきたとしても、私たちが手がけるバイクにはそういう部分は欠かせません。競合メーカーがやっているからでなく、ライダーにとって必要なことを具現化するのです。実際に自分達が考えて、ライディングが良くなることをね。
さらに私たちがバイクを開発していく上で、大切にしていることが3つあります。
1つ目はバイクにストーリーがあること。わかりやすのはヒマラヤの使われ方。ヒマラヤを走るにはどんなバイクが必要なのかってね。もちろん今回発表したスーパーメテオ650はどういったバイクなのか? それがどんなモデルか?ということを真剣に考えました。
2つ目は乗ってみたい、見てみたい、買ってみたいって思わせること。
3つ目は買いやすい金額と、多くの人がすんなり乗れる物です。すんなり乗って楽しいもの、またがって違和感があったりしたらダメなんですよ。
いま流行のビッグアドベンチャーは大きくてパワフルなものがたくさんあるけど、やっぱりライダーを限定しています。あの大きさ、重さは楽しめない人の方が多いと思うんです。でもヒマラヤなら多くの人がオフロードを楽しめる。
今後、EVや水冷になったとしても、ロイヤルエンフィールドはトラディショナルなバイクらしさを追求することに最新技術を使い、この3つのことを考えてバイクを開発していきます」
マーク氏は「アクセッシブル」という単語を積極的に使っていたのが印象的。アクセスしやすい、利用しやすい、という意味で、いかにロイヤルエンフィールドがライダーに身近な存在であるかを伝えてくれる。
バイク歴や年齢に限らず、誰にも親しみやすさを感じさせるバイクになったのは、サイモン氏とマーク氏がロイヤルエンフィールドに加入してから。そしてプロダクトは完成度や信頼性だけでなく、乗り味も大きく変わった。クラシカルな雰囲気を大切にしつつ、多くのライダーがわかりやすいバイクらしさを大切にしている。
最新のロイヤルエンフィールドは、スペックでは語れないバイク本来の魅力に溢れている。それは一度乗ってみると、誰もが実感できることなのだ。
―― ヒマラヤとスクラム411のブースと、日本上陸が待ち望まれるハンター350。 [写真タップで拡大]
―― 650ccエンジンのヒマラヤ? といった雰囲気のカスタムも。この辺りは別記事で紹介したいと思う。 [写真タップで拡大]
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