■なぜそこに駐車する?「トナラー」の心理とは
大型商業施設などの広い駐車場で、周囲はガラガラに空いているのに「わざわざ隣に駐車してくる」クルマがいます。
他にいくらでも停める場所があるのに、なぜわざわざこちらの隣に!? と考えてしまいます。
「トナラー」と呼ばれるこういったドライバーはなぜ発生するのでしょうか。また対策はあるのでしょうか。
【画像】「えっ…」 これがトナラーを防ぐ「方法」です! 画像で見る (23枚)
まず、すぐ隣にクルマを停められると嫌な気分になる理由について、東京都に住む30代男性は以下のように話します。
「クルマを不用意に開けて、ドアを隣のクルマにぶつけて傷つける『ドアパンチ』という行為があるじゃないですか。
いつその被害に遭うとも限らないので、できれば隣に誰もいないほうがいいです。隣に停められて、うっかりドアパンチされるかもしれないと思うと、落ち着きません」
また別の男性も以下のように話します。
「隣にクルマがいると、ドアを開けづらくなるんですよ。特にショッピングモールなんて、たくさん買い物して大きな荷物をいくつも持ってることもあります。
ドアを大きく開けないと、車内へ荷物を入れるのに苦労するんです。わざわざ隣に停める人って、そういう状況になったことがないのかなと思う」
別の女性は「ほかに広いスペースがあるのにわざわざ停めるのは、こちらの存在を意識してあえて密着しているという証拠。単純にいい気分がしません」と話します。
他にも、スポーツカーなど「外へオーラを放っているクルマ」を停めていた場合、それを意識して隣に停めに来るクルマも多いそうです。
以前の取材で、人気スポーツカーに乗る神奈川県の男性は「同じように親近感を抱いて、隣にスポーツカーが駐められているということがよくあります。
高確率でトナラーに遭遇しますし、勝手に写真を撮られたり、出待ちされていることがあったりするので、正直困っています」と話していました。
SNS上では「同じクルマを見つけ、隣に自分のクルマを駐めた」「ナンバーまで一緒だったのでトナラーした」という趣旨の投稿もあり、本人はただ嬉しくて「仲間認定」しているだけなのかもしれません。無邪気といえば聞こえがいいですが、実際上述のような気持ちになる人がいるのも事実です。
それに対し「トナラーの何が悪いのかわからない」「クルマの隣に駐めたぐらいでどうこういうのは、心が狭いなとしか思わない」「トナラーとか名称付けて、気持ち悪いだの、イライラするだの差別して何が楽しいのか」と、気にする側を悪とする論調もあります。
■実際どうなのか
では「あえて隣に停める」人が多いというのは、彼らがどういうメリットを考えているからなのでしょうか。
とある教習所スタッフは、その心理として「クルマがあると、それを目安にできるので、駐車しやすくなる」と話します。
広い平面駐車場だと、枠内に停めるためのヒントとなる特徴が全く分かりません。窓からラインも見えないため、途方に暮れてしまうといいます。
運転が上手い人は窓を開けて下をのぞいたり、周囲の状況から上手く判断できますが、苦手な人は、クルマが横にいればなんとなくの距離感がわかるので、助かるというわけです。
もちろん最近は「バックカメラ」機能が普及し、カーナビ画面に車両後方の風景が映し出されるので、「トナラー」をせずとも停めやすくなっていると言えるでしょう。
いっぽう、その他の心理として「隣にクルマがあると駐車位置の目安になる」といったものも。広くて特徴の薄い平面駐車場だと、自分の停めた場所を覚えられません。そこで既存のクルマの横に停めたくなってくるというわけです。
もちろん相手がすぐ出庫してしまうと意味ありません。しかし「無意識のとっさの判断」というのは、そういう「少し考えたら分かること」の外で行われる脳判断です。心理というのはそういうものでしょう。
同じ無意識下の心理として「ポツンといると寂しい」「隣にクルマがいると安心する」というものがあります。これはもう人間ひとそれぞれなので、文句を言ってもどうしようもありません。
※ ※ ※
では、どうしてもトナラーされたくない場合、「トナラーしてこないようにする対策」はあるのでしょうか。
まずは「そもそも隣が無い場所」です。「角のスペース」や「柱の隣」などは、片方が障害物で遮られているため、隣にクルマがやってきません。「左右が壁の1台専用スペース」を使うのも手です。
また、店舗入口から極端に離れた場所だと「停めてから歩かないといけないのか…」という心理で避ける人も出てくるでしょう。ただし自分も店舗まで遠いので大変です。
他にも車外へステッカーで「ドライブレコーダー監視中」といった警告をおこなうのも有効かもしれません。ただし、「この隣に停めよう」と判断した時点では、そのステッカーがそもそも目に入っていない場合も多いですが…。
結局は、「気にしないように自分を変える」ことが一番なのかもしれません。
もし「ドアパンチ」が怖いという理由でトナラーを忌避しているなら、いざドアパンチをされたときにしっかり賠償してもらえるよう、手続きプロセスをしっかり把握し、逃げられても証拠を押さええられるドライブレコーダーの整備をしておくことのほうが大切かもしれません。
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