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好調ゆえにあと少しを望みたい トヨタ・カローラ・クロスへ英国試乗 熱効率はトップ

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好調ゆえにあと少しを望みたい トヨタ・カローラ・クロスへ英国試乗 熱効率はトップ

カローラのスピンオフ・モデル

先代までは、実用的ながら走りは少々退屈だと評価されてきた、トヨタ・カローラ。しかし最新版では、英国編集部でもオススメのモデルへ大転換を遂げている。

【画像】好調カローラのスピンオフ カローラ・クロス 欧州で競合するクロスオーバーと比較 全129枚

オーリスという名で売っていた世代に別れを告げた、見て良し、走って良しの、優れたハッチバックだといっていい。近年のトヨタ車の1台として、所有することに魅力を感じさせる。

そんなカローラの好調を受けてか、トヨタはスピンオフ・モデルを展開している。素晴らしいGRカローラの英国上陸は惜しくも果たされなかったが、カローラ・クロスに対する決定は違った。ロンドン在住でも、間もなくディーラーで購入できるようになる。

このカローラ・クロスは、カローラのSUV版としてトヨタ自ら主張する新モデル。日本や北米などでは既に1年ほど前から販売されている、グローバル・モデルの1つに据えられている。

英国以外にも、欧州の一部の国へ導入が決定している。今回は2023年の欧州カー・オブ・ザ・イヤーの審査も兼ねて、デンマークで試乗する機会を得た。

SUVとしては存在感が薄めのルックス

カローラ・クロスを、英国のトヨタはSUVだと主張する。だが筆者には、アウディA4 オールロードクワトロのような、車高を持ち上げたステーションワゴンのように見える。

カタログ値ではカローラ・ツーリングより175mmも全高は高く、1620mmあるものの、実車を目の前にするとそこまで背が高くは感じない。ボディの位置は路面に近い。

登場から既に5年が経過しつつもスタイリッシュなままのC-HRや、ひと回り大きいRAV4が備えるような、ガタイが大きく頼もしい雰囲気は得ていない。SUVとして、存在感が薄いように思う。

ボディサイズは、その2台の中間に位置する。カローラ・クロスの全長は4460mmで、C-HRは4385mm、RAV4は4600mmとなり、確かにこの間のギャップを埋めるにはジャストなサイズといえるのだが。

「クロス」として派生したもう一台、ヤリス・クロスには、見栄えのするスタイリングが与えられている。属するクラスのなかでも、ちゃんとSUVらしい。カローラでトーンダウンさせる必要はなかったのではないだろうか。

大人しい見た目と同様に、運転した印象には、前時代のオーリスの雰囲気が漂わなくもない。特にアクセルペダルを軽めに踏んでいても、ハイブリッド・システムのeCVTがもたらすノイズがドライビング体験を支配し、楽しいとは感じにくい。

システムとしては優秀で、短距離なら駆動用モーターだけでの走行も可能。EVモードの静かで穏やかな質感が味わえるだけに、対照的に際立ってしまう。

現実環境でのエネルギー効率ではトップ

英国へ導入されるカローラ・クロスが積むハイブリッドには、2種類がある。どちらも2.0L 4気筒ガソリンエンジンを主軸とし、そこに駆動用モーターが組み合わされ、システム総合で196psを発揮する前輪駆動が1つ。

もう1種は、さらにリアアクスル側に41psの駆動用モーターを追加した四輪駆動。0-100km/h加速の時間は、前輪駆動でも変わらず8.1秒がうたわれる。eCVTがエンジンを唸らさせるが、活発には加速していく。

燃費は良く、今回は市街地や高速道路などを複合的に運転し、かなり条件が悪かったにも関わらず19.5km/Lという数字が得られた。現実環境で優れたエネルギー効率を発揮させる技術力は、トヨタがトップだろう。

ハッチバックのカローラが備える動的能力の特長は、カローラ・クロスにも一部が継承されている。サスペンションは、路面の小さなつぎはぎや大きなくぼみを巧みに処理し、乗り心地は良好。グリップ力も高く、ステアリングフィールにはダイレクト感がある。

一方、日常的な利用で感じる、操る魅力は薄められた印象。サイズが大きくなったことに伴い、特に姿勢制御の面で動的な輝きは鈍ってしまった。目には見えない、運転する楽しさとも結びつく要素といえる。

好調なトヨタだけに、もう少しを望みたい

車内にはゆとりがある。頭上空間は広く、荷室容量はハッチバック版カローラの313Lから大幅に拡大し、487Lもある。荷室のフロアは広く、開口部も大きく、荷物の積み降ろしは容易にできそうだ。

インテリアのデザインは、カローラの兄弟モデルであることが明確。ダッシュボードは登場から若干の年月が経ったことを匂わせるものの、タッチモニターと実際に押せるハードボタンとのバランスは良好。各機能の操作はしやすい。

近年のトヨタ車は、大小のクラスに関係なく、優れたルックスと運転の楽しさを持ち合わせている。1つの黄金期のような好調さを感じるだけに、カローラ・クロスの仕上がりにはもう少しを望みたいところ。

もし英国への導入が見送られても、こちらのカローラなら諦めがつくかもしれない。GRカローラとは違って。

トヨタ・カローラ・クロス 2.0ハイブリッドFWD(欧州仕様)のスペック

英国価格:未定
全長:4460mm
全幅:1825mm
全高:1620mm
最高速度:180km/h
0-100km/h加速:8.1秒
燃費:18.5km/L
CO2排出量:122g/km
車両重量:1505kg
パワートレイン:直列4気筒1987cc自然吸気+永久磁石同期モーター
使用燃料:ガソリン
駆動用バッテリー:−
最高出力:196ps(システム総合)
最大トルク:−
ギアボックス:eCVT

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