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日産「GT-R Tスペック」の2024モデルは「GT-r」でした。R35史上最高のファン トゥ ドライブに感動しきり

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日産「GT-R Tスペック」の2024モデルは「GT-r」でした。R35史上最高のファン トゥ ドライブに感動しきり

日産「GT-R」の究極のGT、Tスペックに試乗

2007年のデビューからたゆまぬ進化を続けてきた日産が誇る「GT-R」。グランドツアラー(GT)とレース(R)という2つのキャラクターに分かれさらに進化しています。今回は最新MY24で空力や足まわりに改良が加えられた「究極のGT」、Tスペックに試乗、横浜から京都までの長距離ドライブで試しました。

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GTとRに分けられたキャラクター

日産GT-Rのデビューは2007年秋のことだったから、もうすでに16年近くが経った。その間、ほぼ毎年のように進化してきた(モデルイヤー)。逆にいうと「だからこそ」ロングセラーになれた。もちろん基本設計の高さは言うに及ばず、だ。今乗っても十分に現役という理由はそのふたつがメインであって、結果、世界的な人気に今もなお支えられているというわけだろう。21世紀を代表する国産車、否、世界的な名車であることは間違いない。

筆者は2007年12月の発売と同時に赤いボディカラーのブラックエディションを購入し、最初の車検まで保有していた。重いのに速い(重いから速い)というユニークな性能に心底驚き、さまざまな欠点に目を瞑りつつ日常のアシとして使っていたのだった。

モデルイヤー制ということは、毎年何かしらの変化があって、初期の頃はそのたびに今はなき仙台ハイランドレースウェイで試乗会が催された。ここは一時期、GT-Rの国内開発における拠点だったからだ。

開発責任者が水野和敏氏から田村宏志氏に変わってのち、その開発の形態も進化の方向性もガラリと変わっていく。ユニークな開発スペシャルチームは解散し、他モデルと同じような体制で現在に至るまでその進化に取り組んでいるが、GT-Rそのものはよりわかりやすいふたつのキャラクターに分けられた。名前が示す通り、GT(グランドツアラー)とR(レーシング)の2方向である。

空力と足元に改良を加えたMY24が誕生

初期モデルにもスペックVやニスモによるクラブスポーツパッケージなどが存在したが、とはいえマイナーチェンジ前(MY14以前)のGT-RはあくまでもGTとRを1台で両立するモデルとして開発され続けていた。ところがMY14からはRを担うバリバリのトラック志向グレードであるニスモがいよいよ登場し、スタンダードモデルはというとよりGT色を強めるようになった。わかりやすく文字で表現すれば、ニスモ=「gt-R」であり、スタンダードは「GT-r」、なのだった。

以降、フラッグシップ(日産車最高価格)となったGT-Rニスモのパフォーマンスアップにも目を見張るものがあったが、「GT-r」の進化だって決して止まらなかった。開発陣がいわば究極のGTとして完成させたのがMY22のTスペック。そしてさらに空力や足元に改良を加えたMY24が誕生するに至る。今回はそのMY24版Tスペックを駆って横浜と京都を往復することにした。

これまでのR35とはまるで違う

ミレニアムジェイドのボディカラーにインテリアもグリーン。最もTスペックらしい装いの個体を横浜の日産グローバル本社で借り受けて、いざ、首都高~東名高速~新東名~名古屋湾岸~新名神といういつものルートで自宅のある古都を目指す。

首都高に乗る前、みなとみらいの一般道から「ある異変」に気づいた。足元がいっそう軽やかに動くのだ。妙に軽い。まるでタイヤそのものがダウンサイズされたかのよう。ボディ骨格の強さは今なおトップレベルを誇っているから、足元が軽やかなぶん、鼻先が気持ち良く自在に動く感覚がMY22に比べてもいっそう強調されている。初期モデルからは考えられないほどの変化、というかまるで別モノの運転フィールで、もはや記憶に染み付いたR35ではまるでない。

首都高に入る。意のままの操縦感覚がさらに深まっていく。足元の妙な軽さが徐々に車体そのものの軽快感へと変わっていく。エンジン回転数も上がり、ボディが引き締まったうえにサスペンションの一体感が増すから、クルマ全体が軽やかに感じるのだ。GT-Rには動的な軽さがあった。

頃合いを見計らって右足に力をこめてみる。トラクションのかかりが凄まじい。それも路面を一方的に無理やり掻くというよりも相談しつつグリップし合っているという感覚だから、不安がない。実際、不安定な挙動の兆候さえ現れなかった。

GTは速さよりも気持ちよさが大事

コーナリングでの安定感も過去最高のレベルに達している。エアロダイナミクスで抑え込むようなニスモとは違って、対話を続けながら旋回するかのようだ。つまり、クルマに乗せられている、のではなく、クルマを駆っている感覚がずっとある。ここはサーキットではない。速さよりも気持ちよさの方が大事。だから「gt-R」ではなく「GT-r」なのだ、とクルマが語っている。

とはいえ空力が進化したからだろう。さらにエグゾーストサウンドも洗練された結果、高速クルージングの疲労感がさらに減った。筆者にはシートがやや狭かったけれども、メタボが進行しているという警告だと受け取っておく。とにかく、あっという間に京都についてしまった。それはもう、惜しいくらいに!

ファン・トゥ・ドライブというGT-Rの進化

ホームコースのワインディングロードでも走ってみる。ニスモでは身体が音を上げるほどの旋回Gを経験したものだが、Tスペックはそのレベルに達する前から素直に運転が楽しいと思える。目を三角にして走らせずとも、十分に楽しめるし、その段階でも十分に速い。ファン・トゥ・ドライブという点では史上最高のR35であることは間違いない。

一方で、重戦車が突如としてレーシングカーに豹変するようなR35本来のユニークさはほとんど消え失せた。洗練された、というと聞こえはいいかもしれないが、個性という点では薄まっている。けれども自動車の進化がそうであったように、これもまたGT-Rの進化であると言っていい。

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