北海道留萌市在住の写真家・佐藤圭さんが撮った貴重な動物、風景写真をお届けする週末連載。
第51回は、日本で暮らす野鳥のなかでは珍しい、真っ赤な羽毛を持つギンザンマシコの画像をお届けします。
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漢字で書くと、「銀山猿子」。猿の顔のように真っ赤な色なので、こう名付けられたそうです。
写真・文/佐藤圭
[gallink]
雪の札幌や旭川の市街地にも
僕が、登山中に出会うとテンションが上がる、大好きな野鳥がいます。
燃えるような鮮やかな赤い色をしたギンザンマシコです。
夏の登山の途中、きれいな声でさえずっていたギンザンマシコ
日本では、カナリアやインコのような飼育されている鳥以外に、鮮やか赤い色の鳥なんて見ることはありませんからね。初めて見たときはびっくりしました。
体長は20cmほど、赤いのはオスだけで、メスはオレンジがかった黄色です。
夏の繁殖期のつがい。左上の黄色い鳥はメスで、右下の赤い鳥がオス
森の中から「ピーピュイー」という爽やかな鳴き声が聞こえて見上げると、濃い緑の中で鮮やかな赤い鳥がエサの木の実をついばんでいます。その可憐な姿に、登山の疲れも吹き飛びます。
ギンザンマシコは、野鳥の中でも特に警戒心がない鳥です。木の実などを食べているときは、ゆっくりと近づくと、3mくらいまで近寄れます。
春のギンザンマシコ。繁殖期を控え、より鮮やかな赤に生え変わる最中か
雨に濡れると、ちょっとみずぼらしくなります
人間が怖くないのか、はたまた、食事に集中しているのかわかりませんが、心配になるほど逃げません。
野鳥愛好家の間では、特に人気の高く、春から夏にかけて、大雪山系の旭岳や知床峠などでは、バズーカを構えたカメラマンたちが、一日中ギンザンマシコの登場を待っているほどです。
高山植物の花が咲き誇る夏、エサを物色するギンザンマシコ
秋、紅葉の中のギンザンマシコ
ユーラシア大陸、北アメリカ大陸北部の森林地帯に広く分布していますが、日本では、本州の高山の一部を除いて、北海道にしか生育していません。
夏の間は、高山で子育てをします。冬になると少し標高を下げて、エサのある場所へ移動します。旭川や札幌などの市街地でも、街路樹のナナカマドの実を食べる姿を見ることがあります。
冬になり、市街地まで降りてきたオス(赤)とメス(黄色)
雪が積もった街路樹で、ナナカマドの赤い実をついばむギンザンマシコ
もし、雪の北海道に来ることがあったら、ぜひ街路樹を見上げてみてください。運がよければ、遭遇できるかもしれませんよ。
夏に北へ渡り、冬になると戻ってくる個体と、一年中北海道に残って繁殖する留鳥がいるようです。
佐藤 圭 kei satou
1979年、北海道留萌市生まれ。動物写真家。SLASH写真事務所代表。MILLETアドバイザー。
日本一の夕陽と称される留萌市黄金岬の夕陽を撮影するために写真家の道に入る。北海道道北の自然風景と野生動物を中心に撮影を続け、各地で写真展を開催し、企業や雑誌、新聞などに写真を提供している。
2018年、エゾナキウサギの写真「貯食に大忙し」で第35回『日本の自然』写真コンテスト(主催:朝日新聞社、全日本写真連盟、森林文化協会)で最優秀賞受賞。
ウェブサイト:https://www.keisato-wildlife.com/
Facebook:https://facebook.com/kei.sato.1612
インスタグラム:https://www.instagram.com/slashslash_photography/
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