2代目CX-5はこれまで大小の年次改良を受けているが、外観の変更を伴う大幅改良はデビューから丸5年の今回が初となる。
マツダはそれに先立ち、2022年以降のSUV商品群の拡充計画を発表。CX-5は現行型のまま商品改良を継続し、“2ケタ車名”の次世代SUVとラインアップを組むことになる。それだけに、CX-5が今後もミッドサイズSUVの第一線で活躍できるかどうかを占う意味でも、非常に重要なビッグマイナーチェンジなのである。
エクステリアはフロントフェイスとリヤエンドを最新の「魂動デザイン」でアップデート。年明けから現地生産される北米専用のCX-50とイメージを統一した、SUVらしいたくましさといっそうのプレミアム感を高めたデザインだ。
バリエーションには2つの特別仕様車を新設定。「フィールドジャーニー」はアウトドア指向を打ち出した4WD専用のオフロードキャラ、「スポーツアピアランス」は都会的でスポーティな雰囲気を強調したオンロードキャラだ。最上級の特別仕様車「エクスクルーシブモード」と合わせて3つの世界観を提案し、今まで以上の幅広いユーザーニーズに応える。
なかでもマツダの一押しはフィールドジャーニー。CX-5は現行で洗練されたクロスオーバーの雰囲気を高めたが、ここ数年は泥が似合う本格SUV路線が世界的に人気を集めている。CX-5にとってはそのトレンドを見据えたオフロードキャラの強化が、今回の重要なテーマの一つなのだ。
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専用の走行モードを備えるフィールドジャーニー
フィールドジャーニーは専用デザインの採用だけでなく、ラフロードの走行性能もしっかり引き上げられている。走行モードが選択可能な新設定の「Mi(ミー)ドライブ」には、オフロード・トラクション・アシストを大幅に進化させたオフロードモードを搭載。タイヤはCX-5初となるオールシーズンの17インチで、サスペンションも専用にチューンされている。
オフロードモードはiアクティブAWD、Gベクタリングコントロール(GVC)、トラクションコントロール、6速ATの各制御をラフロード専用に最適化。極悪路の微低速走行から積雪の高速走行まであらゆるシーンで走破性やハンドリングを向上させる。
オフロードを簡易的に模した特設コースでは、マツダこだわりの2つの機能を体感できた。1つは車両対角線の前後輪が空転した際の脱出性。オフロードモードを選択すると、他メーカーのシステムより比較的少ないアクセルの踏み込みで接地輪の駆動力が回復し、スタックから容易に脱出できる。
もう1つは、急斜面に対して斜めにアプローチする発進時のアイドリング制御だ。上り勾配に向かってステアリングを回すと、アイドリングが1200回転くらいまで上がってクリープトルクが増強し、発進時のずり下がりを防ぐ。逆に下り勾配の場合はアイドリングを下げて、発進の飛び出しを抑える。
このフィールドジャーニーはXDと20Sに設定。そう、4WDは初代の初期型以来となる2ℓガソリンの復活も、今回のトピックなのだ。一方、2.5ℓガソリン直噴ターボはあえなく姿を消している。
公道試乗ではXDフィールドジャーニー、25SスポーツアピアランスのFF、同エクスクルーシブモードの4WDを試した。
ガソリン車はMiドライブに、従来のドライブセレクションと同じくスポーツモードを設定。パワートレーンの特性がハイレスポンス、GVCはレスポンス重視に切り換わり、オンロードのスポーティな走りを演出する。ちなみに、スポーツ/ノーマル/オフロードの3モードを搭載するのは、20Sフィールドジャーニーだけだ。
走りは“すっきり”、格段に進化
オンロードの走りはどれも質感が確実に向上している。乗り心地は粗い舗装路面のゴツゴツ・ザラザラ感がスッキリ滑らかになり、段差乗り越えのショックもマイルドに軽減。ボディ中央付近のクロスメンバーに振動の減衰制御構造(剛性部材+構造用接着剤)を採り入れた効果だ。ロードノイズも低減している。
また、ボディの姿勢はピッチ方向の揺れが抑えられ、フラット感が増している。これはダイアゴナルロールを減らしたサスペンションのチューニング見直しで実現。旋回時に斜め前下がりの挙動になるダイアゴナルロールは、マツダが「人馬一体」の一要素としてアピールしてきたが、CX-5では少々やりすぎの感もあった。マツダの操安開発も大人になった!?
意外だったのはXDの静粛性で、ディーゼルの振動・ノイズが始動から実用域まで明らかに低減している。今回改良はうたわれていないが、きっと手が入っているのだろうと思いきや、これもクロスメンバーの減衰制御構造による効果とか!
CX-5の完成形を思わせる熟成の極み。都会派からアウトドア派までカバーする多彩なバリエーションと合わせて、モデルライフ後半も上々の滑り出しは間違いなしだ。
〈文=戸田治宏 写真=山内潤也〉
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頑張ってほしい。
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