現在位置: carview! > ニュース > ニューモデル > 【初試乗】ポルトフィーノで感じた、新世代フェラーリの姿。

ここから本文です

【初試乗】ポルトフィーノで感じた、新世代フェラーリの姿。

掲載 更新
【初試乗】ポルトフィーノで感じた、新世代フェラーリの姿。

フェラーリの最新作「ポルトフィーノ」に早くも試乗する機会を得た。 カリフォルニアに続くモデルとしてリリースされているものの、その走りは正常進化しているのか? イタリア南部のバーリよりレポートする。REPORT◎大谷達也(Tatsuya OTANI)

80kgの軽量化と、35%の剛性アップ!

【限定5台】鮮やかなブルーが特徴の「キャデラックATS-V」

誰がなんといおうと、これは完全なフルモデルチェンジだ。新型ポルトフィーノの技術プレゼンテーションを聞いて、そう確信した。

そのボディ構造に関する説明のなかで、軽量化と高剛性化を実現したひとつの事例として溶接の長さが前作カリフォルニアTに比べて30%短くなったことが紹介された。近年、ボディ剛性を向上させた証として溶接をより念入りに行ったとか、構造用接着剤を取り入れたというエピソードはよく耳にするが、溶接長を短くしたという話は寡聞にして聞かない。

しかし、よくよく考えてみれば、溶接長を短くできたのは部品点数を減らしたからに他ならず、さらにいえば部品点数の減少は軽量化と高剛性化の両方に役立つ。念のため、この点をフェラーリのエンジニアに確認したところ、「そのとおり」との回答が得られた。

部品点数を減らすことができたのは、何よりボディ構造が根本から見直されたからだ。たとえばAピラー部分の部品点数はカリフォルニアTの21点から2点へと劇的に減少。そのほかボディのフレーム構造も全体的に太く、シンプルな形状に改められ、新素材が多用された。この結果、車両重量が80kgも軽くなったほか、静的ねじれ剛性は35%、サスペンションの取り付け部は50%も剛性が向上したという。そうした改良が乗り心地やハンドリングに影響しないわけがない。

ポルトフィーノの国際試乗会はアドリア海に面したイタリア南部のバーリ周辺で開催されたが、この地域の荒れた路面を強行突破してもボディはビクともしない。それも、ただボディが“コチコチ”に硬いというのとは違って、十分な強度とともにサスペンションから伝わる不快な振動を瞬時に減衰させるダンピング性能も備えているので、スプリングやダンパーの硬さを直接的に感じさせない優れた快適性も備えている。このボディの感触は、先ごろデビューした812スーパーファストにも共通するものだ。

新たに電動パワーステアリングを採用したステアリング系は、カリフォルニアTよりも、むしろインフォメーションが豊富になるいっぽう、キックバックは見事に遮断されて、こちらも快適そのもの。ステアリング特性はカリフォルニアTに由来するゲインの高さとターンインで水平に横っ飛びするような感触が残っていたものの、その傾向は前作よりもマイルドで、最新フェラーリを初めて操るドライバーも戸惑わずに済むだろう。

ブロックこそ流用ながら、ピストン、コンロッド、吸排気系などが一新された3.9ℓ V8ターボエンジンは、7500rpmの最高回転数を保ったまま最高出力は40ps上乗せして600psを発揮。0-200km/h加速はコンマ4秒速くなって10.8秒で駆け抜け、最高速度は従来の316km/hから320km/h以上へと向上した。

ターボエンジンとしては異例の反応!

それにしてもこのエンジンはターボとは思えないほどレスポンスが鋭い。フェラーリがよく用いるレスポンスタイムという評価項目は、3速2000rpmの巡航状態からフルスロットルにした後、加速Gがピーク時の90%に到達するまでどれだけの時間がかかるかを示すものだが、これはカリフォルニアTと同じ1.0秒を保っている。ポルトフィーノは最高出力が上がって加速性能が向上しているので、ピーク時の90%に達する時間が長引いても不思議ではないが、これが同じということは実質的に加速の立ち上がりが大幅に改善されていることを意味する。

それとともに印象的なのが、巡航からフル加速に移行する際の、エンジンのフレキシブルでスムーズな反応である。スロットルペダルを軽く踏んでいるかどうかの状態からフルスロットルにすれば、当然、エンジンの燃焼モードは大きく変わる。こういう操作をすると、一般的には一度エンジンがむずがえってからおもむろに加速態勢に移ることが多いのに、ポルトフィーノはそんな素振りを一切見せることなく直ちにダッシュし始める。この柔軟さと反応の素早さは、ターボエンジンとしては異例だ。

そしてもちろん、エンジン回転数が高まっていく過程では例の美しいフェラーリ・ミュージックを堪能できる。2000rpmから3000rpmではよく響くバリトンを、3000rpmから5000rpmでは軽快なテノールを、そして5000rpmオーバーでは突き抜けるようなソプラノの音色を聞かせてくれるのは、一体成型の等長エキゾーストマニフォールドや丁寧なチューニングが施された排気系の賜物。ターボ化された最新のフェラーリ・ユニットのなかでもとりわけ美しい歌声の持ち主と評価できる。

さらにいえば、ポルトフィーノは車速が40km/h以下であれば開閉できるメタルハードトップと、プラス2のサイズとはいえリヤシートまで備えている。ボディ形状やウィンドディフレクターを見直すことで、130km/h近辺の高速走行でもキャビンにほとんど風を巻き込まなくなったことも特筆すべきだろう。フロントエンジンの美しさを最大限に引き出したスタイリングもダイナミックで魅力的。スポーツドライビングだけでなく、デイリーユースにもロングツーリングにも使いたくなる新世代フェラーリの登場といえる。

【SPECIFICATIONS】
フェラーリ ポルトフィーノ
■エンジン
タイプ: 90度V型8気筒DOHCツインターボ
総排気量 :3855cc
最高出力: 441 kW(600 ps)/7,500 rpm
最大トルク:760 Nm /3000 - 5250 rpm
■トランスミッション
7速デュアル・クラッチ式
■ボディサイズ
全長:4586 mm
全幅:1938 mm
全高:1318 mm
重量配分 46:54(フロント:リヤ)
■ブレーキ
仕様:カーボンセラミックディスク
フロント:390☓34mm
リヤ:360☓32mm
■タイヤサイズ
フロント:245/35ZR20(8J)
リヤ:285/35ZR20(10J)
■パフォーマンス
最高速度 :320 km/h
0-100 km/h加速: 3.5秒
■環境性能(EU)
燃料消費量(複合): 10.5 ℓ/100 km
CO2排出量:245g /km
■車両本体価格:2530万円(税込)

こんな記事も読まれています

[300馬力超]爆速の軽自動車が誕生!! マツダの軽「シャンテ」にロータリー搭載が最高だった
[300馬力超]爆速の軽自動車が誕生!! マツダの軽「シャンテ」にロータリー搭載が最高だった
ベストカーWeb
2024年F1第6戦マイアミGP予選トップ10ドライバーコメント(2)
2024年F1第6戦マイアミGP予選トップ10ドライバーコメント(2)
AUTOSPORT web
2024年F1第6戦マイアミGP予選トップ10ドライバーコメント(1)
2024年F1第6戦マイアミGP予選トップ10ドライバーコメント(1)
AUTOSPORT web
イケイケなフィアット「パンダ」も大雨には勝てず…イタリアの最新道路事情を私的にレポートします【みどり独乙通信】
イケイケなフィアット「パンダ」も大雨には勝てず…イタリアの最新道路事情を私的にレポートします【みどり独乙通信】
Auto Messe Web
佐藤凛太郎インタビュー:「父と同じ道を進みたい」琢磨の息子がPONOS RACINGからFIA-F4デビュー
佐藤凛太郎インタビュー:「父と同じ道を進みたい」琢磨の息子がPONOS RACINGからFIA-F4デビュー
AUTOSPORT web
小さな「万能SUV」がマイチェン 熟成のフォルクスワーゲンTクロスへ試乗 95psでも魅力的
小さな「万能SUV」がマイチェン 熟成のフォルクスワーゲンTクロスへ試乗 95psでも魅力的
AUTOCAR JAPAN
なぜホンダ「N-BOX」が日本一売れているクルマなのか? Z世代が試乗してわかった軽の枠を超えた快適性と便利さとは
なぜホンダ「N-BOX」が日本一売れているクルマなのか? Z世代が試乗してわかった軽の枠を超えた快適性と便利さとは
Auto Messe Web
アロンソのペナルティに関する再審査請求をスチュワードが却下。アストンマーティンF1の新証拠には重要性が認められず
アロンソのペナルティに関する再審査請求をスチュワードが却下。アストンマーティンF1の新証拠には重要性が認められず
AUTOSPORT web
6.5リッターV12搭載のフェラーリ新型モデル『12チリンドリ』登場。スパイダーも同時デビュー
6.5リッターV12搭載のフェラーリ新型モデル『12チリンドリ』登場。スパイダーも同時デビュー
AUTOSPORT web
ベースは極上2002 クーペ BMWガルミッシュ(2) 現代のカロッツエリアが見事に再現
ベースは極上2002 クーペ BMWガルミッシュ(2) 現代のカロッツエリアが見事に再現
AUTOCAR JAPAN
BMWガルミッシュ(1) 巨匠ガンディーニによる先取り3シリーズ 同意を得ず「密かに」製作!
BMWガルミッシュ(1) 巨匠ガンディーニによる先取り3シリーズ 同意を得ず「密かに」製作!
AUTOCAR JAPAN
充電環境もプレミアムブランドにふさわしく
充電環境もプレミアムブランドにふさわしく
グーネット
ルクレール予選2番手「マシンは良い状態で、大きな修正は必要なかった。明日は優勝を狙う」フェラーリ/F1第6戦
ルクレール予選2番手「マシンは良い状態で、大きな修正は必要なかった。明日は優勝を狙う」フェラーリ/F1第6戦
AUTOSPORT web
GW明けだけど渋滞あり! 中央道の東京区間で交通規制 NEXCO中日本が迂回呼び掛け
GW明けだけど渋滞あり! 中央道の東京区間で交通規制 NEXCO中日本が迂回呼び掛け
乗りものニュース
「信号待ち」はフットブレーキを踏む? それともギアを「Pレンジ」に入れる? どっちがクルマに優しく安全なのか
「信号待ち」はフットブレーキを踏む? それともギアを「Pレンジ」に入れる? どっちがクルマに優しく安全なのか
くるまのニュース
プラモ作りにデコチャリからデコトラ運転手という王道コース! 一時落ち着くもSNSを通じてデコトラ熱が再燃したアラフィフの日常
プラモ作りにデコチャリからデコトラ運転手という王道コース! 一時落ち着くもSNSを通じてデコトラ熱が再燃したアラフィフの日常
WEB CARTOP
“63”だからこそ得られる快感──新型メルセデスAMG GLE63 S 4MATIC+クーペ試乗記
“63”だからこそ得られる快感──新型メルセデスAMG GLE63 S 4MATIC+クーペ試乗記
GQ JAPAN
MotoGPの新レギュレーションが発表。2027年からエンジンが850cc化、エアロダイナミクスも規制強化
MotoGPの新レギュレーションが発表。2027年からエンジンが850cc化、エアロダイナミクスも規制強化
motorsport.com 日本版

みんなのコメント

この記事にはまだコメントがありません。
この記事に対するあなたの意見や感想を投稿しませんか?

この記事に出てきたクルマ

新車価格(税込)

2530.02737.0万円

新車見積りスタート

中古車本体価格

2428.03350.0万円

中古車を検索
ポルトフィーノの車買取相場を調べる

査定を依頼する

メーカー
モデル
年式
走行距離

おすすめのニュース

愛車管理はマイカーページで!

登録してお得なクーポンを獲得しよう

マイカー登録をする

おすすめのニュース

おすすめをもっと見る

この記事に出てきたクルマ

新車価格(税込)

2530.02737.0万円

新車見積りスタート

中古車本体価格

2428.03350.0万円

中古車を検索

あなたにおすすめのサービス

メーカー
モデル
年式
走行距離(km)

新車見積りサービス

店舗に行かずにお家でカンタン新車見積り。まずはネットで地域や希望車種を入力!

新車見積りサービス
都道府県
市区町村